取っ手付き送信管RD12Tf シングル・アンプ
12C3C,12P17L, RD12Tf Single Amplifier

真空管に取っ手が付いた面白い形をしています。部屋の明かりを消して眺めると弱火で料理をしている鍋に見えます。ドイツ軍レーダー仕様の球と聞きました。 扱い難い球でしたが試行錯誤の結果立派なステレオ・アンプに仕上がりました。

性能表
最大出力     5W(片CH)
総重量    14Kg
入力感度   300mV時5W
歪率特性   1.6%3W時
周波数特性  20〜20khz(±3db)
回路方式   前段CR(コンデンサ)結合、終段INT接続
寸法     440(横)x290(奥)X190(高)mm

初段に取手の付いた球を選んで組み合わせました。 左から初段に12C3Cで下部の一部がガラスに成った3極管です。ソケットは特殊なピッチなので自作しました。右側はドライバー管の12P17Lでメタル管の5極管構造です。
出力管はドイツ軍用管でレーダー用の特殊な球でローレンツのRD12Tfです。こちらは取手と言っても鍋の蓋の様な取手が付いています。プレート損失は75Wの3極管ですが今回は発熱を抑える為に31W程度に抑えました。
シャーシーの製作です。何時もと同じ製作方法ですがガスバーナーを使って木目を浮き出させて見ました。少し黒くなり過ぎましたが予定してた物より良い感じになり満足です。
今回製作したアンプの真空管ソケットはすべて自作しました。足の部分はMT管のソケットから外して使ってあります。右側のソケットはラグ端子を利用しました。大きい方はガラスエポキシ基板で球を挿した溶きに6mm位浮くので熱対策も万全です。
本機の底面です。 電源トランスは手持ちの古い物を使った為に大きさが一回り大きいです。チョークトランスはケース無しの安価な物を使ったため、下面に配置してあります。
大失敗で作り直し。真空管ソケットを自作しましたがプリント基板の電極が近過ぎたみたいです。自作ソケットを製作する場合は隙間を十分にとらないと高電圧の為に放電してしまいます。
後ろ面です。 電源トランスの両サイドの黒いパーツは小型の電解コンデンサーでラグ端子を使いシャーシー面に出て来るように加工し全部で8個あります。スピーカー端子は8と16Ωの2種類を用意しました。
回路の構成

今回の出力管RD12Tfを調べましたが、何時もとは勝手が違う様です。カソード側に1KΩの抵抗を付け自己バイアス回路で実験すると500Vまでは数ミリアンペアしか流れません。固定バイアスにすると100V以下でも簡単に100mA以上流れてしまいます。しかもグリッドが2V程度の低い電圧での話です。グリッド電圧を10〜30Vは確保したかったからです。此の球はオーディオには向かないかな? とも思いましたが、ミックスさせて見たところ適度に調整が出来るようになりました。 グリッド電圧を30Vに固定してカソード側に抵抗を付けプレート電流が60mA流れるようにしてみました。

気になる本機の音は

テスト用のスピーカーで実際の音を聴いてみると音が歪んでいます。現在は電源トランスのB電源は450Vの端子ですが320Vの端子に変更した事により音は良くなりました。但し金気の音が混じり込んだ通称のブリキ音が聞こえます。私はこの音にも魅力を感じない訳ではないのですが、「之が又良い音だ」等と言うと「お前の耳は大丈夫か!」と言われそうなので直しました。簡単に言うと12P17Lの増幅度が高く入力感度が良すぎたのでNFBを約6db掛けました。更に電流を90mA迄上げて3W時に1.6%になりました。通常音楽を聞く1W程度の辺りで歪率改善をさせると3W時に10%を超えてしまうので5W時に10%に成るように合わせたのが最終です。最初に試聴する音楽はカノンの「Wings to fly〜翼をください」と思って迷わず選びました。最終的に辿りついた音は送信管からの力強く震撼するような透き通った綺麗な声でピアノを弾いている姿が想像できます。この妙な形のアンプで音楽を聴いている時が私にとっては至福の一時です。


型番 ヒータ電圧 ヒータ電流 Pi(mA) Ep(V) 増幅率 (W)
12C3C 12.6 0.103 30 100 12.5 0.275
型番 ヒータ電圧 ヒータ電流 P(mA) Ep(V) (W) Grid2
12P17L 12.6 0.325 38 150 4.4

150V

型番 ヒータ電圧 ヒータ電流 P(mA) Ep(V) 増幅率

内部抵抗

RD12TF 12.6 0.6 100 400 50 3125

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