直熱3極管・4パラシングルモノ1.2W
300B直熱OTL
12AT76189W300B真空管アンプ

2013’10’10

からウロコ・・・。

今回OTLアンプを作ってみようと思います。 しかも直熱管OTLアンプです。 OTL専用の球では無い普通の300Bを使いますので大きなパワーは望めませんが直熱管で質の良い音を取出してみようと思ったのが始まりです。 過去、多くのアンプを製作しましたが真空管を使ったOTLアンプは初めての挑戦です。 本当は2A3を核にしていましたが真空管の配列が悪く、此の配置では6本仕様が熱暴走する事が解りました。仕方なく4本で行く事にしましたが2A3が4本では最低条件の8Ω1Wが出なくなってしまい、300Bを使い1Wを目指す事にしました。 製作予定に「2A3OTLアンプ」と案内をしていましたので、多くの方から未だ出来ませんか? と問い合わせがあり、その都度棚上げに成っていた物が少しずつ進んで行きました。 OTLに興味を持たれている方の多さには驚きました。 たった1Wを作り出すのが難しいと感じた1台で、出力トランスの役割の重要さが良くわかります。 しかし、だからこそ出力トランスの無い音を聞いてみたいと思いませんか? これが完成と言って良いのか判りませんが音が鳴って聴いてみると「目からウロコ・・」なにか音が生々しく聞こえます。 尚、写真の中央の2本は2A3で現在使っていませんので飾りです。

1台あたりの諸特性
最大出力

1.2W(5%歪)、1.5W(10%歪)

周波数特性 5Hz〜208KHz(±1db
回路方式 300Bの4パラ・シングル・モノラル
ダンピングファクタ 6.7(1khz)
入力感度 1V入力時1W出力(8Ω)
消費電力 240W
前段には12AT7と6189Wの2種類使いました。当初は2段のシンプル構成を考えて6AQ8を使いましたが、ダンピングファクタの悪さから3段構成に変更し、手持ちの色々な球差替え、パワーと音質のバランスの良い物を探し出しました。 
すっかり有名に成った300B。 知らない人が居ない位に人気のある直熱3極管です。此処に有るのは中国製で1年程前にサムテックから2A3と300Bを10ペアーづつ購入した物です。
電源部の一部です。 今回、スイッチング電源を使いましたが電流が多くノイズが有りました。 22000μのコンデンサーを追加してあります。
真空管の配線の一部です。 配線は自慢じゃないですが汚いです。回路変更を何度と繰り返していくと、だんだんと汚く成ってしまいます。 ま〜見えない場所なのでOKと言う事で・・・。
後方から見た写真です。 電源は全てスイッチング電源に置き換えました。 もう少し空気の流れを考えた方が賢明でしょう。 真空管は規格一杯で使うA級動作なので、温度上昇は避けられません。 出力管用ヒーター電源は当初3.3Vを2個の直列で使っていましたが、球が4本に減ったのでコーセルのR50−5を6Vに調整して1個で十分です。
スイッチング電源の見栄えが悪いのでパンチング空けされたアルミ板でシャーカバーを作りました。 薄いアルミ板なので普通のハサミで切ることが出来、穴の位置にあわせて定規を当てて曲げる事で意外と簡単に細工出来ました。 サイド板も含めて全て自作です。

最終的に300Bのグリッド抵抗を下げる為に抵抗では無くグリッド・チョークコイルに交換しました。 これはDCR420Ωと低く1000Hのインダクタンスがあります。 サムテックから発売されています。

写真を撮ったついでに・・・家族が増えました。 チワワの子犬で生後2か月で未だ500gと小さいです。
回路の設計

はっきり言ってOTLアンプの製作は初めてなのでインターネットで参考回路を随分探しましたが、私が頭の中で描いている様な物が見つからないまま製作を始めた為に多くの失敗をして手間取りました。 SEPPは複雑ですし、オペアンプやFETを使うのは嫌なので全て一般的な球を使いました。(半導体アレルギーとも言います) 出力をコンデンサーでカットするのも好きではありませんが、仕方なく我慢です。私はフルレンジ1発が好みなので自分の部屋ではローサーのバックロードホーンスピーカーを使用している為にコンデンサーはスピーカー内には無いので可能な限り音質に関係するコンデンサーは使いたくないのが心情です。
OTLアンプか〜どんな音がするのだろう!。 でも一般に使われるOTL向けの球は使いません。2A3好きの私は「やはり2A3でしょ!」と思いましたが電流を考えるとやはり300Bに落ち着きました。OPTを使わないので効率は悪くなりますが0.4A3Vを出力に確保できないと1Wが出せません。 最終的に高率の良い300Bを4本使う事にしました。とは言っても6C33Bの1個分も有りません。今までの経験で1Wをシッカリ出来れば実用に成る事が解っているので目標は最低1Wです。NFBは初段のカドードのコンデンサーを外して2.5db程、更に出力端子から8dbとOTLアンプにしては軽めの設定でもダンピングファクターは7近くに上昇します。(6189Wを2本使った時) 2段構成でNFBをやめるとシンプルで良いと思いますが、帯域は16〜50khz位まで下がります。 音を聴いてみると十分なんですが、問題はダンピングファクタが0.5迄下がってしまいます。 1以上は欲しいところです。低過ぎるとスピーカーの逆起電力に負け低域の締りが悪く成ります。最終的には3段構成で何本かの球を差替えて見たところ、予定の1Wを得る事ができました。12AX7、12BH7、12AU7等も試してみたいと思っていますが、SRPP回路なので抵抗の変更なしで交換が出来るのはこの回路の大きな特徴です。 ただし、B電源の電圧が低すぎて電流の問題があるので、やはり何でも良いと言う事は無理でしょう。回路図にグリッド・チョークトランスがありますが、これは試作中、熱暴走でグリッドがプラス電位に成った為に出来るだけ低い直流抵抗にしようと思い入れてあります。 低電流ICに繋がる20Ω20WはICの熱を分散させる為ですが、電流確認を行い、規定値に届かない場合は10Ωとします。
自慢に成りませんが下記多くの失敗をしました。

電源の設計回路の設計
電源トランスは全て特注しましたが、大電流時の時の電圧降下が大きく電圧が足りない状況となり、全て没になりました。 結局、スイッチング電源を使いました。 ヒーターは5Vの電源を6Vに調整して前段の球は其のまま使い、300Bの5Vは抵抗で5Vに落として使います。 B電源は48Vの電源を4個直列で使っています。 電圧は低めなので300Bは電流を上げていますが、プレート損失は控えめで使っています。 前段はSRPPとして互換球が多い球が刺せる一般の球です。 SRPP回路のメリットはインピーダンスが低く抑えられる事ですが、何よりプレート抵抗を考慮しなくても、おおよそB電源の半分になるので、気兼ねなく好きな球を選ぶ事が出来ます。
出力管のグリッド発振止め抵抗を省略したら、やはり発信したので各グリッドに1KΩの抵抗を付けた。
ヒーター用トランスを20AのCT付きで特注しましたがハムが多くて没。 スイッチング電源に変更。
ヒーター用電源をトランスからスイッチング電源に変更。 3.3V10Aを4個準備(2台分)。 電源オンと同時に突入電流が大きく保護回路も働かずに2個共壊れた。 5秒のリレーを付けて抵抗で電流分散して解決。 
パワー管のピッチが狭すぎた為にグリッドやプレートの温度が上がり過ぎて熱暴走しました。 中側の2本の出力管を抜き、6本から4本仕様に変更。
B電源のトランスも特注しました。 今までの経験ではトランスの電圧の約1.2倍になります。 0.5Aも流すと電圧降下が激しく電圧不足に成ってしまい没。 48Vのスイッチング電源4個を直列にして使う事にしました。
真空管の電流制御するICが壊れて電解コンデンサーの耐圧を超えてしまいコンデンサーが爆発。 同時に感電!。 200Vでも電流が大きいと体へのダメージが大きかった。
やっと出来たかと思えばモーターボーディング(2hz位の低周波発信)前段の真空管と回路の変更で苦労した。 途中、回路を触っていて定電流ICを5〜6個壊した。 この間、何度と棚上げ状態に・・・。
放電用抵抗のクリップを接続したまま外すのを忘れていて、電源を入れてしまい抵抗が燃えた。
出力管の取付けピッチが狭く中央の管の温度が上がり過ぎ熱暴走の様な症状が現れた為に6本仕様から4本仕様に変更、当然パワーが減ってしまった。(此れは痛い!)
電源部は全てスイッチング電源を使ったので高周波ノイズがある。 高周波なので耳では聞こえないのに測定器で測ると約10mVもある。(実際には問題ない)
音質と評価
パワーは1.2W(5%歪)で目標をクリアーしました。純A級アンプなので消費電力は常に240Wです。 2台分となると大電力ですが、私の息抜きの時間位は長くないので気になる事は有りません。 問題は効率の悪い分が全て熱に成ります。 300Bの真空管は1本あたり22Wと低めでの使用ですが、数が多いので全体的に熱くなります。 いずれにしてもパワーに対して随分とエネルギー効率は悪いですが、音については何か違う世界があるようです。 何か音が生々しく聞こえます! 今まで製作してきたミニワット・シリーズの1Wとはパワー感が違う低音を再生します。 少し世界の違う低域で歪感が無い自然な感じで中高域の音が妙に透き通っていて1.2Wである事を忘れます。 何よりこんな300Bの音を聴いたことがありません。 これは「目からウロコ・・・」なんですが、何かが足りない感じが有り、合格なんですが100点ではありません。
歪率特性
 0.3Wより下側はスイッチング電源の高周波の影響で特性が良く有りませんが、あまり気にする事はありません。 初段の球を変えると特製は変わってきます。 前段との球の組合せで歪の落ちけしが上手くいった時は0.8W付近迄低い状態が続くカーブになります。 今回重要なのは5%歪の時に1W以上有るかどうか? が重要な事です。
歪率特性

低域40hzあたりが1db程上がっていますが、出力の電解が大きすぎたかも・・・。ただ、前段の球の選択で変わりますし気に成る範囲では有りません。 5hzから200khz迄がフラットと言って良いでしょう。 やはりOTLアンプは超高帯域のアンプです。 素晴らし特性ですね。 そういえば・・・最大1.5Wのアンプなのに低域での歪感が無い為だと思いますが3W程度の普通のアンプと変わりがない様な印象があります。 でも、実は又2段構成に戻してNFB0dbでダンピングファクターが1まで上がる方法を模索して見たいと思います。 それが完成すると直結2段直熱OTLが見えてきます。
実際に完成に到るまではトラブルが多く苦労しました。当初用意していた電源トランスや真空管迄、殆どのパーツが入れ替わりましたが、完成してみると実にシンプルな仕上げです。

今回紹介したアンプは大がかりなシステムに成ります。 ですが、パワーは頑張って1.5Wなので能率の高いスピーカーでないと使い物になりません。 まさか、この様な物を追試する方は居ないと思いますが、一応お勧めはしません。 が、作ってみたくなっちゃった方は回路図を参考にして頂くと失敗は無いでしょう。 下記ご注意ください!


1、93db/W以上の高能率のスピーカーが有る。
2、何処にでもある300Bと言われている安い球を8本有る。(高価な球は心配なので)
3、温度が上がるのでシャーシーは熱対策を万全に。
4、TL783は放熱器が必要で絶縁も必要なのでシャーシーに当らないように。
5、10秒位の時間を遅らせるターマー回路は省略しない。
6、抵抗、コンデンサーの値を変更する場合は注意する。
7、グリッド・チョーク・トランスは20KΩ1W程度の抵抗に変更できます。
8、20Ω20Wは10Ω10Wを2個直列にする(1個でも良いがICが熱くなる)
9、2.4Ωの抵抗は誤差1%以内の制度の良い物を使用する。
以上です。 あとは期待し過ぎない事ですか・・・。

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