ACアダプター仕様
ウエスタンエレクトリックの音
WE396A、WE417A
濃密な小出力1.0W ミニワッター

MT管の小形アンプも沢山製作してきました。 どれも素晴らしいと思いますが、追試して欲しいと思う反面、自分だけの物が欲しい! ここで、ウエスタン・エレクトリックのMT管を使う事にしてアンプを企画しました。 やはり100hzで最低1Wは欲しい! 何か個性も欲しい! やはりウエスタンエレクトリックの球だな。 他には・・・。 ACアダプターの仕様で行こう!。 他には・・・ ファインメットコアのトランスにしよう! あとは・・・。

てなわけで、私の本命ミニワッターの計画です。 なんと言っても大きな特徴はACアダプターで駆動している事で、WE396AとWE417AのMT管を使ったウエスタンの音が楽しめます。 ACアダプターは24Vの物を使い、真空管のヒーターは3本直列に抵抗で電圧を合わせ、B電源はモジュール基板を使います。 回路は定電流素子を使い差動式とし、電源の容量を超えない回路として、能力を最大限に使います。 B電源は180Vと低めにして電流を多くする予定です。

周波数特性 12hz〜195khz(−3db)
最大出力 1.0W(入力0.59V)
残留ノイズ 3mV(高周波なので聞こえない)
 ダンピングファクタ 5.2
重量 1.9kg
寸法 180(横幅)x145(奥行き)X100mm(高さ)
消費電力 24V1.34A(32W)
WESTERN ELECTRICの2C51/WE396Aです。高さも低く可愛い球ですが、音が良いと評判の物です。 この球はメーカーに拘らない場合、色々な互換球が有ります。 価格も様々で数百円から数万円までと、人気が伺えます。 互換球:5670他
WESTERN ELECTRICのWE417Aです。 出力管では無いのですが、この小さな球のわりにはパワーがあります。 複合管ではありません。 この小さな体で4.5Wの能力がありますが、B電源の関係で60%程度での使用と成りました。
互換球:5842他。

ACアダプターを使うので電源トランスが有りません。 出力トランスと真空管のみが上面に配置されています。 高圧電源基板はシャーシー内部にあります。 残留ノイズは0.1mVに収まっています。

B電源はこちらの電源モジュールを使いました。 

24VのACアダプターです。 真空管のヒーターは抵抗で電圧をあわせ直接駆動させてあります。 24V2Aくらいの物が使えます。
設計と試作

小形軽量を目標に電源トランスはありません。 ACアダプター仕様で、手の平に丁度乗る程度の大きさです。 入力は24VでB電源出力は200〜300V迄可変できます。 電流は多く取れませんが200Vで70mA取れるので、此処では半固定を最小値に程近い180Vでアンプを組む事にしました。 電流が多く取れないので、片チャンネル34mAの計算です。 この低い電圧と電流で1.3Wが出てきます。 B電源を安定して使う為に、差動式回路を取り入れプッシュプル構造としました。 初段カソードの半導体2mAのCRDが4V以上の電圧がないと安定しないとの事で、電源回路にダイオードを入れマイナス電源を作り出しています。 出力段も同様としました。 此れは電流の流れを良くする為です。 此の回路の良い点は電源を安定して使う所です。 真空管ヒーターは2種類共に6.3V0.3Aなので片CH3本を直列にして抵抗で電圧をあわせました。 私のセットでは396Aが6.2V、417Aが6.3Vで差が0.1Vなので問題有りませんでした。 当初、B電源の電圧を上げ、電流を減らして設計しましたが、歪率特性が悪かったです。 NFBは12db架けてありますが、未だ感度が良すぎるので、更にNFBを多くする事でダンピングを上げても良い様な気がします。

音質と評価

ウエスタンエレクトリック球ミニワッター型アンプの完成です! 今回使用したMT管は一般的には出力管として使われない小さな球ですが音質は3極管の爽やかさがあります。 周波数特性は桁違いに良好です。 417Aの1番ピン間の電圧差が僅かでしたので無調整回路としました。 面倒な調整箇所は有りません。 後は音を楽しむだけです。 尚、残留ノイズの数値が大きめに出ていますが、電源モジュールの高周波の影響です。 実際には耳で聴こえる音では無く、此れまで作って来たミニワットアンプと変らない静けさがあります。 歪率特性等は特別優秀ではありませんが、贅沢シリーズの仲間入りです。 1W時の歪率が1.5%以内に収まった事で音質に大きく反映され、普段音楽を聴く0.4W付近が1%以下の為に余裕を感じます。 この手の球は市場では高価になったようですが、持っていて使わない方も多いのではないでしょうか? 私もその一人でしたが、手軽に作れるのと、なにより、誰が何を言おうと、間違いなくウエスタンの音です。

周波数特性表
歪率特性表
入出力特性
参考資料(ソケットは裏から見て右回りで1、2・・9です)
型番
Ef(V) If(A) Ib(mA) Eb(V) μ Rp(Ω)
6.3 0.3 8.2 150 35 6500
WE417A6.3V0.3A、200V4.5W、μ44
CRD定電流素子
ACアダプター24V用電源モジュール
注意:実はファインメットの手頃のOPT(zpの小さな物)が無かったので、手元にあったシングル用の物を使って有ります。SG端子は本来中間位置では無い(一般的には43%付近)のですが、此処ではB電源の+側として使って有ります。 掟破りですが結果は悪くありません。 元々直流磁化の問題が無いシングル用トランスなので無調整としました。 非常識の様な実験をしてみるのも私位しか居ないでしょうが、NFBの恩恵で優秀な特性が出ています。  なんと言っても結果が全てです。 全段差動式のメリットについて十数年前にべるけ氏が詳細な説明をされています。 簡単に言うとプッシュプルアンプでありながらシングルの様な信号の働きをすとの事、デメリットは若干パワーが低めな事。 氏家氏考案のフローティングOPTの構想と同じ様な特殊なOPTの使い方で、音も近い感じです。 しかし、この様なトランスの使い方でも良い結果が出るとは驚きです。

2013年1月号ラジオ技術の新 忠篤氏製作記事に似たような構成のアンプを見つけました。 やはり同じ様な事を考えるのですね。 出力も同じくらいなので少し安心しました。 紹介されていた回路はオートバランス型の位相反転回路で1Wながらトーンコントロール回路が付いていた。 トーンコントロールには約20dbの減衰があるのでNFBは架けておらず、帯域はやや狭い感じかな? 100hと10khz帯の歪特性は書かれてないので細かな事は判りませんがファインメットのOPTノグチ・トランスのFM−5Pを使ってzp10kΩで使っています。 私は試作の時、別のトランスで試しましたが、特性がイマイチだったので今のトランスを使ったんですが・・・。 だぶん、流す電流の違いでしょうか? ただ、今回製作した本機は現状ではこれ以上電流を上げられません。
てな訳で、今回、自分だけの特別なアンプを作る予定でしたが、あまりにも似た真空管の構成なので特に自慢する所が無くなってしまいました!

で、音は良くても、このままでは終れないじゃないか〜! と思いながらこの文章を書き込みしていて! 今、オークションでWE412A整流管を即決で買ってしまいました。 まいった、1本なんと9200円! MT管で初めて高価な買い物をしました。 ウエスタン球の市場は凄い事に成っている様です。 あ〜悪い癖が出てしまいました。 どうやら、このアンプ後半に続く・・・です。

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