顧客満足と従業員満足

 患者の不満は通常の接触ではなかなか顕在化しません。顕在化する前に医療機関を変わってしまう場合がほとんどです。顧客満足度調査を定期的に(年に1回で良いと思います)実行し、不満を解消しつつ項目ごとの変化を検証し、更なる改善を加えていくことで、顧客の評価は着実に上昇するものです。

 また、顧客満足度を支えるものは従業員満足度です。従業員が情熱を持って働かなければ良い顧客サービスは生まれません。職場を良くしようという改善活動は生まれてきません。

以下の図は業績向上のメカニズムと従業員満足度を支える要因を示したものです。業績の向上は事業体を取り巻く環境と経営戦略・経営計画・経営管理といったマネジメント面での工夫と従業員の情熱の掛け算によって表されるといわれています。職員の情熱を支えるものが、職場への忠誠心であり、それは従業員満足の向上によってもたらされます。制度面の整備が着実に進んできておりますので、職員のモチベーション向上のため経営サイドが積極的に職員とコミュニケーションをとっていくことが必要です。

たとえば、ある地方の463床の地域医療支援病院には1000名以上の職員が働いていますが、理事長は毎年職員全員に面接を行い、意向吸収に努め、経営の改善に生かしているという話です。この病院は、民間病院でありながら地域の3次救急の拠点として大学病院に先んじて名乗りを上げ、存在感を示しています。

こうした経営者の真摯な経営に対する取り組みが従業員の意欲を向上させ、ひいては顧客サービスの向上につながり、医療機関の繁栄につながっていくということを踏まえて経営してゆくことが望まれます。


      


         会社の業績と従業員満足の相関性は高い