直熱管3A5単段4パラ接続・ラインアンプ
3A5 Line Amplifie

ライン・アンプを1台紹介したいと思います。私の経験では性能の良いライン・アンプを一台作っておくと長い間使う事ができます。実際には無くても音は出るので不要だと感じていましたがファインメットのトランスとの組み合わせで繊細な音まで表現出来る様になりました。技術誌等で時々紹介されている電池管3A5を使いますがトランスのインピーダンスに合わせる為に4回並列接続にして1次側8KΩのライントランスを使い2次側は600Ωの出力で送り出します。回路は単純に自己バイアスにして信号ラインのコンデンサーを排除させました。また、高音質な巻線抵抗を使ったアッテネータも製作し序に高音質4連ボリュームによる定インピーダンスT型アッテネーターも製作して音の違いを確認しました。

特性表
歪率    0.2%(最小)
力感度    700mV4V
周波数特性 20hz〜50khz(−3db
本機はセパレート方式にして電源とアンプを分離させました。B電源他の全てコンデンサーはフイルム系にして電解コンデンサー排除させました。その為電解コンデンサーの様な容量は有りませんがチョーク・コイル2段の効果は大きくハムが有りません。
小型MT管で7本足の直熱3極管です。回路は3A5の球を4回路パラ接続としてコンデンサーを避けライン・トランスを入れました。プレート電流は規格いっぱいの5mAまで流し計20mAの電流がライン・トランスに流れます。
実はこの3A5ですが音質とは裏腹に大マイクロフォニック・ノイズが半端ではなく普通の状態ではキ〜ン・キ〜ンとハウリング状態になり此れでは使い物になりません。そこでケース内3点支持の状態で球を釣っている状態にしてフローティングさせ解決しました。

回路の試作

真空管の詳細はインターネットで簡単に入手できましたが、念のため製作前に確認しておきます。2回路並列にしてヒーターの配線も並列にして1.4Vを供給します。1,7番ピンに470Ωを付け自己バイアス回路にしてB電源を上げていき10mA流れた場所でプレートと7番ピン間の電圧を測定します。現在は114Vありました。規格では135V5mAが最大値なので問題ないと判断して回路図を完成させました。実際の回路は4回路パラ接続にするのでカソード側抵抗は240Ωの巻線抵抗を使います。後は同じ要領で現物に合わせてB電源電圧を決めれば概ね完成します。
電源部の製作
セパレート構造なので先に電源部を製作します。市販のケースを使って簡単に済ませました。トランス類のチョーク・コイルと電源トランスは全てノグチ・トランスの一般品です。ヒーター用の整流にはショットバリアキーダイオードを使い、B電源には全波整流の真空管6X5GTを使いました。B電源のコンデンサの容量が少ないのでハムを気にしていましたが20Hのチョーク・コイルを2個直列に入れた為に容量不足も感じない位ノイズはありませんでした。
アンプの製作

アルミ・ダイキャストのケースに組み込みました。物理的にケース内に全部の部品が入らないのでライン・トランスは外へ出しました。回路は単段増幅なのでトランスの1次側は反転させて位相を合わせます。ボリュームはL−Padラダー型の2接点方式でアッテネータ式に組みました。普通のボリュームを使う場合はアルプス製のオーディオ用角型タイプがお勧めです。アースは1点に決め集中させてあります。此処でも電解コンデンサーは使わずに全てフイルム・コンデンサにしています。3A5のカソード側にも使用してあります。実際に容量は少ないですが結果は音に現れて来ます。勿論抵抗も全て巻線抵抗を使用しました。

アッテネータの製作

購入可能な抵抗値表から綺麗なAカーブに成る値を探して下記の抵抗値に決定しました。Aカーブとは元々ボリュームにはカーブが在ります。例えばBカーブがフラットでAは回した量より遅れてくる感じにカーブが在ります。Cカーブは逆に少し回しても大きな音になります。同然ボリュームを回しきった場所では100%になる訳です。Aカーブを使う理由は最小位置から回した場合に急に大きな音が出ないように考慮させます。巻線抵抗は抵抗線を巻いていく為容量の大きな物が作り難く入手できた品物の最大値が21KΩ迄でしたので21KΩのアッテネータを設計しました。

ステップ数

R1

R2

合計抵抗

1

0

21000

0.0

21000

2

4100

15000

21.5

19100

3

7500

13000

36.6

20500

4

11000

11000

50.0

22000

5

13000

8000

61.9

21000

6

14000

6300

69.0

20300

7

15000

5110

74.6

20110

8

15500

4100

79.1

19600

9

15500

2740

85.0

18240

10

19600

2700

87.9

22300

11

19600

2220

89.8

21820

12

19600

1600

92.5

21200

13

19600

1117

94.6

20717

14

19600

953

95.4

20553

15

19600

800

96.1

20400

16

19650

650

96.8

20250

17

19650

499

97.5

20099

18

19650

400

98.0

20000

19

19650

330

98.3

19930

20

20000

250

98.8

20250

21

20000

200

99.0

20200

22

21000

160

99.2

21160

23

21000

120

99.4

21120

24

21000

63

99.7

21063

25

21000

0

10

21000

25接点4回路のスイッチを使いステレオ用2回路のアッテネータを組みます。接点は金メッキ処理された物を選びます。使用時には常に抵抗2本のみを使うので音質は最高です。元々アッテネータの役目は音量を下げる為に入れます。つまり、抵抗で電気を通過しにくくするのですから良いものを使わないと音が悪くなったりノイズが多くなるのは当然です。

T型アッテネーター

切替えスイッチ式25段アッテネータ(ボリューム)は高価ですが音は良いです。しかし欠点もあります。其れは特に小さな音で聞く場合に微調整が出来ない事で時には不満を感じる事があります。計算値0.3%の音量でも夜中に使用する場合には音が大き過ぎます。都会のアパートやマンションで大きな音量で聞く事の少ない事情がある方の場合にはアルプス製でオーディオ用の角型ボリュームがあるので其れをお勧めします。通常の2連タイプは勿論ですが4連を使うと図のようにFAKE FIXED型の配線で基本的にはT型アッテネータと呼ばれ擬似的ではありますが双方向のインピーダンスが一定となり聴感覚上L型アッテナータに比べて高音質になると言われています。L型減衰方式は通常のボリュームの事で音量が最大値では双方向のインピーダンスが同じなので問題ないのですが最小値では真空管の入力側から見るとショート状態になり、少し音量を上げた場合は抵抗値が極端に少ない状態になるので音質にも影響があると推測します。
今回使用したノグチ製ライン・トランスのファインメット材とは、ポピュラーな軟磁性材料アモルファスを熱処理し結晶化させ微細結晶とアモルファス相とが混在するという素材のことで日立金属の登録商標です。
アルミ・ダイキャストに組み込んだ状態では形も良くないので別途製作した木枠内に入れました。後日空いた空間にバランス入力に対応したセレクターとレコードも聴きたいのでフォノ・イコライザーを組み込む予定です。

ライン・アンプやバッファー・アンプは不要と思っている方も多いと思いますが其れは直熱管のライン・アンプの音を一度聴いてから判断して頂きたいと思います。

単段4パラ接続ノンNFBのライン・アンプはトランスにたっぷり電流を流しているお陰で私が予定していた最大出力4Vを楽々クリアー出来ました。周波数特性は20〜50Khz(−3db)と広帯域アンプです。歪率特性も出力6Vまでは1%以下の低歪で仕上がりました。