ヘルスケア分野に対する私の認識


勝ち組負け組の鮮明化

ヘルスケア分野は、金融、教育などとともに各種の参入障壁で守られてきた分野でしたが、行政の肥大化に伴う財政収支の悪化による規制緩和の波が大きく打ち寄せています。
 したがって、今後更に規制緩和が進行し、既得権益が剥ぎ取られていき、一般事業法人と同列の制度的背景の中でビジネスを行っていく方向にあるといえます。そうなってくると、一般の産業界でここ10年くらいの間に急速に進んできた規制緩和に伴う激烈な競争により、優勝劣敗の競争原理がより強く作用し、経営能力の有無により勝ち組負け組が更に鮮明化すると思われます。
 医療・介護・福祉いずれの分野においても機能分化が進行するのに伴って、益々地域におけるそれぞれの施設、サービスの存在価値が問われるようになります。
 それぞれが得意分野に資源を集中して生き残りを図るようになるため、地域における連携を進める必要が出てきます。一方、力のある事業者は、自己完結型の体制を推進し、地域におけるリーダー的な存在を目指す戦略をとる傾向が強く、その結果、事業の複合化、グループ化が進むことになります。
 さらに当然のことながら、競争の激化が顧客の厳しい目を養い、サービス業本来の顧客本位の姿勢がいっそう強く求められてきます。それに伴って、提供されるサービスの質の評価の客観化が進むという方向が明らかになってきています。

顧客本位とコスト管理の重要性

 事業体の運営上重要な点は、まず、顧客本位の姿勢と関連して情報開示、経営内容の透明性が更に重要になってくる、ということです。また、右肩上がりの収益増加が見込めない時代を迎えていることから、経営管理面においてはコスト管理の重要性が益々高まります。これに対応するように一般事業法人の経営手法がさらに導入されていくものと思われます。
 また、ヘルスケア分野は、あまり日の目を見ていなかった分野だったこともあり、マネジメントに存分に腕を振るえる人材難が長い期間続いていました。今後よい人材を得るためには、人事管理面での後進性が払拭される必要があると思われます。