3極管6SN7GTプッシュプル
低歪0.02%(最小)
ラインアンプ/バッファーアンプ

フローティングOPT方式
6SN7GT Line Amplifie   2009 ' 9'27 By S.Suzuki

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製作のきっかけはDVD映画観賞とき一般には5.1CHのシステムを使っていますが、最近レンタルで借りてくるDVDは2CHステレオの物も多くあります。それなら音の良いオーディオ・システムで聴きたいと思った事に始まります。ところが現状のシステムはCDデッキに対応していますが入力セレクターが付いていません。其の為入力切替機を作る必要が出てきました。以前製作した3A5ライン・アンプですが、音が良いので自分では気に入っていますがボリュームを廻す時等にハウリング(マイクロフォニックノイズ)が気になる事があるので作り直しを考えました。色々考えましたがラインアンプと言っても真空管アンプなので真空管の明かりが見える様に今回は発想を変えて新規に考えてみました。真空管配置は曲線をイメージしてみましたが・・・・。

主な特性
歪率    0.02% 0db0.775V時(最小)
周波数特性 10〜45kHz(−3db)
残留ノイズ 0.015mV
整流管はソ連時代に作られた6X5/(6Ц5C)軍用です。6.3V0.6Aで電流は最大でも75mAの規格なので小電力機器に向いています。一般に良く使う5AR4等と形は殆ど同じですがピン配置は全然違い電圧も異なるので互換性も無く使用には注意が必要です。

6SL7と共に有名な6SN7GTで管内部には3極管が2回路入っています。 6.3V0.3A、300V2.5W、増幅率20の性能です。高信頼管の5692やECC32/CV181等が使えます。内部抵抗が低いので直接トランスに接続が可能で使いやすい真空管です。

半導体の定電流素子です。規格は色々ありますが今回は4mAの物を使い1回路に4mAの4回路で使っています。品物は誤差があるので可能な限り選別が必要ですが、実際には真空管にも誤差が在ります。この部分は100Ωの調整用ボリュームで調整が可能なので神経質になる必要はありません。

配線内部です。信号が通る場所の抵抗は可能な限り巻き線抵抗を使ってあります。部品点数は少ないのでノイズ対策と高音質には此れが一番と思います。セレクターは2回路なので簡単なシーソー式スイッチを使いました。 電解コンデンサーは普通の安物ですが0.1μはフイルム製を使ってあります。

電源スイッチは回転式の物を選んだので左右のツマミは右が電源、左が音量VRです。当初電源トランスと出力トランスの間にチュークコイルが左右に入っていましたが電源のハムを拾ってしまい仕方なく外しました。回路図のB電源終段の450V400μはハム対策で100μのコンデンサを適当に3個追加して4個の合計値です。

回路と感想

ライントランスはノグチトランスのファインメット・コアの8K:600Ωを使いました。手にとって見ると価格の割には小型で安っぽい感じが在りますが品物は優秀です。回路は氏家さん考案のフローティングOPT方式を参考にしています。但し、ライン・アンプなので大電流を必要としないのでB電源にはチョーク・コイルを使わずに定電流素子で最大電流を規制しています。回路の大きな特長はトランスにDC電流を流さないで使う方法で低域の周波数改善が目的です。仮組みでSRPP回路を作り4mA流れ始める電圧を探りました。現物合わせの出たとこ勝負でアマチュア域の自由設計です。結果は約260V位が4mA流れる開始位置になりました。真空管の内部抵抗を計算すると真空管1回路あたりで31KΩに成るので本来トランスの1次側が適正値では無い事が分かりますが手持品に適当な物が無いので仕方有りません。出来れば最低でも20KΩにしたいところです。回路では定電流素子が働く電圧も考慮してB電源には少し高めの300Vに設定して最終回路を製作しました。製作途中で問題が発生して電源トランスの磁界がチョーク・トランスを通して出力トランスに直接入ってしまい、真空管を挿さなくてもハムが在る状態でした。「やっちまった」と思いましたが、磁界が原因なのでチョーク・トランスを外す事にしました。結果的には計算で抵抗分割させて多くの電解コンデンサを使いハムの無いB電源を何とか構成できました。ファインメットトランスの感度の良さが逆に災いしました。電源スイッチは6A迄使えるので外部機器のON・OFFも可能にしました。ラインアンプの必要性の一つに音質は勿論ですが此の機能は欠かせませんね!。プッシュプル回路を組むにあたり、差動回路の方式を辞めてグリッド・チューク・トランスで反転信号を作りプッシュプル回路を組みました。SRPP回路に半導体を使い1回路4mAの電流制限をして出力回路にトランスの1次を入れ100Ωのバランサーで0Vに成るように調整してあります。此れによってファインメット・トランスの1次側にはDC電流は流れなくなります。テスターの制度にも関係しますが多少の値はフラフラしていても±0.2mV位に調整ができます。この調整も0Vに近いほど精神的に気持ちが良いです。最終的に仕上がってみると歪率が桁違いに少ない事が解りました。0db(0.775V)付近が最も低く0.02%で丁度実用時の音量が良い場所当りが優秀で前回製作した3A5アンプでは最低が0.2%でしたので更に10分の1以下の低歪に成っています。元々バッファーアンプの役目は此の0〜1Vの範囲の音を出来るだけ綺麗な信号でパワーアンプに送らなければ必要性が無いわけですから低歪は必要不可欠です。それなら「アッテネーターだけでも良いか?」と言うと、そうではなく音の広がりや奥行き感等の臨場感に違いが有るのは間違い無い事と思います。又、ボリューム最小位置での残留ノイズも極めて少なくて真空管がシールドケースに入っている訳でも無いのに0.15mVの性能で此の数値でみても凄いアンプである事は間違いありません。周波数特性も良く本当に良いアンプが完成したと思います。電源部に半導体を使ったお陰も在ると思いますが偶然にも予想以上に結果が良かったので今後も此の特性を超える物を作るのは結構大変な事と思います。もしラインアンプの製作を検討の方には少しは参考になると思います。 当然、パワーアンプの前段の回路にも使えますね!。

周波数特性表
歪率特性表
矩形波:1khz
回路図
感電注意
今回のアンプは高圧部で最大340V近くまで上がりますので追試される場合には感電に十分注意して下さい。特に出力トランスの中点(橙線)の部分は電源OFF時も放電しない為に何時までも電気が溜まった状態になります。此処を理解していないと思わぬ事故になってしまいます。修理や点検時は1KΩ程度の抵抗で放電が必須です。
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