6SL7、2A3 シングルアンプ
SRPP回路2段・低歪で充実した音質!
5CG4,6SL7,2A3 Single Power Amplifie  2016'2改

PCのクラッシュで以前の回路図が一部消えてしまったアンプを再度製作してますので、回路が一部変更に成ってしまっています。 今回ご紹介するのは初段の6SL7GTと2A3のシンプルな2段構成の回路です。 前段にGT管を使いたい場合は6SL7は一般的なものです。 GT管では他に中々良い球が無くて6SN7の2段+2A3の構造が考えられます。 MT管ではもう少し選択範囲が有りますが、ここでは6SL7に拘って歪率を改善してみようと思います。 2A3は私の一番好きな出力管で3.5W出力(5%歪)は一般的な話として、一番使う1W辺りの歪率を少し下げる事を意識してみたいと思います。 

諸特性 
最大出力 4.0W + 4.0W(1Khz4.8%)
周波数特性 9〜27.5Khz(−3db)
ダンピングファクタ
入力感度 1.0V入力時3W

GT管の6SL7GTです。此の球は今でも製造される所が有るのでメーカーを気にしなければ入手が容易です。 6.3Vのヒーター電圧で2回路入った複合管です。 増幅率が約70と高くアンプの前段に良く使われ、12AX7と並んで人気が有ります。

出力管の2A3は1933年頃開発された球で種類が多く今でも中国やロシア等で製造され入手は比較的簡単です。中には2A3Wと言う高信頼管やヒーター電圧の違う6A3、6A5G、6B4G、もあります。写真はタングソルの1枚プレート初期の古い物で、後に2枚プレートに変わっていきます。
世界の名球2A3を聞き比べる

全波整流管傍熱型の5CG4です。 何か変わった球が無いか探していて偶々見つけた整流管ナショナル製です。 
信号を繋ぐ結合コンデンサー0.22μFはOIL製の物を選びました。
回路の見直し

6SL7GT、2A3を使用した2段のシンプル回路のアンプですが、6SL7は1mA流すと電圧が足りず、0.5mAでSRPPの中点が120V前後となり、その時の内部抵抗は結構大きくて、ドライブ能力が低く本当は組み合わせとしては難しいです。 ましてや、前段をSRPPにしてしまうと、前段の歪も減って、出力段との歪打消し効果も減り大きな改善は難しくなります。 私は6SL7が特別好きな訳では無いですが入手性が良いので1つの提案をしている訳です。それでも、組合せを変えずに特性改善を再度行いました。 元々2A3は約3.5W(5%歪)が一般的です。 1Wで1%位のものです。 シンプルな2段構成は製作も容易で音質が良いと言われていますが、増幅率の高い球は内部抵抗の関係で何かと弊害が出てきます。 今回、自己バイアス回路を固定バイアスにして、普段の動作ポイントより少しずらして、しかも正確に14Wの使用率で製作しました。 半固定ボリュームでの調整箇所が有ります。一般的な2A3の使い方はカソードに750Ωを入れ60mA、P−K間250V15Wの自己バイアスで使いますが、2A3は耐圧は300V迄、15W以内で問題なく使える出力管です。 そこを260V53mA14Wで動作させます。 調整は簡単で真空管を入れずに電源を入れ、−40.2Vのポイントの電圧をテスターで先に調整してから実際に合わせていきます。 結果的に2A3カソードの6.4V地点を合わせて完了です。 多少の電圧差があると思いますが、概ね行けると思います。 私も、手元の幾つかの球に差し替えてみましたが、特に問題なく動作しました。 出力管は30mm下げてOPTと高さを合わせて、電源トランスにアルミのオイルコンデンサーも高さを合わせ、全体の見栄えを上げてあります。 

6SL7GTは増幅率が大きいので多くの場面で使われますが何かと使いにくい部分も有ります。 しかし2段構造のシンプルな回路が売りです。 先に製作したロフチンホワイトのなごりで2A3カソードコンデンサーはB電源部につながっています。 この方が特性がさがりますが、音質の面で有利となります。 本来、固定バイアス方式の場合は此の抵抗もコンデンサーも外す事が出来ますが、信号の通るラインをチョット工夫すると、音質が上がるのが面白いです。入力感度に少しだけ余裕が有ったので、入力1.0V時に約3W出力に成るように2dbのNFBを掛けてあります。

周波数特性表
典型的なカマボコ特性ですが、此れで十分で20hz〜20khzでは−1db以内に入っています。 NFBは2dbだけ。 ダンピングファクタが少し上がり、締まった低域が魅力となりました。 6SL7の内部抵抗が高い為にミラー効果が大きく出て高域の伸びが抑えられてしまいました。 何れにしても、直結アンプも良いですが、低歪アンプも中々良いですね! 固定バイアス回路のお蔭で抵抗の温度上昇が比較的少ないので長時間使っても温度上昇が低いのは大きな魅力です。
歪率特性表
普通の2A3真空管アンプは約3.5W位が標準で、5%歪です。 今回は4W出ています。 問題は普通に使用する1W付近はどうなの? というところです。 だいたいが1Wで1%ぐらいが普通じゃないでしょうか。 私も案外何も考えないで使っていますが、理想は低い方が良いので、動作ポイントや打消しの良い所を探ってみました。 シンプルな2段構成がウリの6SL7GTでも此の位の特性が出ると惚れ直してしまいます。 でも、この辺りが限界ではないかな。 鬼の首を捕ったと言う程でもありません。 一応、結合コンデンサーの0.22μFはオイル製の部品を使っています。 特性表を眺めると歪は下がって4W(5%)です。 気持ちが良いですが、1%の歪が0.5%に成っても、実際に音はどうなんでしょう? 正直言うとあまり変化は解りません!。 球独特の音質があって、動作ポイントが少し違っていても音質は変わらないですよね。 歪率や周波数特性は音質とは結びつかない部分が正にこの状況です。 1Khz1Wで0.44%なので、確かに安心感はありますが、それだけです。 6SL7と2A3との組み合わせでも何ら問題が無いと言う事です。 しかも、このアンプは過去製作した2A3アンプの中で、高電圧部が一番低い設定なので、温度の上昇も低く抑えられるので良い所が多くお勧めできるアンプになりました。 ロフチンホワイト式で約500V。 自己バイアスCR式で約300V。 今回は280Vに抑えてあります。 71Aや45と言った球も音質が良いのですが、どんなに頑張っても2A3の様な力強い重低音は表現できないので、普通に安心して聴ける直熱管の真空管アンプは2A3だと思います。 
回路図や特性等は保障出来る物ではありませんが、完成時に測った物を掲載しています。
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