◆ トンネルの形 ◆

= Tunnel_FAQ =

 


代表的な”もの”の形と言えば、丸、三角、四角でしょう。
試しに、少し厚みのある紙(画用紙)で円柱、三角柱、四角柱を作ってみてください。
できあがったものそれぞれを、同じ程度の力で、指で押してみてください。
最も変形(たわみ)が少ないものは、どれでしょうか。
円柱でしょう。
このことから、円形は、外圧(外から加わる力)に対して最も強い構造(形状)となっている
ことが、おわかりかと思います。
下の図は、力のかかり方をイメージしています(点線が変形を表しています)。

実際のトンネルは、周囲の地山(地盤/岩盤)から様々な力を受けています。
それらの力に対して、もちこたえられる構造でなければ、つぶれてしまうのです。
したがって、通常のトンネルは丸(円形)に近い形をしているのが圧倒的に多いのです。

*****   *****   *****   *****   *****   *****   *****

現実のトンネルでは、電車、車、人などが通行するので、全くの円形とはいきません。
と言うより、それらの通行部分は、少なからず平らな面が必要になります。
外圧(外力)に対抗するには円形が最適であり、
電車や車などが通行するには矩形が適しています。
結果的に、両者の”いいとこどり”の形となるのです。
この形を「馬蹄形(ばていけい)」といい、
もともとは馬の”ヒズメ”の形状に似ているため、この名がついたそうです。

円   形
(シールドトンネルなど)
  矩   形
(開削トンネルなど)
  馬 蹄 形
(一般山岳トンネルなど)

*****   *****   *****   *****   *****   *****   *****

地質が良好な場所では、トンネルにかかる外圧(外力)は、上方向からが主体となります。
そのため、それに耐えうるだけの形として、完全なリング(環)状とはしません。
確かに、完全さを追求することは良いことなのですが、建設に要する費用も増大してしまいます。
地質の状態や、建設工事費などのバランスも考慮しなければならないのです。
しかし、地質が不良な場所では、そうも言ってはいられません。
不良地質では往々にして、トンネルにかかる外圧(外力)は、下(底部)からもかかるのです。
ですから、若干費用を要しますが、それに耐えるべく完全なリング(環)状とするのです。
この部分を「インバート」と呼び、たいていはコンクリートが用いられます。

良好な地質
(インバートなし)
不良な地質
(インバートあり)

 

インバートの施工例

 

地質の状況により、
コンクリートの厚みを厚くしたり/薄くしたり、鉄筋を挿入して
補強したりもする。

さらに地質状況が悪い場合は、鋼製支保工(ストラット)などを
挿入して補強することもある。

 

     

 

 

turn