★信州くだものニュース掲載原稿
★新規里親制度について

平成15年7月25日号掲載

新規就農里親制度について

 

今年度の長野県の新規事業として、新規就農里親制度がスタートした。農業の後継者不足を何とかしようと考え出した事業である。農外から農業を志す就農希望者を我々農業者が受け入れ、独立まで面倒をみよう、という制度である。受け入れる農業者は里親として責任を持って新規農業者の育成に当たる。

里親農業者登録会議が5月30日に開催され、116名の里親農業者の登録が行われた。新規農業者を育てたいという、意欲ある農業者が県下に116名いたということである。私も農業者代表としてこの会議に出席した。116名の内訳は果樹42二名、野菜22二名、花卉20名、その他作目と続いている。何と果樹農家が一番多かった。地域的にもほぼ全県に広がっていた。多くの果樹栽培者が後継者を育てようとこの事業に参画してくれたことは大変に嬉しいことである。今後、果樹を志す若者がどの程度出てくるか分からないが、一人でも多くの果樹栽培者がこの制度から生まれてくることを期待していきたい。

私は果樹栽培は、どんな他の作目より独立がし易いと思っている。周囲を見渡してもだいぶ高齢なのに、後継者がいない農家がたくさんある。

ある程度の研修を受け、技術を身に付けることが出来れば

そんな農業者から果樹園を借り受け独立することは容易だと思う。実際私も過去に三人の新規果樹栽培者を独立させた。独立後それぞれ大変に苦労しているが、それは既存の私たち先輩農業者も同じことである。やる気と周囲の協力さえあればやれる。

 長野県の果樹の生産量を維持する手だては、規模拡大するか、新規就農者を育成するかしか方法はない。規模拡大には限度があり、大きなリスクを伴う。私もいよいよ10クタール規模の果樹栽培者となったが、経営はむしろ前より厳しく、大変になった。やはり、新規の若者を迎え入れ、独立の支援をする、この就農里親制度のような取り組みが今後最も重要になると思う。  

是非、今後この事業に注目してもらいたい。そして、近い将来、我々果樹研究会の新規会員がこの事業から生まれることを心から願いたい。

 

(有)安曇野ファミリー農産

  代表取締役 中村隆宣