たった1石で10W!
電球アンプ

シンプルで簡単1石FETアンプ
 2013’12

300B真空管OTLの音が良かったのでOTLへの概念が変わりました。 そこで、前から気に成っていたアンプを作ってみたくなりました。 専門誌「ラジオ技術2011年9月号」に日本語に翻訳され紹介されてたアンプです。 DE-LITE Amplifierはネルソン・パス氏が発表したアンプです。 内容は良くできた300Bアンプ位の特性が出たとの事ですが、発表されて数年経ちましたがインターネットで検索しても追試された方は見当たりませんでした。 詳細は解りませんが、OTL嫌い、半導体嫌いと言ってましたが、たった1個のFETで300Bアンプと同等の性能が出ると言われると、チョット話は別で、そのシンプルな回路の音を聴いてみたくなるのは私だけでは無いでしょう。 しかも、抵抗の替わりに電球を使ったアイディアの発想が面白いと言えます。 LED照明に押されて、電球の製造も終わってきています。 そうなると急速に消えていきそうなのですが、今のうちに電球アンプを1台作ってみたいと思います。

特性(モノラル)
オリジナルの追試
変更後
最大出力 9.4W(1khz5%歪) 8.8W(1khz5%歪)
歪率特性 1W時0.5%(1khz) 1W時0.75%(1khz)
周波数特性 3〜140khz(−3db) 13〜29.4khz(−3db)
入力感度 0.8V時10W 1.3V時10W
ダンピングファクタ 0.34 2.5
残留ノイズ 10mV(試作時) 0.1mV(完成時)
NFB 5db(ソース側電流帰還) 5db(G-D間負帰還)
消費電力 290W 290W
写真の紹介
試作時の様子です。 スライダックを使い少しづつ電圧を上げていき、無調整で歪の少ない抵抗値で設計しました。 実際には現物合わせですけど・・・。
試作が終わり、ケースを作りました。 木造アルミ貼付け工法? モノラル・アンプを2台を組込みました。 約20Kgは腰を痛めそうです。 更にヒートシンクが有るので持ち難いスタイルに成ってしまいました。
トランスからブーンと言う唸り音が聞こえます。 一寸気に成るのでシャーシーケースの上面の蓋も作りました。 あれ、何か・・・格好が悪いような気が・・・。
後方もスッキリしています。 電源コネクター以外はモノラルなので左右2台のアンプを作りました。 勿論ヒューズも2個あります。
電源投入後10秒間がこの状態で、その後明るく光ります。 動作時のイメージは写真と違い、ずっと明るく、色も白に変わり眩し過ぎる明るさです。 度を超えた明るさは私の好みではありませんので後日ステンドグラス等でカバーしようと思います。
ノグチトランスのMP−355の電源トランスです。 1個7.2Kgあり、重量級。 これを片チャンネルに1個使い、モノラル・アンプを2台作ります。
MOS−FETはIXTH6N50D2を使いました。 このFETはG−S間が0V電位でも電流が流れるのでこの様なA級アンプを作る事が出来ます。 1Ωの巻線抵抗は20W必要ですが、私は50Wタイプを選びました。
電源用のコンデンサは無負荷を考えると100Vを超える為に160V33000μFを選びました。 写真中央下側にある小さなコンデンサーが35φなので大きさが判断できると思います。 約80φと大きなコンデンサーです。
無調整でEFTに約2.2A流す様な回路定数です。 電源トランス容量は実際の1.6倍は必要で、3Aのトランスでは容量が不足します。 今回5Aのトランスを使います。 FETは30Wの放熱が必要なので大型のヒートシンクを使いました。 サイズは140(高さ)x254(幅)x50mm(厚み)、フィンが20枚の物を選んだので触れない程熱くなる事は有りません。
入力負荷抵抗が低い方が良いと思い、最終的にグリッドチョーク・コイルを使いました。 1000Hのインダクタンスがあり、DCR420Ωと直流抵抗が小さいのが特徴で、センター端子もあるので、プッシュプルアンプの入力等の位相変換にも使えます。 
RCA端子やスピーカー端子、電源コネクター等は真空管アンプと同じ物を使いました。 AC入力端子以外はモノラル・アンプを2台作る事になります。

各メーカーで電球の生産がだんだん終了してます。 私は1個300Wのクリア電球を探しましたが、少し眩しい感じです。 赤外線電球の方が良いかも?。 トリタンの送信管よりも凄い光があります。 是非、電球の輝きを楽しまれると良いと思います

部品を集める

上記紹介した写真のパーツが殆どなので、部品点数はメチャ少ないです。 電源トランスの都合で70Vを整流することに成ります。 整流後約85Vだったので、予定の100Vより15V減りましたが抵抗値を変え約2.2Aの電流は流れているので問題ありません。 当然、最大パワーは減ります。 半導体のFETは入手が困難だと思っていましたが見つかりました。 面倒なのが電球で、生産が終了に成ってしまいました。 今回は300Wのクリア電球を探しましたが、数年もしたら無くなるでしょう。 ヒートシンクは大きな放熱器が必要です。 電解コンデンサーは数万μFの物が必要で160V33000uFの大きなサイズを使いました。  スイッチ投入時にヒューズが切れてしまう事がありました。 電球が灯るスタート時は抵抗値が低いのが原因ですが、これを回避する為にリレーを使いました。 リレーは1回路5Aなので2回路並列にして10Aで使います。 トランスの電圧を半分で立ち上げ、数秒後に正規な電圧に成る簡単な構成です。 予算は約3万円程度+電球カバーに1.5万円のステンドグラス(安曇野アートヒルズミュージアム)を2個購入し加工装飾してみました。

回路図
 

此処に使うFETは入力が0Vでも電流が流れるデフレッションモードの特殊なタイプです。 一般的な物はエンハンストモードと言い、トランジスタと似ていて、B−E間、あるいはG−S間に0.6V位の電位差が出てしまいます。  回路図を見るとお解かりだと思いますが、3極管の真空管に良く似た図と成り、しかも、シンプルな回路なので音質も期待できそうです。 オリジナル回路ではバイアス抵抗にコンデンサが無い為に5db程の電流帰還が掛かっています。 尚、電球は明るく灯るので部屋の照明は不要でしょう。 ちなみに、音圧によって明るさが変わる様な気がしますが、実際の光は安定して見えます。

周波数特性
歪率特性
オリジナル回路で不足していたファンピングファクタを改善する為に回路変更をました。可視聴範囲は問題ないもののダイナミックレンジは狭くなりましたが十分な特性です。 ボンついた音が締って、魅力のある音に変わりました。 最大パワーは頑張れば10W以上出ますが、落とし穴が此れ、10Khz帯域の歪が直線的に成っていてます。 本来、この3本の線が重なるのが理想なんですが、FETのゲートの入力容量の問題か電球の特性かは不明です。 
気になる音質
オリジナルの追試をしたアンプの特性を測ってみると、良い所ばかりではありませんでした。 トランス自体から出るブーンと言う「うなり音」が気に成ります。 更に高域歪が多く、ダンピングファクタは0.3前後で誉められる値ではありません。 勿論、特性だけで音質は語れませんが、音を聴いてみると低音が何か物足りません。 まあまあの音なので一安心ですが、どうも、此れで満足とは言えず、回路に手を加えてみたくなりました。 半導体なので真空管特有の柔らかみが消えますが、どんなジャンルでも熟す頼もしい感じがするアンプです。 トランス自体の音を下げる為に木製のケース内に入れて隠す様に仕上げました。 ネルソンパス氏も言ってます。 このアンプはダイヤモンドの原石だと! 磨いて手を加えて最終的にダイヤモンドになると言う物ですが、複雑化させてはいけません。 何と言ってもシンプルがウリです。
回路変更
試作時はスライダックを使い、徐々に電圧を上げていきましたが、普通に100Vを入れると突入電流が大きい為6Aのヒューズでも直ぐに切れてしまいます。 仕方なくリレーで突入電流を減らすように対応させました。 元々単純な回路なので此れ以上何も出来ないなーと思いましたが、配線を極力短くしてNFBの方法を変更してみました。 結果は良好でダンピングファクターは2.5に成り残留ノイズは0.1mV迄下がりました。 低域が締り良い感じに成ってきました。 真空管アンプ以上にダンピング・ファクターの値の違いが音質に変化を感じます。 電球が予想以上に明るく眩しいです。 

最終的な回路図をご覧ください! どうでしょうか? この簡単な構成で大きな音が出てきます。この大きな電球は受け狙いのパフォーマンスですね! 電圧を下げ12Vの電球用で作れば1/3の電力で同等のアンプができそうです。 まだまだ発展の余地が多くありますが、此れは此れで良いアンプで、なにより音楽の原点、楽しさあふれるアンプです。 

追試される時の注意事項

電球が切れた場合などはコンデンサーに100V位の電気が蓄えられ、自己放電するのに可也の時間がかかるので感電には十分注意してください。 又、20Kg以上の重さになるので、腰を傷めないように。 最後に重要な事は、電球の上部の熱は1個150W以上に成るので棚等に入れるのは火災の危険があります。 勿論、子供が手で触れない環境も必要です。 A級アンプは音質が良いのが特徴ですが、欠点は常に電力を消費するので熱量が多いことです。

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