古典式オール電話球直熱アンプ
0.7W+0.7W 2017' 2
STC4020A,STC4021A Mini Watt Amplifie
WE102F,WE104D
4020A・4021A 斜めプレート真空管アンプ

古典式真空管の登場です。 1932年頃開発されたイギリスSTC製の全直熱管を使ったアンプの紹介です。 Standard Telephones and Cables Limitedの4000番台の電話用真空管と成ります。 このSTC社は米国WE社の系列である事は知られていますね! WE(ウエスタンエレクトリック)の製品の頭に4が付いているのが有名です。 4300Aとかです。 その為、4102Dや4104Dもあります。 此処で使った4020Aと4021A更に珍しく、STC社が独自に省電力型を作ったそうです。 WE102FがSTC4020A、WE104DがSTC4021Aに進化しました。 凄いのは当時の電力事情が有るらしいのですが、元の半分以下どころか、4分の1のヒーター電力に減らして出来ています。 今の時代では考えられない快挙ですよね! 実際、このアンプの消費電力が20Wで、MT管2本のミニワッターより少ない電力で動作します。 但しヒーターの光のオレンジ色に光りません。 前段の4020Aは人肌の温度にも成りません。 今は冬ですが2021Aでチョット温かい程度です。 面白いのが真空管の中のプレートは斜めに固定されている事で、少電力にする為の製造工程の工夫がある様です。 非常に珍しい球ですが、資料をみると出力が0.25W程度と書かれていたので、中々製作する機会が有りませんでした。 今回0.3Wを目標で製作しましたが、結果は0.7Wもあり、十分に楽しめるアンプに成りました。 

参考諸特性

周波数特性

11.6hz〜77.4khz(−3.0db)

最大出力 0.7W(1khz4.5%歪)片チャンネル
入力感度 2V時0.7W
負帰還 4.9db
ダンピングファクター 2.1
消費電力 20W
出力管に選んだ球は(イングランド)イギリスSTC4021A。 1932年頃開発された球で直熱3極管です。 4V0.25A、130V20mA,−8V、μ=6。 
今回使用した4本はプレートが斜めに付いているのが特徴です。 4021Aの方がプレートが小さく見えます。 ナス管ですが、昔のゼットランプの様なイメージです。 S管と言うみたいです。

前段は同じくSTCの4020A。 こちらは刻印オーストラリア産です。 2V0.25A、160V1.28mA,0−2V、44KΩ。

英国のコンデンサーで音が良いと言えば、此れしかないですね! DIBILIER 0.25μFペーパーコン。 デュブラー・オールド。 かなりデカいので、シャーシー設計時に考慮しておかないと、後からは入りません。
絶縁タイプで5Vの小型DC-DCコンバーターを4個、其々の球に1個使いました。 入力は9〜18V。 1.2Aもとれるので300Bでも使えそうです。 小型の26mm角。 残念な事に残留ノイズは2mA位有りますが高周波なので実際に耳では聞こえません。
最近は此ればかり使っています。 220kΩはドイツのVITROHMモールド抵抗です。 2cm程の大きめな抵抗ですが0.5Wなんです。 ワット数が小さいのに大きい抵抗は音が良いですよ!
電源関係はウエスタンエレクトリックの太線を使ってあります。 一般的な0.75φに近いかな? 外側の網状の線が緩むので先端は収縮チューブを使います。
内部配線も凝っています。 ウエスタンエレクトリックとシーメンスの線材を使ってあります。 アース母体関係は銅の単線で配線しました。
RCA端子は銀メッキ処理されています。 何故か1個の真空管の中身の向きが違います。
設計と制作

珍しい斜めP(プレート)を全段に使う事が目的です。 簡単シンプルな2段構成です。 出力管4021Aの詳細がイマイチはっきり解りません。 STCの規格表を探してみると130V20mAと書いてあったのでノグチトランスPMC95Mを使う事にしました。 これで行けると思って実際にシャーシーを作ってしまいました。 で、やっちまったんだな・・・これが! 前段の2020Aの電流が予定より流れません。 0.5mAに下げても、カソード側を2V確保しようと思うとプレート電圧が160V位必要に成ります。 今回B電源が低電圧の為、B電源との差が殆ど無い事に気が付きました。 此れでは増幅率が下がってしまいます。 仕方なくヒーター電源も重さ上げして少し電圧を上げで動作させる事にしました。 資料の負荷は41kΩ〜156kΩの広い範囲が載っています。 此処では82kΩ+220kΩなので約60kΩと成ります。 出力段の電圧が少し上がりましたが、規格表のデーターには190V時プレート電流等が載っているので問題無いと思います。 ただし球の元箱にMax160Vと書いて有るのを見つけてしまった。 P−G間168Vは5%オーバーですが誤差範囲内です。 最大許容プレート電力が解りません。 2A3や300Bの通常の球はヒーター電力の3倍程度ですかね。 この4021Aの元に成ったWE104が5W程度ですが、此の球は省電力版なのでヒーター電力1Wに対して5倍はチョット心配に成ります。 190V迄上げても、固定バイアスで電流を上げても、100hzの歪を計測すると最大電力に差が無い事を確認しました。 最終的に自己バイアスP−G間167V25.7mAの4.3Wで使う事にしました。

回路図
4020A・4021A小型アンプ回路図(PDF)
ノグチトランスのPMC−95M電源トランスに合わせて製作しました。 B電源がDC95mAなので余裕が有ります。 前段の4020は約0.6mA、出力管4021Aは約26mAの設定としました。 ヒーターはDC−DCコンバーターを使う為にハムバランサーは不要となります。 前段は2V,出力段は4Vなので抵抗が違うので注意が必要です。 前段は2+10Ω、後段2+2Ω。
周波数特性表
歪率特性表
2.5KΩの出力トランスの6Ω端子に8Ωを繋げる方法でzpを合わせます。 2.5KΩを普通に使うと上の表の100hzライン(青線)に1khz(赤線)が重なる感じで特性が少し下がります。 それでも悪い事はないですが、一度表を見てしまったら、やはり此れで行かないと・・・。 ユニバーサルトランスは便利ですね。 この場合のzpの計算は3333Ω位でしょうか? 8Ωスピーカー専用になります。 数値をみると3.5kΩに極めて近いですが、2.5kΩの方が100hz帯の歪は低かったのが不思議です。 まー、出来ましたら、図面と同じがお勧めです。 この特性表は決して悪くありません。 以前製作した1WのMT管ミニワッターは0.1Wで1%歪。 此れでも音は悪くないんです。 しかし、4021Aは更に1/10の0.1%(1khz)ですから、違いは歴然です。
やるじゃないか!

これが電話球の音か・・・。 当時は万能管と言う事で用途は様々だったのかな? 電話やオーディオの増幅装置に使ったのでしょうか。 電池管とも特に呼ばれていないので小電力で長持ちを考えたのでしょう。 それが、今の時代のオーディオアンプとして立派なアンプに成るんですから、凄いとしか言いようが有りません。 今回オール直熱3極管+ファインメット・コアのOPTなので、音は想像がつくでしょう・・・。

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