究極のウエスタンエレクトリック球
WE300A/2段直結ダブルプッシュプル・アンプ
モノラル・XRLコネクター対応
オール直熱管
抵抗とコンデンサを信号系から排除
 2013’ 12


真空管300Bがサムテックに有ります

シャーシーはサムテックのメーター付き

真空管アンプの事が多少わかってくるとウエスタン・エレクトリックの名を知ることになります。 そして205Dや300B等が欲しく成ります。 更にはVT52や252Aも有ります。 特に300B真空管アンプは今でも人気が有ります。 ただし、現在でも作られている色々なメーカーの物とウエスタンエレクトリック元祖300Bとは可也音質が異なります。 さて、WEの原点はプッシュプルあんぷです。VT2アンプ(WE205D)以来のプッシュプルアンプをWE300Aで実現させてみようと思います。 計画してあまりにも長い月日、時間が経過してしまい実際に使おうと思っていたパーツは既に他のアンプで使ってしまいました。 300Aに相応しい回路を考えなければと思うんですが古典式も捨てがたいし、性能も有る程度は欲しいので困ってしまいます。 回路は以前製作したシングル300Bをプッシュプルに変更したもので大きな違いは無いですが信号系に抵抗とコンデンサは使わず2段直結回路のシンプル構成は同じです。 一応、大きな違いが有ります。 前段側も直熱3極管にした事で高音質が期待できます。 折角なので整流管もウエスタン製のWE274Aを使うことにします。 いずれにしても真空管の個性を引出す為にも無帰還とします。

諸特性(モノラル)
最大出力 12W(5%歪)
周波数特性 12〜61.8Khz(−3db)
入力 RCA1.6V入力時10W出力
NFB 無帰還
ダンピングファクタ 3.5
真空管使用率 300Aプレート損失50%で使用
歪率特性 1W時0.19%(1Khz)
写真の紹介

ウエスタン・エレクトリックのWE102Lです。 前段に使う直熱3極管に成ります。 増幅率は30と低いようですが直熱管でこの数字は高いほうなんです。 今回は此れを使う事にしました。

ウエスタン・エレクトリックのWE300A出力管です。 この球も今では入手困難に成っていて幻の300Aと言っても良いです。 音質はWE300B刻印と似た印象ですが何かが違います。 また300Bプリントとの差は大きいです。
世界の名球300Bを聞き比べる

上記真空管の箱です。 製造から約70年位ですかね、中古として購入したので、やはり箱はボロボロでしたが中に入っていた真空管は良い状態でした。

ウエスタン・エレクトリックのWE274A整流管です。 足の違う274Bもあります。 刻印やナス管もあるようです。 何れも人気が上がって高価になっています。

あ、バレましたか? そうですシールドケースはコーヒーの空き缶を加工し銀色に塗装しました。 薄い鉄鉄なのでハサミで切れる程ですが切り口がカミソリの様で危ないです。 私は内面にシールド効果を上げる為に銅板を巻き厚みを確保し接着しました。 そしてグランド線も付けて有ります。 WesterenElectricのラベルはプリンターで自作。

サムテック製のチョーク・コイルの1000H−CTです。 センタータップを中点にして位相反転に利用しプッシュプルの信号を作り出します。 此処で使った製品はニッケル含有率80%のスーパーパーマロイ・コアでドイツ製との事です。 測定してみるとインダクタンスが1297H、DCR394Ωでした。 インダクタンスは大きく、直流抵抗は低い物が求められます。
グリッドチョークは他に市販されています。 以前使った事のある物も試してみましたが、今回の組み合わせでは相性が悪く高域の落ち込みが激しいナローレンジになってしまいました。 後はインプット・トランスを使う方法も良いのですが、このアンプでは使いません。
部品を集める

先に書きましたがWE300Aは入手が困難ですが300Bは色々なメーカーの物が今でも流通しています。 又、整流管274Aも私は手持ちで有りましたが純正は凄い値段に成っている様です。 ご存知と思いますが、特に整流管は劇的な変化がないので、中国製でも十分だと私は思っています。 と、言いながら機会があれば刻印が欲しいですが・・・。 300A/Bはメーカーや製造年代によって音が違います。 300B人気の元はソコソコのパワーと直熱管独特の音質、回路の豊富さでしょうか? 今回のコンセプトとして信号の通過するところには抵抗やコンデンサーは有りません。 電源回路は前段と後段と独立している為、前段や出力管を違う物に変えても電流制限をしているので比較的簡単に合わせられるのも面白い所です。 大切な真空管を安全に使う為に電源を前段後段を2つに分けた構造で前段の球が全滅しても出力段に影響が出ません。 いずれにしても今回は真空管を最大限に生かし大きなパワーを引き出そうと言う考えではなく、安全に使える様にしました。 ちなみに、前段に傍熱管を使っても問題が起こらないのが特徴です。 直結回路のアンプは安定した動作をしないと思われている方は、このアイディアは如何でしょう。 直結でありながら、別々に動作しています。 さて、300Aの仕様を見ると200V〜450V、電流は30〜80mAの範囲で使えプレート損失40W迄OKですが約半分の1本20W程度に抑えて使おうと思います。 80mA流す勇気が有りません。 パワーも歪特性も十分です。 全段作動式のアンプは実際に文句を付けることろが無いくらい低歪で高音質になります。 特に歪に強い低域はシングルアンプでは真似のできない物です。

Western Electric 300App真空管アンプ回路図
電源部
回路の説明

シンプル・イズ・ベスト。 とにかく信号系はシンプルが売りで部品を外す事だけを考えています。 上記信号系図面を見るとお解かりの通り入力から入った信号はWE102L→ WE300A→出力トランス→スピーカー。 どうですか? 抵抗もコンデンサーも経由してませんし、繋がってもいません。 此れほどシンプルな回路は過去の文献でも無いと思います。 後は各部品の素性です。 此れがプッシュプルなので凄いです。 300Aはご存じ貴重な真空管なので大切に使う為に此処では電圧や電流を抑えて使うようにしました。 普段使う0.3付近が良ければOK位の使い方にしようと思います。 真空管誕生から100年あまり、真空管アンプの進歩は其れ程でもありません。 回路は基本的なトランス結合に近いのですが、トランスの2次側を省略した形で使います。 電圧をかさ上げする為に高電圧には成りますが直結式のロフチン・ホワイトの様なアンプの構成をプッシュプル式にして組みます。 前段の球も直熱管なので音質は期待できます。 今回サムテック製のチョーク・コイルを使いました。 ま〜このトランスがカナメなんですが、差動式回路だと波形が半分、反転信号が入るので増幅率は変わりません。 後段300Aのグリッドには予定以上の信号を入れる事が出来るのでINPUTトランスを省略できました。 WE102Lの30しかないμですが此処はプッシュプル回路の良い所です。 12AX7がμ100なので此れに比べると3分の1以下の増幅率なんですね! 所が、OPTで反転した信号が整理されて2倍に成ります。 この回路で実際1.6V入力時に出力10Wに達します。 RCA入力だと20kΩ位のボリュームをつけパソコンやスマホ、CD等直接信号を入れても十分に使用できます。 電流制限をしている関係でパワーは12Wですが音の良い純A級アンプと成ります。 OPTはUTCのLS55を使用し、5Ω端子に8Ωを接続して使う事にしました。(zp=8kΩ位) 下記特性表はTAMURAのF2011の4Ω端子に8Ωのスピーカーを接続してZP=7KΩで測定した物ですが、大きな差は有りません。

今回ついでにオシロで増幅率の関係を実測してみました。 小数点以下5桁ほどある高精度機器ですがフルオートで計測値が出ます。 (普段あまり使いませんが・・・)。 RCA入力に1.0Vの正弦波を入れて測った数値を載せてます。 102Lはμ30。 実測値30.7は中々正確なものだと感心します。 続いて300Aですが資料が有りません。 測定している300Bは中国製です。 WE300Bでは3.85に対して測定値3.4と少し低めにでました! ppで2倍なのでトランスの比(√7000:√8≒29:1)で割ると≒7Vに成ります。 これは資料と実測値が略同じになったと言う事ですね! そしてクリッピングポイント(波形が崩れる所)も確認しておきます。 ん〜最大パワーを超えると直ぐに波形が欠けてきます。 低域、高域も同時に来るのでピークで13W以下で使う必要があるという事が言えます。 残留ノイズは0.7mV。 大きなケースなので難しいですが、もう少し下がるか要検討です。 これだけシンプルな信号系統を見ていると音質の差を支配する部分は気になりますね! 私が思うところ、電力の消費する比が大きい順があると思います。 やはり、出力管とOPTですね! 前段は何? 歪率、f特、性能ですか? こんな仮説をしてみました。 音質を左右する割合は前段3%、出力段72%、OPT25%。 電力から導いてみました。 回路だとか設計方法を語るより、先ず、素材の味が大きく表れるのは出力管。 何となく合ってませんか!
製作上の注意
ヒーター回路等に電源用のICを使っていますが、それぞれ放熱板が必要です。 取付孔は絶縁が必要な物が有るので、シャーシーに直接付けられません。 又、ICのIN.OUTの近くにコンデンサーを接続しないと発振してしまいます。 前段のCRDは4.5mA1本と1mAを3本並列で使い7mAに合わせてあります。 8mAを超えるとプレート・チョークトランスの規格を超えてしまいます。 2mA〜7mAに設定すれば略、特性は同じです。 ただ、WE102Lのプレート電圧が高いので電流が少ないと低域が薄くなるので多めにしました。 周波数特性も良くなります。
周波数特性
歪率特性

製作して1年以上性能もつめないまま使ってました。 今回、一度外したタイミングで測定しました。 私のシステムでは大きなパワーは不要なのでWE300Aは控えめに使ってます。 周波数特性をみると多少の凸凹があります。 古典アンプのカマボコ特性の様にも見えますがよく見ると一寸違いますね! 12〜61.8Khz(−3db)はレンジが狭いとは言えません。 昔の古典アンプではNFBを駆使しても50〜15khzだったのは今のような優秀なトランスが無かった為です。 0.4〜1W付近の一番使う音量で低歪は嬉しく成ります。 本来のプレート電圧、電流にすると凄い事になると思います。 プレート・チョークトランスはインダクタンスの出来るだけ大きな物が良く現在ノグチトランスの600Hを使用していますが、実はこのトランスが周波数特性を大きく左右します。 未だ十分では無いですが、当初カタログ値の良い80Hを購入しましたが、今よりも悪かったので交換した経緯があります。 真空管300Aは後に300Bになりました。 300Bは今でも日本や中国で作られてるので、その気になれば追試も可能です。 今回全直熱管2段の為、増幅率がギリギリです。 本来なら少しNFBを掛けられれば此の特性が更に文句なしと成るのですが仕方ありません。 実は今回の様に1段づつ電源を持った構成は3段も可能だと思っています。 そして少しNFBを入れ完璧フラットな特性も夢では有りません。 それは又の機会に・・・。

真空管アンプは高電圧を扱う為に感電事故の危険を伴います。
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