剣岳

20005年9月8日(木)〜9日(金)
同行者 K先輩、O原

『岩と雪の殿堂』でおなじみ、富山県剣岳に登ってきました。
剣岳と言えばカニのタテバイ・ヨコバイに代表される難所が有名ですが、
それよりも僕らを遠ざけていた要因は、立山黒部アルペンルートの高額な交通費でした。

僕らは長野県在住なので、県外から訪れる人に比べれば安上がりですが、
それでも往復1万円程度はかかります。非常に財布に負担がかかる山です。

まあそれでも、最初はもっとかかるんじゃないかと思って、当面の登る山リストには
入っていなかったのですが、調べてみたら案外安かったので登ることにしました。

9月8日(木)天気晴れ

扇沢からアルペンルートを通り、室堂を目指します。
扇沢始発のトロリーバスが7時30分なので、6時に集合、出発します。
僕の寝坊が響いて、扇沢に到着が7時20分頃、ダッシュで荷物をまとめて
7時30分のトロリーバスにぎりぎり間に合いました。
噂の立山黒部アルペンルートは、長野県大町市扇沢と富山県立山を結ぶ
山岳交通機関の総称です。
黒部ダム、美女平、立山三山などの眺め、春には20mにもなる雪の壁の間を
走る高原バスなどが有名です。トロリーバス、ケーブルカー、ロープウェイなどを駆使して、
標高2450mの室堂までほとんど歩かず到着します。
ちなみにチケットは往復で買うと安く、室堂往復8700円+荷物代600円です。

乗客は観光客がほとんどで、登山客はまばら、僕らのようにでかいザックをかついて
いる人はいません。まあ平日だしこんなもんでしょう。
運んでもらうのは楽でいいのですが、乗換えが頻繁にあるのがウザイ。
特にでかいザックを担いでいると何かと大変です。
景色がいいのはロープウェイ位で、あとはほとんどトンネルの中です。
それぞれの区間が短いので、もう降りんのかよ、と思ってしまいます。。
歩くとなると物凄く大変だろうし、開通までには相当の苦労があったと思いますが、
現代人は勝手なものです。

とにかく、何度か乗り継いで9時30分に室堂到着です。
移動時間2時間、歩行時間は20分程度です。楽チンだなあ。

室堂から、雷鳥平を超えて別山尾根を目指します。
今日の行程は室堂から3時間程の剣沢山荘までなので、途中の景勝地を
のんびり観光しつつ、ゆっくりと進みます。

ちなみに、上の写真で中央左の白っぽいところが地獄谷温泉です。
火山性ガスが沸き、温泉が地獄っぽく湧き出す異様な光景でした。

別山乗越から剣岳

だらだらと登り、峠を越えたところに剣御前小屋があります。
そこで初めて剣岳を正面に見ます。
ギザギザした山です。恐ろしい。
小屋で昼食にします。今日のメニューはチキンラーメンに中華丼の元を入れた五目ラーメン。
ビールと共に頂きます。

目指す小屋は目の前に見えているので、余裕です。

ちなみに、当初剣岳に最も近い剣山荘にテントを張る予定でしたが、
剣御前小屋で確認したところ剣山荘はテント不可でした。
その手前の剣沢小屋に目的地変更しました。

剣沢小屋前のテン場。奥が乗越。

剣沢のテン場は広く、水も雪渓の雪解け水が豊富に出ています。
僕らが到着したときには、あまりテントはありませんでした。
小屋の人に聞いたところ、ぜんぜん暇だそうです。
僕らは、小屋でビールを購入して早速宴会を始めます。

最近、宴会がすごく豪勢になっています。
以前はビール2本とサラミ、柿ピーなどの乾き物しかなかったに、
最近は必ず火を使ったメニューが登場します。
この日はK先輩持参の焼肉がメイン。やっぱり暖かい食い物はうまい〜。
ビールも進みます。アホな話に花が咲き、登山の一番楽しい時間は過ぎていきました。
就寝は6時頃でした。

9月9日(金)天気曇り

3時起床、4時出発です。
今日は剣岳を往復してテントを撤収し、室堂から帰る長い行程です。
雨具、水、行動食、フリース、コーラを入れたサブザックで登ります。
今回初めてオスプレーのデイ13リットルを使用しました。

テン場から真っ暗闇の中を30分ほどで剣山荘に到着、途中ちょっとわかりにくいです。
小屋裏から剣岳登山道に取り付きます。
出だしから結構急な登りです。ところどころ危険な箇所もあります。
この辺からやっぱり剣岳はちょっと違う、と思い始めます。

ビビりまくり。

前剣を越えたあたりから、登山道の危険度が一気に上がります。
高度感のある鎖頼りの道が続きます。
鎖がしっかりとついているので大丈夫ですが、難易度は結構高いと思います。

そしていよいよ登りの最難関、噂の・・・

カニのタテバイキター!!

見事に垂直な岩の壁です。こんなところおばちゃんとか登れんのかよ・・・
ていうか俺も登れんのか・・・?とか思います。

実際に登ってみると、確かにすごい高度感があって怖いです。
鎖、ボルトが適所にあって、鎖を話さない限りは落ちないですけど、
高所恐怖症の人はきついと思います。
あと僕は結構腕力で鎖をつかんで身体を持ち上げて登りましたけど、
腕力の無い女性は結構大変なんじゃないでしょうか。
写真右上の岩棚までくれば安心。下は10m以上絶壁です。

カニのタテバイをすぎれば、頂上はすぐそこです。

7時10分、剣岳登頂です。

頂上は残念ながらガスの中、展望はゼロです。
行動食のおにぎりなど食べて晴れるのを待ちましたが、寒いしどうもダメそうです。
あきらめて降りることにしました。

剣岳は結構岩場が多いので、登山道と下山路を分けてあります。
すれ違いがないのでストレス無く下れます。
でもしかし、やはり下りは怖い。これです。

カニのヨコバイキター!!!

はっきり言ってノーマークでした。
カニのタテバイのおまけ程度に考えていましたが、めっちゃ怖かったです。
写真では迫力が伝わりませんが、今まで通った中で一番怖かった。
写真左が導入部分です。この先がスッパリ切れ落ちていて、右の写真に続きます。
右の写真は実際には直角の斜面にへばりついているのですが、写真で
掴まっている鎖から手前の鎖を掴むまでが大変です。
足がかりがありません。
恐怖におののきながら、鎖頼りに斜面に足をかけて、手前の足がかりまで
なんとか移動しますが、下は絶壁だし、落ちたら間違いなく死ぬし、それは怖かった。
本当に怖いです。行く人は覚悟していってください。
ある程度岩場の経験を積んでから行くべき道だと思います。

カニのヨコバイをなんとかクリアして、3人で怖かった足がまだ震えているとか言い合いながら、
残りの道を下ります。カニのヨコバイほどの難所はもうありませんが、それなりに危険な
道が続いて油断は禁物です。

なんとか、事故無く降りてきました。

そのあとは、だらだらとテントを回収し、室堂まで戻り、アルペンルートで帰りました。
剣岳を登ってしまった後は気が抜けて、帰り道が物凄く長く感じた。

迷惑なデカザック

帰りは混んでました。

剣岳は岩登り要素がすごく多くて、楽しいけれど一歩間違うと死ぬ山です。
行くなら気をつけて行きましょう。天気の悪い日はあきらめましょう。

山行記録TOPページへ 登山記録一覧へ