100TH直熱3極管プッシュプル・アンプ
EIMAC JAN100TH Push-Pull Amplifier

送信管アンプ

送信管の100THプッシュプルアンプを製作しました。 大掛かりの割りには、シンプルな回路構成です。

WE-437Aと同等管で3A/167(CV5112)です。ハイμ・低rp3極管で初段に使うと高音質で有名な物のようで、松並氏発表の300Bシングル・アンプはトランスドライブでかなり高音質のようです。また、宍戸式の805イントラ反転送信管アンプでも最高の音質と絶賛しています。ロクタル8ピン仕様

送信管 EIMAC−100TH(4T17)です。
Ef/5V,If/6.3A Ep/1000V,Eg/-10Vの時、Ip/25mA
この100THが2組揃いました。 1組はフィン付きで、1組はフィン無しです。少し年代が違うようですが、2組そろいましたので、良しとします。

今回の送信管アンプは100THを4本使用したプッシュプル・アンプを製作しました。 電源はセパレート型にして分離してあります。 私の一番嫌いなシャーシー加工が終わり、組み立てに入ります・・・。
今回もトランスは沢山使います。 入力トランスはUTC、中間トランスはタンゴのNC-18です、出力トランスは50WクラスでタムラのF-2020を使うことにしました。
下記項目に説明してありますが、100THのエージング中で、5V23.2A(4本)で、ヒーターにかなりの電力が必要なのがわかりますね!。 特に高圧仕様の真空管はエージングは必須条件のようです。
アンプ本体の内部です。電源部をセパレートにした為にシンプルな内部です。
電源部の外見です。 最初は電流計を付けてありましたが、将来は整流管を入れる予定。 今はオイルコンデンサーが付いています。
電源部ですが、高圧用のトランスを使用して700V位でドライブ予定です。出力管が5V、6.3Aが4本なのでヒーター用の専用トランスが必要で、1個20Aの物を2個用意しました。 チョークトランスはUTCのスペシャルシリーズS31です。
試作中の様子です。 この場合、特に電流の計測はアナログ・テスターを使用しています。
電源部は最大で1350V迄対応していますが、一般に製作するには危険が伴います。 電源を切った時には必ず放電する様な回路を入れ、万が一にも感電しないようにしなければなりません。


真空管の取り扱い
オールドストック100THの使用上の注意!
購入直後のエージングなしでの高圧印加は絶対に不可です。下記説明の様にプリヒート後、プレート電圧を300〜400V/プレート損失15〜30Wで数日使用して、最終予定電圧の600〜1200Vのような高圧を印加するようにする必要があります。
この100THは製造から50年以上を経ていますので、使用前に、定格値で、出来ればACで6時間〜24時間のフィラメントのプリヒートを実施して下さい。
トリタンフィラメントは定格以上はもとより、定格以下でのご使用も寿命を考えると駄目ですので5%以内にして下さい。 誤差は少ない程良いと思います。 エミッションが出なくなりがちになることが有るようでうす。
定格エージングでガスがプレート材にて十分吸着され、同時にフィラメント表面トリウム単原子層のトリートメントがなされます。 このプロセスはジルコニア、タンタル系プレート管では絶対的に必須です。
真空管アンプが完成して直ぐに音だしをした場合にブチブチと音が出ることがありますがエージングを行うことで、この現象も良くなるでしょう・・・・?。
設計思想

宍戸式イントラ反転送信管シングルアンプの808を製作したときから、気になっていた100THです。 インターネットで参考回路を探しましたが、やはり見つかりません。 詳細が入手できません。 表を見てロードラインを引いて・・・なんてことは到底出来ませんので、手持ちの貧弱な測定器で試作しながら作って行くことになります。(素人ならではの製作方法ですか・・・・。) この何も分からない状態から試作をしながら迷路を抜け出した時の気分を味わえるのも、ひとつの楽しみです。 シングル、プッシュプルのどちらが良いかと聞かれた時に前はシングルと言っていましたが、 音が良いか悪いかは、素材あるいは回路の問題が多いのではないかと思います。 トランジスタアンプのプッシュプル回路は上下の回路が分離しているので、波形のつながり部分がどうしても私は構造的に気に入りません。ところが、トランス結合回路はこの波形のつながりが良い様に思えてなりません。 グリッドチョーク式にしてppにするのも良いかな?。 以前製作したVT2ppのトランス結合アンプがそこそこいい音でしたので、今回も同じで行きます。 出力は10W目標で前段1段のトランスドライブでシンプルな回路で松並氏も使っていました3A/167(CV5112)を使ってみようと思います。 本当は100THよりもCV5112の球に期待しているのですが・・・。
回路を見ると分かると思いますが、B電源を合わせ、固定バイアス回路の変更によって300Bpp等には簡単に変更できます。 もちろんヒーター電圧、ソケットの変更を加えると2A3等、ほとんどの球に対応出来るようになります。
その他の特徴としては、予算の関係などでシングル・アンプにする場合は下側の段の回路を省略してシングル用の出力トランスにすることで立派なシングルアンプになると思います。予算の関係を考えると前段のCV5112も12AT7をパラ接続にする事で交換が出来ると思います。 その場合は電流を確認する必要がありあます。

実際の設計
(現在1350VのB電源は初期の設計では600Vに設定していました)
基本回路を決めて、セパレート電源部が完成しました。 無負荷状態でB電源が670Vありました。 
(1)さて、抵抗値を決めて行きましょう。 その前にB電源の電圧降下を考慮に入れます。100THに20mAX4=80mAとCV5112に8mAX2=16mA,フリーダー抵抗に4mAと計0,1Aの計算です。 抵抗値は670V/0,1A=6700Ωに成ります。W数も計算しましょう。0,1AX670V=67Wです。B電源に6.7K/67Wの抵抗を付けると実際にB電源が何ボルトになるか分かります。 手持ちに6,2K20Wの抵抗が有りましたので試したところ595V迄落ちることが分かりました。 だいたいB電源は600Vで使うことになります。(抵抗のW数が足りないので素早く計らないと発熱します)。
(2)R1の抵抗ですが10mA流すためには、600V/0,01A=60KΩですので、これを基本にカットアンドトライです。 CV5112の内部抵抗が他の記事をみると20〜25KΩ位なので、R3との合成抵抗で計算しなければなりません。R2のフリーダー抵抗には2〜5mA位は流したいので、100KΩ位ですか、100K+20KΩで約17KΩですので、R1は43KΩの計算になります。R2に100KΩ、R1に少し大きめの抵抗47KΩを付けて実際に計ってみます。 この時にグリッドは0Vになるように配線を済ませ下さい。電解コンデンサC2と、WE437Aの違いでしょうか、実測では5mAですので、後一歩です。最終的にはR1が33K、R2が47KΩと決定してプレートに210V8mAと理想の電流値になりました。
調整と評価

家内には、音を聞く前に既に好印象だった!。よく見るとこの球、家内にスタイルが似ている?。出力管の設定に手間が掛かりましたが、完成しました!。 結局グリッドにはマイナス電源でした。 +電位で電圧を上げて行くと電流があがりますが、音が歪みます。 100THに100mA流しても駄目です。 −5V位では当初予定していた1本あたり20mAですが駄目です。 −15Vが今の状態では一番良いことが分かりました。 後で分かったのですが本来グリッドは+域にありグリッド電流もかなり沢山必要な球のようです。 肝心の音ですが、まだ試験用のスピーカーですが、すご〜い。 なかなか良いよ〜。 低域の迫力が特に良いです。 最近味わっていない音がします。以前作った808の音に似ていまが、この方が良いかも・・・・・。
このタムラの出力トランスを使うのは初めてですが、余裕を感じます。 また全体的にもトランスを多用しましたが、周波数特性も20〜20Kでは1db以内と全然問題なく、まことに優秀です。 ところが、パワーを上げると音が歪むことが判明しました。 調整では直りません。 危険なので高圧は「どうしようか?」とも考えましたが、ここまで来てしまいましたので、電圧を上げるしかありません。 トランスの関係で半波整流にして前段は今のままにして、出力管に倍の電圧を入れることにしました。
無負荷では1350V位になり真に危険な状態です。 皆さんにはお勧めできません。
845の送信管の製作時に約900Vを使ったことがありますが、1350Vは別世界です。 配線に気を使わないとジリジリと放電しますのでスパイラル・チューブで絶縁の強化を行いました。。 電源部の保護回路用のリレーも耐圧オーバーを承知で使わなければなりません。 また 出力トランスの耐圧も気になるところです。
100THのプレート、グリッドに電流計と電圧計を接続して電源を入れました。 プレート電流は殆ど変化なしの15mA位です。 グリッドには無心号時には電流が流れませんが、10W出力時には7mA流れることが分かりました。
ついでに特性も計ってみます。 周波数特性も10〜50Kでは0.5db以内と一段と良くなり申し分の無い特性です。 歪みはどうでしょう!。 1W時に小さな山がありますが、NON-NFBでこの特性です。 二十丸状態です!。 今は夜中なので聞くことが出来ませんが早くメイン・スピーカのアルテックA7で聞きたいですね。 
早く大きな音で聞いて感想を書きます・・・。
いよいよ完成!!・・・。
メイン・スピーカーで鳴らしますが小型スピーカーで様子が分かっていますので、チョト迫力のある曲を聞いてみようと思い「ベンチャーズ」のCDを聞いて見ました。 ヤッタゾー 最高です・・・。 最近は小出力のアンプを作って静かに聴いていたので、低域のパワーには腰が抜けます。 かなり低域まで伸びています。 次は古いCDですが「グラシェラ・スサーナ」のCDを聞いてみました。 有名なアドロ等です。 歌声も良いです。 音の抜けが良いと言う表現がありますが、まさしくその表現がぴったりで浸透力があります。 放電ぎりぎりの高圧で真空管の中で電子が飛んでいるのでしょう。 前段1段のシンプル回路でしたが、約12W(片ch)で当初予定のパワーは確保できました。本来はシングルでも30W(片ch)は望めるのでしょうが、私のシステムではこれで十分です。 先ほども言いましたが低域の感じが実に良いです。 音というより体で感じます。 プッシュプルはどうも・・・と言っていたのに、今後これを越える物が出来るのか?・・・・まいっちゃいます。 やはり高電圧のアンプの方が良いのか
益々真空管に対する情熱が尽きません。
最終変更
半端整流の回路が悪かったのか、電源トランスにウナリ音がでます。 回路を良く見たら両波整流回路に変更できましたので直したら正直な物で静かになりました。

高  圧  注  意
高電圧のアンプですので、感電注意!
電気を甘くみたら怪我では済まない!
1350Vです。本当に気おつけて下さい
高電圧アンプ製作時に約束して欲しい事
初めての方は製作できません。 絶対に駄目です。
電源スイッチを切った時に放電する回路を必ず作る。
本体内に触る前に高圧部電圧をテスターで確認する。
調整で内部を触る場合は絶縁出来る手袋を使う事。
第三者が高圧部に触れない用に絶縁対策をする事。
高圧が危険な事を承知で自己の責任で製作する事。
以上を守れない方は製作は止めて下さい

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