白馬鑓温泉

2005年6月13日〜14日
同行者:K先輩、O原、先生

6月13日

山岳露天風呂で名高い白馬鑓温泉に行ってきました。
今回もエキスパートの師匠と一緒。
「雪渓があるからアイゼンは持ってきてね。ピッケルは貸すから」なんて言われて
緊張気味。それにしても師匠のザックがすごい。なんていうか、擦り剥けてて
ボロボロで、いかにも使い込んだザック、って感じ。しかも「文藝春秋」とかスポンサーの
ロゴが入ってるし。(ちなみにスキーはハリーポッター。ほんとに何者なんだろうこの人。)

猿倉から入り、大雪渓への道を分けて白馬鑓へ続く小道をしばらく登ると、
視界が開ける場所に着く。小日向のコルだ。これから進む道と、目指す
温泉もはるかかなたに見える。高度はすでに1800mだから、ほとんど
登らずに行く、トラバース中心の登山道だ。見れば、杓子岳や白馬槍ヶ岳から
伸びる大小様々な雪渓が行く手に立ちはだかっている。まだまだ雪だらけだ。

そこから先の登山道は、崩れやすいガレ道か、滑ったら一気に200mは
下にいってしまう雪渓のトラバースがほとんど。延々と3時間以上そんな
道を進み、やっと目指す鑓温泉下部に到着。温泉から流れ出る湯が湯気を
上げて足元を流れ落ちていく。最後の登りをひいひい言って登りきると、
そこは雲上の別天地、豪華な露天風呂が雪の中に顔を出していた。

小屋はまだ解体されていて、この時期他に登山者もいない。
途中山菜取りの人には数人あったけど、鑓温泉まで行くという人は
いなかったから、今夜はこの温泉は僕らの貸切だ。取りあえずテントを作って、
早速裸になって温泉に入る。すっごく熱い。ナチュラル温泉100%賭け流しで、
すごく効きそう。色は無色透明、湯の花みたいなものが大量に風呂の中に
沈んでいるけど、お湯が動くとどんどん流れていく。がまんして入ると、
熱いけど気持ち言い。標高2000m、だれもいない山の中で露天風呂、
周りには3000m級の山々。最高だ。これをプライスレスといわずしてなんという。
登山やっててよかったー。心から思った。

プライスレスな体験に興奮して、素っ裸で写真取ったりしてすごすことしばしば、
山の冷風に身体を乾かして、宴会に突入。雪で冷やしたビールがうまい。
登山道で見つけた雪ざさという山菜を湯がいて、マヨネーズで食べたら
これがまたうまい。師匠は白馬錦(日本酒)の1升紙パックを持ってきて、
それを一晩でほとんどひとりで飲んでしまった。途中、ほとんど徹夜だった
師匠は早めに就寝、若者3人は会社のくだらない話なんかで10時過ぎまで
騒いでいた。寒かったけど、足だけ温泉に入れていると暖かかった。
翌日これがもとでひどい目にあうとも知らずに・・・

6月14日

翌日は4時ころ起床。師匠はまだ暗い頃から起きて、温泉に入りつつ酒を飲んでいた。
今日は下山だけだから、ゆっくりと朝飯を作って食べて、温泉に入る。
なんだか足がひりひりする。昨日足湯につかってたから、ちょっと火傷したかな?
一通り準備が終わって下山にかかる。

雪渓のトラバースは、昨日登って来る時はそんなに気にならなかったけど、
少しでも下りだとすごく怖い。ダブルストックをきちんとついて、恐怖と戦いながら
進んでいく。師匠はさすがに足取りが軽く、結構斜度のある雪の斜面を、
アイゼンもつけず「こういうところは走っていけばいいよ」なんて言ってほんとに
走って下ってしまう。僕ら3人も真似して下ろうとしたけど3人とも滑って転んで、
30m以上滑落した。洒落にならん。

少しして、斜度があり距離も長い雪渓を横切るときにアイゼンを付ける。
ストックをピッケルに持ち替えて、ピッケルを雪面に突き刺してアンカーに
しながら慎重に下る。斜度が50度を超える急斜面の下りでは、雪面と向き合って、
ピッケルとアイゼンを突き刺し、一歩ずつ下る練習もした。
アイゼン・ピッケルワークのいい練習になった。

ピッケルなんてものは、単に杖だという認識しかなかったけど、
ピックを雪面に刺せば捻らなければ抜けないし(だからしっかりとしたアンカーになる)、
無用に長ければクライミング的な用途につかえなし、買う前にきちんと試せて良かった。
来年は自分用のピッケルを用意しよう。

そんなこんなで、たっぷりと時間をかけてピッケルとアイゼンを練習しながら進み、
なんとか無事小日向のコルまでたどりついた。軽く昼食を取り、猿倉までの登山道を下った。

下山してみたら、足の痛かったところの皮がべろんと向けた。やっぱりやけどしてた。
しばらく復活しなくて不自由でした

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