トランス職人音質

CV5112、WE367A、805シングル・アンプ
STC CV5112 ・ 3A/167M
Western Electric 367A
UNITED ELECTRONICS 805
RCA 5U4G
送信管シングルアンプ Single Amplifier 2004'5

805真空管はサムテックに有ります

 

性能表
最大出力 50W(片チャンネル)
総重量 21Kg
残留ノイズ 0.9mV(入力オープン時)
歪率特性 0.24%(1W出力時)
周波数特性 12〜80KHz(±3db以内)
回路方式 イントラ反転
寸法 440(横)x348(奥行き)X255(高さ)mm

整流管 5U4G
いろいろな球を捜しましたが丁度良い物がこの5U4Gでした。全波整流管
の高圧タイプで電流もそこそこ取り出す事が可能です。 今回B電源は約800Vと400Vの2系統ありますので其々1本づつ使いました。

初段球 CV5112(3A/1670)
WE-437Aと同等管でイギリスSTC社製です。ハイμ・低rp3極管で初段に使うと高音質で有名な物のようで、松並氏発表の300Bシングル・アンプはトランスドライブでかなり高音質のようです。また、(故)宍戸氏「送信管による送信管シングルアンプ」でも最高の音質と絶賛しています。

ドライバー管 WE367A(WE350同等)
私としては今回のアンプの主役の真空管です。 当初はRCAの807Aを計画していましたが、この形を見たときに「これしか無い」と考えが即かわりました。内容は同社の350と同等の様ですが珍しい球だと思います。

出力管 805
高電圧の送信管でプラスバイアスやヒーターが10V4Aと特殊な為に一般には使い難い球なのか分かりませんが安価に流通されています。高価なWE300BやWE205Dを狙うよりも代金をOPT等に当てた方が良い場合もあります。

部品配置
以前東京秋葉原で購入した400X300のアルミ板に部品を置いて配置を決めます。今回は横配置が上手くできないので縦に置くことにしました。 縦置きは初めてで球を横に並べる事が出来ないのが少し残念です。

木枠の製作
部品配置が決まりましたので、木枠の加工です。 トランスの重量でシャーシが曲がらない様にトランス下部に補強の木の棒を入れました。 最近私が作るケースは全てこの方法で製作していますが、安くて簡単に出来ます。

シャーシ加工
木枠が完成しましたのでシャーシーの穴開け加工を行います。 送信管アンプの場合は特に熱対作が必要です。 普段より大目に空気が流れる様に穴を開けます。今回は角孔が無かったのでシャーシーパンチで簡単に加工できました。

化粧
穴あけ加工が終わりましたので保護紙をはがします。綺麗なアルミの下地が出てきますので触って指紋が付かないように早めにクリアーラッカーで塗装します。この方法で何時までもピカピカの状態が保たれます。

外観
部品が付いてしまうと後は早いよ!。 記念写真を1枚撮ってホームへージで紹介と思いましたが、今日は連休で天気が悪く特にする事も無いので一揆に配線工事です。この時点で既に重さ21kgありました。

熱対作
私はドライバー球のWE367Aが今回の主役と思っていますが、目が巨大な805へいってしまいます。大きさから負けています。 805のソケットを30mm下げて良い感じになりました。空気の流通を考えて多めに穴を開けました。

配線の様子
配線作業です。今回は特別な部品は使いませんでした。全て手元にある部品です。線材にも拘りは有りません。シャーシーの関係でOILコンデンサーやフイルムコンデンサーを使えなかったのが少し残念です。


805送信管シングルアンプ回路図
設計思想
(故)宍戸公一さんの「送信管によるシングルアンプ製作集」の808シングルアンプを製作して以来、この805シングルは計画はした物の特殊なトランスが多く実現が出来なかったのが現状でした。この度タイムトラベルで相談してオール特注でトランスを巻いて頂く事が実現できました。INTだけは約30mAの電流を流す関係で旧タンゴISOのNC−10を使います。球関係は好みで若干変更しましたが設計コンセプトは同じに製作する予定です。
回路構想
回路は特に説明も要らないと思いますが有名な(故)宍戸氏考案の「イントラ反転回路」です。今回は電源トランスを2系統に分け電源に余裕が出来た為に整流管を入れて作る事にしましたが結果が楽しみです。以前808の時はタムラのトランスを使いましたがNFBを掛けると発信してしまいました。 特注LISTのトランスに期待が大きいです。
部品集め
以前から計画していましたので大筋の部品は持っていましたが、ドライバー球に6L6GCは使いたく無かったので807Aを予定していました。掲示板でWE−367Aのユニークな形の球の存在を知り譲って頂く事になりトランスも特注で作って頂こうと決心しました。ISOのINT以外は特注です。相談の結果回路図の様に電源トランスは2系統、出力トランスはカソード・NFB(16Ω)も考慮して容量がCS200特と妥協無しの立派な物で、ケースサイズも同じ物で合わせて頂きました。特に高電圧を使用するアンプはPTやCHは当然ですが、OPTの絶縁、耐圧も忘れてはいけません。このLIST製は絶縁耐圧と位相特性を重視した音質重視設計なので安心して使うことが可能です。
製作と調整
805のヒーターで80Wと温度上昇が考えられますのでシャーシーには多くの穴を開け対作する必要があります。400X300の板ですが余裕が無いのでオイルコンデンサー等は物理的に入りませんので基板実装用のコンデンサを使いました。INT、OPTともB電源が入る根元にコンデンサを付けて下さい。調整はハムバランサーと出力管のバイアス設定です。回路図を参考に合わせて下さい。出力トランスには整流管の最大電流の−5%の片CHあたり130mA流しています。この電流は多少前後しても音、歪率にはあまり影響は有りませんでした。電圧変換表が50Wまでしか載っていなかったのですが後少し余裕がありそうです。K・NFBが−2.6db、A/O・NFBは−3.4の合計で−6dbと味付け程度の軽いNFBを掛けています。以前808イントラ反転アンプの時はOPTの位相特性が悪いのか発信してしまい断念しましたが、今回のトランスは全く問題ありません。注意して頂きたい事は高電圧を扱うので危険が伴います。調整時など気を使って感電には気を付け作業して下さい。原型回路と変更が多いので回路図を参考にして下さい。5112のマイクロフォニックノイズ(極板の振動によるノイズ)が多少ありましたのでこれから製作される方はフローティングすると良いでしょう。
視聴と評価

これはもう言う事が無い位に完璧で808シングルを越えるか?と思えるアンプがついに完成した様に思います。LISTのトランスはこれで最高級の位置付けとなりました。60Khz付近の盛り上りの改善等が多少残されていますが最初に思った事は良質な特注トランスはやはり最高で位相特性の良い事が音に現れているのでしょう。それとINTと直熱3極管の組合せアンプは何と言っても最高の音が出てきます。 高電圧アンプ特有の澄んだ綺麗な音質と迫力は通常のシングル・アンプでは再現出来ない物を持っている事は間違え無いと思います。今日はエージングを兼ねて長時間CDを聞きました。アンプの温度が上がりますので扇風機を微風で使いました。音楽は何を聞いても素晴らしいと思います。これだけのパワーが出るのに気になるノイズやハムは全然無い事も報告しておきます。


このアンプは約800Vの高電圧を扱いますので危険を伴います。

始めて製作される方にはお勧め出来ません。

製作する場合は感電に気お付け自己の責任においてお願いします。

簡単な資料
型番 ヒーター電圧 ヒーター電流 PK(mA) Ep(V)
5U4GB 5 3 275 450
型番 ヒーター電圧 ヒーター電流 P(mA) Ep(V) 増幅率 内部抵抗
VC5112 6.3 0.45 45 350 40 1000
型番 ヒーター電圧 ヒーター電流 P(mA) Ep(V) LR(Ω) 内部抵抗
WE367A 6.3 0.093 81 350 3200 57500
型番 ヒーター電圧 ヒーター電流 P(mA) Ep(V) 増幅率 内部抵抗
805 10 3.25 210 1500 50 2050
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