◆ 硬い?軟らかい? ◆

= Tunnel_FAQ =

 


総論的にみると、”軟らかく脆い地山”ほど、掘削は困難となる傾向にあります。
むしろ、”硬く締まった地山”の方が、掘削は容易ではないでしょうか。
  地山(じやま) : 天然の状態にある地盤

幼い頃の 「砂遊び」を回想してみてください。
砂山を作り、手でトンネルを掘ったような経験を、たいていの人がお持ちのことと思います。
乾いたサラサラの砂山,少し水分を含んでしっとりとした砂山,粘土っぽい砂で作った砂山。
この3例を思い浮かべてみてください。
どれが最も遊びやすいでしょうか。
みなさんが予想されるとおり、
崩れにくく、ちゃんとトンネル遊びができるのは、粘土っぽい砂の砂山です。
乾いたサラサラの砂山は、
掘っても掘っても崩れてきてしまい、なかなかトンネル遊びができません。
少し水分を含んでいる砂山は、しばらくして乾いてくると崩れてしまいます。
極端な例ですが、現実のトンネル工事でも同様なことが言えるのです。


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「硬い,軟らかい」という表現は結構難しいものです。
大別すると二通りの表現があるからです。
ひとつは、「岩(石)/土砂」そのものに対するものです。
もうひとつは、「地盤(岩盤)」に対してのものです。
通常、世間一般で「硬い,軟らかい」というのは、
「岩(石)/土砂」そのものに対してではないでしょうか。
一方、建設工事ではどうでしょうか。
まぎれもなく、「地盤(岩盤)」に対して、「硬い,軟らかい」といった表現を用いることになります。
確かに、岩石そのものの「硬さ,軟らかさ」も関係します。
しかし、それ以上に「地盤,岩盤」全体の「硬さ,軟らかさ」というものの方が、重要となるのです。

単純に岩石の「硬さ,軟らかさ(硬軟)」を表すとすれば、「硬度」を用います。
専門的な用語ですが、「圧縮強度」というものを用いて示します。
1平方センチメートル当たり、何kgの荷重(力)まで耐えうるか(破壊しないか)という指標です。
しかしながら、圧縮強度が大きく、岩石自身が硬いとしても、
地盤(岩盤)全体が硬いとは断言できません。
地盤(岩盤)は、岩石(土砂)の集合体だからです。
割れ目や風化の程度によって、地盤(岩盤)の硬軟に大きな差が出ます。
また、地下水や岩石に含まれる様々な鉱物などによっても違いが出ます。
固結/未固結ということからも異なります。
未固結,固結を簡単に表現すると、「お米、炊いたご飯、おにぎり」といったイメージでしょうか。

岩盤の一部分(斜線部)の岩石において、
圧縮強度が大きく、それ自身が硬いとしても、
この岩盤全体が硬いとは言えない。
割れ目が多くなるほど,
風化が進んでいるほど・・・
岩盤全体としては、脆くなる傾向にある。

実際の地盤(岩盤)は複雑になっています。
割れ目がほとんどなく、一体化しているような状態。
岩石そのものは非常に硬いのですが、ザクザクと割れたような状態。
砂や土のように、サラサラとしていて締りがほとんどないような状態。
それらに追い討ちをかけるかのように、地下水が多いような状態。
ひとつのトンネルでも、全線に渡って均一な地質状態が連続することは、ほとんどないのです。
ただ、グローバルにみると、
おおよそ掘りやすいか掘りにくいかの判別ができる、という程度です。


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「未固結」,「固結」のイメージ

お米(未固結地山) 炊いたご飯(固結した地山) おにぎり(十分固結した地山)


穴(トンネル)を掘ろうとしても
崩れてしまう。
水(地下水)の流れがあると、
共に流れ出すような状態。


穴(トンネル)を掘ろうとすれば
掘ることは可能。
水(地下水)の流れがあると、
次第に、崩れるような状態。


穴(トンネル)を掘ろうとすれば
十分に掘ることは可能。
水(地下水)の流れがあっても、
しばらくは
そのままの状態を保つ。

 

     

 

 

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