大型送信管FU33/833A シングル真空管アンプ
6GL7, FU33/833A Single Amplifier

FU33真空管アンプはサムテックから購入が出来ます

このアンプは大型送信管のFU33/833Aを使ったのが特徴です。本来は放送設備等に使われた信頼度の高い3極直熱真空管で3000V350W級の凄い球です。高音質を望み25W級ファインメット・コアのトランスを使いました。その為に本来は50W以上は軽く出そうな球ですがトランスに合わせて25W(歪率5%)に標準を合わせてみました。その為B電源は安全性を考え高電圧を避けて送信管では低めの500Vにしてイントラ反転結合回路で組んた結果、大体の目標に達しました。片チャンネルたった2本の真空管で、しかも3極管のシングルで25Wは凄い事で音質も素晴らしい物に仕上がりました。

性能表

最大出力
残留ノイズ
入力感度
周波数特性
回路方式

25W(歪率 5%時
0.9mV(入力オープン時)
100mV時 2W
20〜58khz(−3db)
イントラ反転結合,NFB 5.5db

初段には3極管が2個入った複合管で、6EM7等と似た感じの物です。出力管はFU33/833Aで大きな球で350Wの能力が有り、何よりも業務用に作られた丈夫で長生きが一番です。 この真空管には多少高価ですがファインメット・トランスを組合わせる事にしました。 トランス単品で1個5万円以上の物の購入は久しぶりで勇気が必要ですね!。

大型送信管を使ったアンプを製作する場合、一番問題になるのが電源部だと思いますが、大量の電気が必要な出力管のヒーター10V10Aはスイッチング電源を使いました。出力トランスの近くには配置したくないのですが物理的に無理でした。結果、写真のように真後ろに設置しましたが、特に大きな問題は有りませんでした。

アンプ底の部分です。B電源は真空管を抜いた時には560V位に上がるので450Vの電解を2段直列に使い900V迄対応可能とました。シャーシーに余裕が有れば630Vのフイルム・コンデンサがお勧めで高音質が望めます。 また、球の温度対策としてシャーシの中央に12Vの低雑音DCファンを付け10Vで駆動させ、更に静かに回しています。

製作途中で音を確認しながら未知の真空管の最良点を探っていきます。シャーシーはサムテック製で出力管2本の電流監視とB電源の500Vを監視できる優れものです。メンテナンス時はこの電圧計を見て0Vに成ってから作業する事で感電を防止できます。

製作構想と仮組み
今回は高電圧を扱うのをやめました。球の頭にある電極の黒い部分が実は金属に塗装してあるだけなので、不用意に触れてしまうと感電する可能性が有るからです。実は試しに1000V迄上げる事でグリッド電圧0Vでも80mA位流れるので丁度良い感じでは有ります。トランスは余裕の500Wタイプを用意しました。トランスは最大160mA迄流すことが出来ます。実際に仮組みをしていきました。回路は前段と出力段とは完全に分離して考えます。 仮組の時、球の発熱が凄いので強制空冷しました。

前段回路の作成
可能で有ればシンプルにしたい所です出力管を十分に生かせる為に1個のアンプが出来る位の立派な物をつくりました。この部分だけでも1〜2W低度のアンプとして十分通用します。2段の3極間を直結(ロフチン・ホワイト)回路にしたのも特徴でしょう。電流もタップリ流し定格10Wの80%の約8Wで使いました。イントラ反転用のトランスは1:0.4で60mA流せる物を選びました。此処でも最大定格の80%の46mAに設定しましたが、本当は出力管のグリッド電流に大体合わせた20mA位の方がモット良いのかも知れません。ただ、このグリッド電流は固定では無いので私は1次側が2次側の影響を受けない様に安定を狙いました。

出力回路の作成
この大きな球を見たときに「アンプに成らないかな〜」でした。 4本入手出来たので特性の近い2本を使いました。早速ヒーターを灯し電流の流れ方を調べましたがグリッド電流も予想以上に流れます。グリッド電圧0Vでも実際には良い感じでした。プレート500V時には50mA位流れるのを確認しました。 このままでは出力が少ないのでグリッドにプラス電位を入れて電流を上げて見まし160mAも流すとトランスの関係で低域が極端に落ちていきます。結果120mA時が20HZ(−3db)ギリギリでした。 電流は少ない方が周波数特性は良さそうです。20.3V時に120mAだったので0〜20V位の範囲で使える球と見当が付きます。 どの部分でも澄んだ綺麗な音には変わりませんが、繊細さや躍動感は変わって来るので後で決めれば良いと思います。 と同時に歪率も変わって来ますが、特性を重視しても音が良くなる事が無いので余り気にする事は有りません。 この辺はシーソーの様で何かを良くすると何処かが悪くなる・・・と言った感じです。

視聴の感想
私が所有しているスピーカは全て高能率なので本来は大出力のアンプは必要が無い訳ですが、実際使ってみると余裕のある真空管シングル・アンプはとにかく音が違います。 通常のアンプと同じような周波数特性なのに何故この低音が出るのか不思議で、
別世界の音がします。 大パワーなのに残留ノイズも1mV以下なので普通の状態ではスピーカーから何も聞こえません。CDをスタートすると突然音が出てきて、「あ、電気が入っていた?」 と思う位です。 今回組み上げたアンプは最も音に影響の有るファインメット・コアの出力トランスを中心に特性を含め良いアンプに仕上がりました。 カソードNFBは構造上無理なので断念してオーバーオールのNFBは5.5dbとしました。 周波数特性等に拘らない場合はNFB用の抵抗を外しNON−NFBの音も確認してみるのも良いと思います。 私は電源回路を除いて抵抗は1本でも少ない方が気分的に好きなのでNFBは外し、今は3極管の音を楽しんでいます。

特性表
FU33/833A 真空管アンプ 回路図

此処に紹介したアンプが斬新な形になりサムテックより発売になりました。 高級パーツを使用した超贅沢な組立てキットのアンプです。 製作は多少難しいので中・上級者向けですが、B電源を可能な限り低く抑え約500Vに設定しました。 最良点を120mAの設定で送信管特有の音、オール3極管の音を堪能できます。

真空管オーディオフェアで準備中の時間でしたが、佐久間 駿さんと対談する事が出来ました。 FU33の大きな送信管を手にした佐久間さん。 私のFU33アンプを聴いて頂きました。一声は「柔らかい良い音だね、ローサーも良く鳴っている。ローサーは設計が難しいのに良くできている。設計に苦労したでしょ! 本当に良くできていますよ。」 と話がはずみました。 お世辞にしても其処まで言われると設計した者としては本当に嬉しくて光栄です。

魅力ある真空管とアンプ・ラジオの最新情報をチェック