自分で1台作ってみませんか?
是非一緒に作りましょう。

6SL7・832A/FU32-pp送信管アンプ
6SL7・832A Push-Pull Amplifier
インベーダーのようなカタツムリ球

真空管FU32はサムテックに有ります

此処では新規に回路を作り実験をしながらオリジナル・アンプを製作する過程を簡単に紹介します。今では誰もが真空管のアンプは良い音が出る事を知っています。832Aアンプは筆者も初めて作るので、通常と同じ手順で製作を始める事にします。更に今回は初めて製作される方に危険が少ないようにB電源を200Vに押さえました。しかし出力は片チャンネル7W出せる立派なアンプを組立てたいと思います。一般の真空管アンプのB電源は350V前後の物が多いので此のアンプは比較しても低い電圧で動くのが解ると思います。
変わった形の真空管
真空管は元々使用目的があり、それに合わせて設計されている物なので用途は様々です。今では一般の機器では真空管を使う必要が無くなり出番があまり在りません。私が社会人に成り立ての頃はオーディオの他にアマチュア無線も趣味が在りましたが携帯電話の発展と共に一つ趣味が減ってしまいました。ただし、オーディオマニアは嬉しい事に今の時代でも真空管の音質を超える半導体が中々無いので、自作して楽しく聴いて楽しい趣味が続ける事が出来ます。違う目的で作られた球、特に戦争目的で作られた球も平和的な利用で高音質な音の出るアンプに仕上げる事が出来るのです。一般的な真空管をはじめ、特殊な送信管や受信管、様々な真空管を私たちの力でオーディオに利用して活用してみませんか?
性能表
残留ノイズ 0.3mV
最大出力 7W(片CH)
歪率 0.5%(最小)
周波数特性 4Hz〜100KHz
総重量 約9.4kg
寸法 330(W)x225(D)x205(H)mm 
6SL7GTを使いました。1本の管の中に3極管が2回路入ってます。計画はプッシュプルアンプなので好都合です。増幅率も70と多いので一段で出力管をドライブ出来比較的簡単に回路を構成できます。
2B32/832Aです。ツイン・ビームの小型送信管で頭に角が2本でていてユニークな形をしています。良く似た球で829B2B94がありますが此処ではプッシュプル回路でアンプを製作します。
家にあった1000円程度の「かご」を利用しました。強度が弱く直ぐに割れてくると聞きましたので内部に角材を入れボンドで補強し網状の材料も瞬間接着剤で全部とめてあります。底は四角にくりぬいてゴム足をつけ空気が流れる様になっています。

回路の検討
前段回路の検証を行います。プッシュプル・アンプなので信号を上下に分離する回路が必要になります。入力トランスや中間トランスを使うと簡単に信号が取り出せますが価格が高いので安価な回路で処理します。分離と言っても移相を反転させる事が目的なので、ここでは差動式回路を組んでみました。差動式の原理を簡単に説明すると2つの同じ回路を構成しカソード(6SL7の3.6ピン)に一定の電流(1mA)を流しておきます。入力無しの時はこの2回路がバランス良く均等に電流が流れています。そこに片側の入力に信号が入ると信号の入った真空管は電気を流そうとします。所がカソード側には1mAの定電流ダイオードが入っているので規定以上の電気は流す事が出来ません。そこで反対側の真空管の電流を減らし電気を流そうとします。電流の減った側の真空管には結果的に負の信号が生まれ移相反転の信号が取り出せる仕組みです。回路図を参考に電流計を用意してB電源を何ボルト供給すれば良いか検証します。

回路の検証
初段には6SL7GTを選択しました。一般的な球ですが増幅率が高く2回路同じ物が入った複合管で使い易いのが特長です。仮配線を行いソケットに真空管をセットします。電圧関係は0Vにセットして電源を入れます。ヒーター電圧を6Vに合わせ真空管の点灯を確認して電流計を確認しながら1mA流れる迄電圧を少しづつ上げます。116Vの時に1mA流れるのを確認しました。0.001A=116Vx(抵抗値)Ωなので116V÷0.001A=116KΩが前段部分全体の抵抗値として計算します。定電流ダイオードをショートさせて2mA時の電圧も確認したところ194Vでした。最終回路では100〜194Vの範囲内に成る様にB電源を調整する事にしました。この様に使用可能な電圧範囲は広いので後の電圧合わせは簡単な事がわかります。

実際の音で確認
此処で試作した回路を簡単な音だしチェックを行います。写真の様なクリスタルイヤホンに0.1μ400Vのコンデンサを直列に入れた物です。ゲルマニユーム・ラジオで使われる様な物で最近では圧電タイプに成っています。イヤホンの片側を黒のテストピンを付けコンデンサ側を緑のテストピンを付け「音テスタ」を製作します。此れが以外と重宝で修理時とか色々に使えます。入力にCD等の音楽信号を入れ音が出ているか確認して見ましょう。黒ピンはアース側に接続し緑ピンを入力の信号ラインに付けて音が出ているか確認して下さい。アンプの電気を通電しなくても小さな音で音楽が聞くことが可能です。次にテスト回路に電気を入れ6SL7GTのプレートに緑のピンを付けます。両方共に音が出ているのを確認できたら差動動作の回路が正常に働いている事が確認できます。

レイアウト
前記紹介したのは前段の回路ですが簡単な試作が終わり構想が出来ました。出力管側の回路は一般的回路なので試作の必要は無いと判断しました。次にシャーシーのレイアウトを考えます。私としては恒例の1枚板シャーシー方式です。
部品を配置する場合に注意することは、電源トランスの存在です。この電源トランスは他のトランスに影響を与える為に問題の多い部品です。可能な限り他のトランスと離して対置させます。入力トランスや中間トランスは特に磁力の影響を受けやすい部品です。また、特に出力管は高温に成る物が多いので真空管ソケットの周りには風穴を開け空気が流れるようにします。又、ホーロー抵抗等の熱が出る部品も熱対策が必要です。一番敏感なのは入力トランスでOPTの影響までも受けますのでOPTの横に置く様な配置は上手くありません。また、整流管と初段側真空管も極力遠い位置に配置させます。今回はプリアンプ無しでCDプレーやからダイレクトに接続できるようにボリュームをつけました。その為6SL7GTは少し後ろへ寄せて音量操作は中央の手前側に配置して操作時には高温部に触れない様に配置しています。 全段にわたり傍熱管なのでAC点火としてハム・バランサーも不要です。部品は手持ちの中古品を多く使った為にトランスの一部のネジは錆びていました。インチネジでJISネジは適合しないので諦めました。

シャーシー作図
現物合わせで配置が決まりシャーシー加工用に図面を書きます。私は簡単なCADソフトを使っています。穴位置がわかり易いように中心には+のマークを入れてあり、ボール盤や電気ドリルで穴を開けます。多少のズレは穴を大き目に開ける事で解決できます。最初は小さな穴から順番にあけると誤差が比較的少ないと思います。電源トランスのように四角にあける場合は4mm程度の穴を沢山開けニッパで穴と穴の間を切っていきます。最後に平やすり等で仕上げて下さい。なお、電動工具のジグソーがあると直線部分は勿論ですが曲線や大きな丸穴も簡単に仕上あがるので有ると便利なツールです。

電源一次側の配線
私が何時も製作する順番に紹介しようと思います。半田ごてとテスターは最低必要な道具です。最初はスイッチ、ヒューズ、トランスの1次側から行い製作の準備になります。ヒューズは安全装置なので絶対に省略は出来ません。テスタをACレンジ合わせ電源トランス表記の電圧出ているか確認します。無負荷なので数値は高めに出ますが少し配線してはチェックして安全に確実に進めていきます。
真空管のヒーター回路配線
50/60Hzの地域によっても電圧は変化するので各球の適正電圧に合うように制限抵抗を入れる等して適性電圧の5%以内の誤差に合わせます。この部分には若干注意が必要で参考回路図と同じに成らない場合があります。その為に自分で多少変更させる必要が出てくる場合があります。全部のヒーター関係の配線を終わらせて通電して確認します。異常が無ければ此の時点で球のヒーターエージングが可能なので24時間位の球のエージングをお勧めします。当然B電源の配線はまだ無いので球の温度はそれ程上がらないので自然空冷で大丈夫と思います

B電源の配線
此処では特に注意が必要で高圧部分の配線です。ブリーダー抵抗は忘れないように必ず付けます。この抵抗は電源のプラス側からアースに繋がる抵抗の事で電源を切った後に放電させる為の重要な部品です。動作チェックの時は感電防止の手袋を必ず使い最善の注意を払います。B電源にテスターを繋ぎ確認すると解りますが、電源OFFから1分位は電圧も高く危険な事が解ります。電圧が30V以上あると大概は感電しますから注意して下さい。今回の回路は固定バイアス方式なので出力管のグリッド(入力側)にはマイナス電源が必要なので其の部分も配線します。

真空管カソード側の配線
真空管のカソード側の配線を行います。此処からは少し注意することが有ります。それはアース線の処理です。アース線とはグランド線、つまり電源の0V側の事です。経験上で最も問題が少ない一点アースの方式で配線します。シャーシーの1箇所にマイナス側の線を集中させます。これはシャーシから信号の回り込み等でハムが載るのを抑える為にする対策の事です。この対策を無視して作った場合は、ハムやノイズに悩まされ失敗する事が多いので注意が必要です。線材が長くなり線を追加延長する場合はアース側の線を延長させます。この線は長く成っても良いので必ず一点に集中させて配線します。

信号関係の配線
信号関係の配線は沢山ありませんので直ぐに終わると思います。2本づつ100KΩの抵抗が繋がる部分は2箇所在りますが信号が極力短く成る様にしてコンデンサも其の位置におきます。とにかく極力線を短くする事です。グランドのマイナス線は長くても構いません。ボリュームに繋がるシールド線も両側のシールドを配線してはいけません。1箇所のアースになるように配線しアース側で線がループしないように注意して下さい。NFB(出力トランス16Ω側)の抵抗は此処ではつけません。

最終チェック
順調に此処まできました。各項目ごとにチェックしながら進んで来ましたので大きな問題は無いと思います。一呼吸して電源を入れてみます。スライダックが在る場合は徐々に電圧を上げます。1分位しても問題が無いようでしたら各電圧を再チェックします。図面と同じ位の電圧が出ていれば概ね動作しています。テスターをACレンジにしてスピーカー端子に電圧が無い事を確認します。発信等のトラブルが在る場合は8V前後の電圧が在ります。出力管のプレート電流を確認してみます。プレート・キャップと管の角部分の電流を測ります。此処は高圧部分なので感電には十分注意して下さい。5KΩの半固定を回し電流値をあわせます。私は手持ちの電源トランスを利用した為に大きな電流が取り出せないので1回路のプレート電流を20mAにしてます。本来は30mA以上でも問題ないので実際使用する電源トランスに合わせてください。 但し現状でも7Wの出力(片CH)あるので無理に上げる必要は無いように思います。電圧を上げても音質やパワーが変わるので自分の耳を信じて好みで決めても良いでしょう。第2グリッドは実験では4本で8mAの電流でした。此処の部分も電圧との関係が在り、音にも影響します。6SL7GTは定電流ダイオードを入れているので2本で2mA以上は流れません。測定器があれば各部チェックを行い、無い場合は早速ですがCD等の音源を接続してテスト用のスピーカを使い検査してみましょう。音が歪まないで音が出ればOKです。最後にNFBの抵抗を配線します。この時に音が多少小さくなる事を確認して下さい。変化な無い場合は配線ミスが在ります。また、音が大きくなる場合は極性が反対で位相が180度ずれています。これは出力トランスから出力管のプレートに繋がる1次側の配線を反対に変えることで直ります。

本機の視聴
球をエージングすると更に高音質になりますが、今の音は如何でしょうか? 綺麗な済んだ音は期待以上の音質で驚かれた事でしょう。周波数特性もよく広帯域なアンプに仕上がっています。本機は信号系にコンデンサー結合していますのでコンデンサーの材料によっても音質は大きく左右します。オイルコンデンサ等色々ありますが此処ではフイルム系のコンデンサーを使いました。決して高価な部品ではありません。B電源部は電解コンデンサーを使ってあります。本当は此処にもフイルムやオイルのコンデンサーを持ってきたいのですが容量の大きい物は高価でサイズも大きくなシャーシーに入らないので辞めました。ボリュームはアルプス製のオーディオ用角型100KΩを使いました。プリアンプやラインアンプを使用している場合は20KΩの巻線抵抗を入れボリュームを省き更に高音質に成ります。この巻線抵抗は大きな容量でもが20KΩが限度です。直列に5個いれて100KΩにするのはかえって良くありません。私は電源部を除き信号が通る部品の音に関係する物は並列や直列にしないように心がけています。好みの問題もあると思いますが一般の抵抗と巻線抵抗の違いは此の私でも判断でき、確かにノイズが減り透明感が増します。私は秋葉原の海神無線で購入した時は1本950円で一寸高価ですが其れなりに価値のある部品です。
送信管832真空管アンプ回路図
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