WE416B単段プッシュプル真空管アンプ
ウエスタンエレクトリック・モルトン管
WE416B Push-Pull Amplifier 2010' 5' 5

真空管はウエスタンエレクトリックの417Bを使いました。今現在インターネットで検索してもアンプにした例は何処を探しても無く「へそまがりアンプ製作」にはピッタリです。この球は増幅率が200と高く、一般の真空管と違って金色で金属ケースに収まっています。何に使われていた球か良くわかりませんが4Ghzマイクロ波を扱う球で増幅率が200と高く電流も33mA迄流せる事が解りました。当初は単段のシングルアンプに成るのではないかと試作しましたが結果はイマイチでした。ならは・・・ppは如何な物か・・・と思い試作してみました。結果は2W程度ですが素晴らしい周波数特性でシンプルな単段構成のプッシュプル・アンプで製作する事が出来ました。 そこから出てきた音質は久しぶりの「目から鱗・・・」です。
からウロコ・・・。
性能表

最大出力   :2W(片Ch)x2
歪率     :0.2%(最小値)

周波数特性  :10Hz〜100KHz(±1.5db以内)
回路方式   :インプット・トランス仕様単段プッシュプル

使用した真空管はウエスタン・エレクトリックの金属管で416Bと言うモルトン管です。最初に此の球を見たときはソケットをどうしようか? と考えましたがヒーター電圧も手頃な6.3Vだった為にアンプの製作を考えてみました。4Ghzのマイクロ波用に開発された球になります。

ヒーターに電気を流して見ると足の隙間から綺麗な光が漏れて来るのが解り、ソケットを分解して端子を直接線で繋ぐ様にしました。高圧のプレート部は手で触れないように加工してアクリル系のスタットを使いシャーシーに固定する方法で製作しました。

底から見た写真です。回路図を見て頂くと御分かりの様にシンプルな配線です。球のヒーターはAC6.3Vで点火させていますが、残留ノイズは0.32mAと低く素晴らしい出来ばえです。
後ろから見た姿です。 大きなスピーカー用端子と入力用RCA端子等が一列に並んでいます。 電源トランスは磁気シールドされたハイグレード・タイプを縦配列にして入出力トランスとの間隔を大きくとって磁気によるノイズ対策も万全です。

通電時は写真の様に足の部分からオレンジの光が綺麗に漏れて神秘的に光ります。 胴体部の一番大きなガラス部分からは何故か何も光りません。

設計と試作

当初はシングル・アンプを計画しましたが規格表の270V33mAは自己バイアスの方式では無理でした。 プッシュプル・アンプなら何とか成るのではないかと思い試作もソコソコの状態でシャーシー作りをしました。回路は簡単な配線で直ぐに実験が出来ます。最終的には固定バイアスで無理やり33mA流す事はやめてカソードにはバランス調整用に100Ωの巻線ボリュームを付け、グリッドは0Vとして配線した結果、入力が無い状態で11mA流れています。入力に信号を入れ最大出力あたりで16mA流れました。実際には入力トランスを600:8KΩの様な物が有れば出力は上がると思われます。此処では手持ちに有ったウエスタンエレクトリックの物を使いたかったので600:600(CT付き)を使用しています。OPTはインピーダンスの高い物が必要と思いますがPP用の手持ちが少ないのでzp8KΩのトランスの2次側を移してzp16KΩで使ってみようと思い組上げてみました。そもそも規格表で270V33mAのデーターから単純計算で」8KΩで行けると思っていたのですが音だしの結果最終的にzp=5kΩにしました。 真空管は非常に少ない電流で動作しているので出力は期待できませんが2W出るので何とかアンプに成りそうです。プレート電圧は現在300V位で動作していますが規格ではMAX270Vと有るので整流直後の300Ωを680Ωに変更すれば規格内に入ります。実験の結果では歪が少し増えますが概ね同じような物でした。また、カソード側に可変抵抗が有るので平滑コンデンサ25V100μFを接続しましたが音出しで比べると無い方が良い音がしたので省略しました。金属管の温度ですが8時間エージングの後測ってみましたがプレート部の一番熱い所で135℃、管を固定しているグリッドのアルミ板で95℃、管の壁面で80℃位です。規格表を見るとプレート部150度、グリッド部100℃以内となっていました。この間強制空冷なしで使用しましたが特に問題ありませんでした。シャーシーの孔をたくさん開けた効果がある様です。

音質と評価

予想外の出来に驚きました。 音量ボリュームを付けてなかったのが残念ですが、外付けでアッテネーターを使いCDプレーヤからダイレクトに接続すれば最小限のパーツで音が出ているのが分かります。周波数特性はトランス・メーカーの発表している内容よりも優秀な事がわかりました。流している電流の問題と思いますが高域の伸びはマイクロ波を扱う球だけあって素晴らしいです。測定器の関係で100Khz以上は計れませんがマダマダ伸びていると思います。また、想定外の低音が出てくるのにも驚きました。 当然NFBも掛けてありません。これ以上シンプルには出来ない程の回路なので良い音がするのは当然と思いますが、真空管1段で音が出てしまうのは凄い事だと改めて痛感させられます。 マイクロフォニック・ノイズもまったく有りませんし、無音時スピーカーに耳を当ててもハム音も何も聞こえない位のローノイズです。 回路も深く追求してませんが現状で十分実用に成る物に仕上がりました。気になる音質ですが、通常のウエスタンの音とは違うようです。送信管の音を更に爽やかにした清々しい音質で他のアンプとは何かが違います。 私の好きな綾戸智恵さんのCDを最初に聞いたときにイントロのピアノが目の前に現れ置いてある位置と方向が解った様に思いました。そして其処で本人が歌っている様な錯覚する位のリアリティーがありました。

 

特性表
WEー416B規格表 ヒーター電圧 6.3V
ヒーター電流 1.18A
増幅率 200
プレート電圧 270V
プレート電流 33mA
最大電力 7.5W
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