シーメンスBo、幻の古典管4624シングル・アンプ
Siemens Bo
Philps 4624

Mullard GZ37

ヨーロッパ管シリーズ オール直熱3極管 Single Amplifier 2004'1

Bo:1926年頃のSIF製造です、シーメンスはSIFの球を使用しております、規格はBaのヒータ違いですが電極構造は全く異なります。 非常に古い作りの球でステムにはプラチナを使用していますので当時は大変高価だったと思われます。
CV378/GZ37:誌上でもよく見られるマラードの大出力型整流管です、今では人気もさることながら高価に成ってしまいました。CV378にはマラード以外コッサーも有ります、マニアにとっても非常に便利な整流管です。
AD1、RV258系MiniWat 4624(オランダPhilips)。
1932年E707、RV258共に同等特性、ベースはW4

7.2V/1.1A、800V/35mA
 板プレート。 サイズは211、245、805等と似ています。
出力管4624の大型シングルの板プレートで透明感の良い音を期待できます。 根元から丈夫な作りになっています。 今回はプレート電圧を約500Vに設定して5〜6Wのアンプを目指して製作することにします。
LIST製INPUT:ハイパーマロイの大出力タイプです、一般市販品に比べコア容量が大きいので低域でも大きな出力を得られます、今回のアンプの目玉でも有ります。600Ω:15KΩ(1:5)
OPT、PT、CH:今回は全てカットコア使用です。PTは静電シールドも有り、EIコアに比べ電圧変動率1/3以下と非常に優秀です。OPTは小型カットコア使用です、特殊巻線で位相偏差が極めて小さく高域にはピークやディープはありません。これ等トランスはLISTの長年の技術の結晶で生まれました。
抵抗250KΩ:負荷用に使用する英ERIE(英国抵抗器)の抵抗は別名”犬の骨”と言われているタイプで戦前に英、USAで作られました。今回1Wタイプですが通常の物よりも大型です、この抵抗は無垢の抵抗器の上にカラー塗装した簡単な構造です。音には定評があり使われた方々から高く評価されています、問題は抵抗値の誤差が大きい事です、古い抵抗ですから仕方はない様です
オーマイト1KΩ可変型:おなじみのオーマイト”ブラウン デビル”の可変型です、オーマイトはWE他多くのメーカに抵抗器を提供しておりました。USAではIRC、W-L(ワードレオナード)等と有名なメーカの一端を担っています、今回は箱入りで取付金具も付いています、使う者にとって本当に便利な一品です。
コンデンサ 2x50MF フィリップス:多分非常に珍しいコンデンサと思います、US8Pにての固定タイプですから大変古い製品と思います、これまでヨーロッパの古い電解は誌上等には出て来ないので詳しい事は全く分かりませんでしたが今回使用との事で結果も楽しみです。
シーメンス製のコンデンサー350V200μです。 固定は大きなナットで止めます。 耐圧の関係で2個直列にして使いますが、ケースがグランドになっています。 絶縁処理をして使う事になります。
ヨーロッパのOILコンデンサー DC660V(AC330V)5μ。整流管の直後に2個並列に10μとして使います。片側に大きなナットが付いているのでシャーシーに付け易いのが特徴ですが、上部に線、端子が露出するので絶縁処理をする必要があります。
RIFA 100μ25Vコンデンサー。 今回は初段のシーメンスBoのカソードに使用してみます。 最近のコンデンサの形状と違い味のある形をしています。
今回使用予定のコンデンサー類です。 緑色のコンデンサーは0.33μのOILコンデンサーで、右の2個はシーメンスの0.18μ、下の白い物はスイッチのON/OFF時のノイズをカットする為の物です。
AWG20のエナメル・シルク線。1940年代から50年代初期のWE(ウエスタン・エレクトリック)の線材です。錫メッキ線をエナメルで包みさらにシルクその上にクロスを被覆された非常にコストの掛かる方法で作られWEがコスト度外視で音を探求する結果生まれた物です。この当時の物がWEのワイヤーの中で最上、最良のものと言われています。
4624用RCA W4大型真空管ソケット。 球のピン番号は底からみて、広いほうを手前に右手前から左回りで、プレート、グリッド、奥の狭いピン2本がヒーターです。 写真のサイズで約100mmあります。
タイト端子、端子台です。 ナットタイプなので、ソケット等の止めネジに其のまま付きます。通常のラグ端子と使い分けながらスッキリとした配線を心がけて製作します。 あと1個足りない様な場合に便利です。

部品配置を検討します。 今回のINPUTトランスは感度が良いとの事で電源トランスからの距離を離した位置にして左右対称の配置に決めました。 今回ヒーター回路はDCとして、ICを使いますので、ハムバランサーは省略する事にしました

部品の配置が決まりましたのでシャーシーの穴明け作業から始めます。 当初シャーシーは塗装する予定でしたが、保護紙を取ったら綺麗なアルミ板でしたので、今回もこのまま未塗装でいく事にしました。
シャーシーを取り付ける木の台を作ります。 不要になったシャーシーを利用して直角(90度)を正確に接着します。 木ネジを使わないので1本づつ正確に行いますので1箇所1日かけての製作になりました。
木の台も完成しました。 エゾ松材を使ったお陰で製作に時間が掛かりましたが綺麗な木目が出ましたので、ラッカー仕上げのみとして着色はやめました。2月初旬私の部屋にも雪が降りました。 そうです・・室内でサンダーを使い磨いたら大変な事になってしまいました。

底面です。 ヒーター電源の電解コンデンサーは現代の物ですが良く見ると古典部品が多いのです。 中央下部の放熱器はヒーター用のIC回路でナショナル・セミコンダクターLM338を4回路作ってあります。

今回使用した球のピン番号です。 底面から見た図面になりますので参考にして下さい。 

4624シングル・アンプ回路図(INT結合)
4624シングル・アンプ回路図(CR結合)
設計思想

いつだっただろう。 掲示板に4624の紹介が入りました。 あまり詳しくない私ですが調べたら随分高価な球でした。 なんとか無理をお願いして譲って頂く事になり、詳細も仲間の協力で入手できました。 透き通った音質が特徴と聞き、球の性能を引き出すには半端な物は作れません。 タンゴ、タムラ、ハモンド、UTCと色々なトランスが有りますが、最近使ったLIST製が格段と良かったので、今回は4624の特性に合わせて特注で作って頂く事にしました。このLISTトランスは使用する球に合わせて最良の物を作っていただけますので標準仕様内ですと価格UPは有りません。 また電源トランスの重要性は分かってはいる物の、手を抜いていましたが、今回は本当に良い物を作りたかったので、パワートランス、チョークトランスと全てLIST製で作る事にしました。

回路構想

今回使う出力トランス、チョーク、電源トランスが決まりました。 さて問題は初段に使う球の選定です。私の好みから3極管にしたい所で、出来たら直熱3極管が理想です。 高音質で有名な球は高価なのと面白味が無いので使いません。 写真では見た事があるプレートが横になったシーメンスのBoが有るのを知り一発で惚れました。 増幅率に多少の不安があるのですが、INPUTトランスを入れて解決です。 また、せっかく入力トランスを使うので、キャノン・プラグ式の600ΩでCDプレーヤーからダイレクト接続をすることにしました。 概ねの構想が出来ましたが、人間は欲の深い者です。 私の好きなINT回路です。 掲示板で発表したら不評でしたが両方聞き比べて最終的には良い方にします。 このINT(インターステージ・トランス)は一般の物とは大きな違いがあります。 導線2本を軽くよじり同時に巻いてあるバイファイラ巻と言う物です。 この巻き方により、位相ズレが極めて少なくなります。 また周波数特性も悪くなると思っている方も間違っています。基本的に比率は1:1で作ります。 絶縁、耐圧等は難しいのですが、LISTのINTはこの辺を全てクリアした素晴らしい製品だと言うことです。 INPUTトランスも良い物を使わないと問題です。 このトランスは無くても良い物ですから、当然、高音質を狙って入れているのはお分かりだと思います。

電源電圧も500V以上になりますので製作経験の浅い方には危険が伴いますので、お勧め出来ません。 全て自己責任で行って下さい。

私の好きなトランス結合
INT:25KΩ適合。バイファイラ巻INTはマッキントッシュ20W2、50W2アンプで使用されました、このINTの特長は位相偏差が全くない事、内部抵抗の大きい球でも使用できる事す。位相偏差が無いと言う事はNFBをかけても発振しないと言う事です、叉12AXAの様な高内部抵抗の球でも使用OKです、マッキンのアンプではPP:PPでしたがLISTではPP:PP以外にもS:Sも製造しています、通常のINTとは違いパンクしやすいところ有りましたがLISTではその問題もクリアー出来現在では2KVでのテストもクリアーしています。
部品の調達

真空管アンプを作るにあたり、真空管を始め部品を集めるのが大きな問題になります。 今回は出力管の入手に伴いトランス類はLIST製と決めていました。 初段球は友人に相談して私好みののシーメンスBoと決まりました。 この球も簡単に入手出来る球ではありません。LIST製トランス取り扱いをしている仲間に相談して貴重な小物パーツも一式の形で殆どの部品を集めていただく事が出来ました。 下記に主な部品表があります。あとは私が見栄えの良いケースを作る事です。

最終調整と音質

今回のヒーター回路はDCタイプとしてレギュレーターICを使いましたので、この部分でのノイズは全然ありません。ハム・バランサーを外して20Ωを2本使い代用しました。調整箇所が無くなりましたので完成後は球を抜いた状態からチェックを行い仕上げる事が出来ました。レギュレーターICの温度が上がるのが気になりましたので、抵抗を入れ負荷を減らす事にしました。 この抵抗の温度もそれないに高温になりますので熱対策は必要です。
フイルム・コンデンサーは200時間のエージングが必要との事なので、しばらくの間は、このままで聞きながら、後日特性はその後計る予定です。今の感じでは特性などは必要も無い位で大変に満足です。出力も7Wの実力が有りました。
音質は当初から期待していた透明感の意味が分かりました。低域の迫力もあり、抜けも良くこの雰囲気は今まで経験の無い音です。本当に気持ちの良い音を聞かせてくれます。 音の表現は伝わり難い物ですが、過去数十台の中で1〜2番の出来栄えと言ったら分かるでしょうか?。 ハム等のノイズも全くありません。 今回もアンプ完成に向けてCDを一枚買ってきました。CD店に行きジャズのコーナーでジャズ・バイオリニスト寺井尚子「 Jass Waltz 」を見つけました。 買ってきて思いましたが、何時からバイオリンが好きになったのだろう・・・。 メインのスピーカーで聞く時1番に聞いてみました。 音楽もアンプも最高です。3曲目のダニーボーイもジーンと来ます。7曲目のFLYING IN THE WIND もいい雰囲気で寺井尚子が、またまた「やってくれた」って感じです。バイオリンが舞う、哀しく、優しく、美しく・・・の言葉がぴったりです。

コンデンサ結合の音も優秀!。
その後、MJ紙で松並さんの4624アンプが発表になりましたが、こちらの回路は6BM8のパワー管ドライブのCR結合回路でした。 私も最初は2A3のパワー管ドライブも考えていましたが同じ様な事を考える物だと我ながら関心しました。INTの音質は良いのは分かっていても、サイズやコストの問題で作れない場合もありますので、CR結合の音も聴いてみようと思い改造してF特を測った所、こちらも抜群の特性でした。 音質を下げない様にビタミンQのコンデンサを使い回路図を作りましたので参考にして下さい。INPUTトランスを使用していますので、Boの1段でも音量的にも問題有りません。周波数特性は10〜60KHz(−3db)、14〜40KHz(−1db)と優秀で、無帰還アンプとは思えません。音の透明感、しっかりした音像、素晴らしいの一言で、またまた幸せを感じる素晴らしいアンプの完成です。
仲間の評価:ニューヨークの林立するビル群が思う浮かぶ・・・「摩天楼」アンプ
最大出力 :7W
総重量 :15.2Kg

残留ノイズ :0.9mV
歪率特性 :0.12%(1W)
入力感度 :800mV(7W)
消費電力 :80W(アイドリング時) 
周波数特性 :10〜60KHz(−3db)コンデンサ結合
4624真空管アンプ総評

 

CR結合とINT結合の両方とも素晴らしいのですが、

今回私は最終的にINT方式を選びました。

どちらの回路構成も球が直熱3極管なので私好みの良い音です。

良い物を作ろうとしたら電源回りも手を抜けなと思います。

トランス、コンデンサ、抵抗、球、線材と拘りを持って取り組みましたので、

どれ1つでも手抜きをしても、この音は出ないでしょう!・・・。

と同時に、これを越えるアンプが容易には出来ない事も感じます。

 


4624シングルアンプ 主な部品表
   品   番     詳   細 数 量
初段球 Bo シーメンス 2本
出力管 4624 フィリップス 2本
整流管 GZ37 マラード 1本
  ソケット PO5 Bo用 2個
  ソケット W4 4624用 RCA 2個
  ソケット GZ37 1個
INPUT 入力トランス LIST ハイパーマロイ600Ω:15KΩ(1:5) 2台
INT インターステージ・トランス LIST 25KΩ適合バイファイラ巻(10mA) 2台
OPT 出力トランス LIST カットコア 7K、10KΩ:8、16Ω 2台
CH チョーク・トランス LIST CS40 15H150mA カットコア 1台
PT 電源トランス LIST CS250 470V150mA特注 1台
C1 630V14μ フランスSCR メタライズ ポリプロピレン FILM 3個
C2 630V47μ フランスSCR メタライズ ポリプロピレン FILM 2個
C3 5μ330VAC(DC660) ヨーロッパ OIL 2個
C4 200MF350V シーメンス 2個
C5 100MF25V RIFA 2個
C6 0.18μ400V シーメンス 2個
C7 2×50MF300V フィリップスUS8P 1個
C8 VITAMIN Q 0.47 1000V SPRAGUE(CR結合時) 2個
C9 アークキラー ルビコン 1個
R1 84Ω USAホーロ10W 1個
R2 100KΩ 国産酸金5W 2個
R3 1KΩ25W ADJ オーマイト 2個
R4 2.4KΩ マイクロオーム1W 2個
R5 250KΩ 英ERIE 1W 2個
R6 100KΩ UKホーロ 10W 1本
R7 20Ω 酸金2W 2個
R8 20KΩ DTO 6W 1個
R9 12.5KΩ スプラグ 5W 1個
R10 1.2KΩ ドイツ 2W 2個
VR1 100KΩ2連ボリューム アルプス 1個
  シールド線 ベルデンOLD(1950年代)エナメル綿被服 1m
  ワイヤー 40's Western Electric 20GA エナメル・シルク 10m
  銀ハンダ    
  タイト端子   2個
  キャノン・プラグ   2個
  手作りケース   一式
 今回製作の主な部品についてはこちらのタイムトラベルから購入しました。   
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