SRPP直結2段・小型真空管アンプ
230XP/VT23・5751 ロフチンホワイト
ACアダプタ仕様  2015'5

MT管ミニワッターシリーズを沢山作って、3A5でソロソロ良いかな?と思っていた所、直熱3極管の音の良さを再認識して、71A/112Aコンパチアンプをつくりました。 71Aに限らず、2A3や300Bの様なオーディオ球は多くのマニアが作っているので、私は違う物を作りたい「へそまがり」です。 前例が無く、真空管の資料も無い様な変わった真空管アンプが良いなーと思って手持ちの球から選びます。 後で資料が出てきて指摘されたり、そっと変更する事もありますが、それは良いんです。 又、似た傾向の音でガッカリ「する事も有りますが、少しの違いを求めて、さまよっています。 と、いう事で英国コッサー社製VT23小型ナス管があった。 なんか小さくて、しかもナス管。 ミニワッターにはピッタリの球じゃねー! 前段にはGE製5751を選んじゃうよ。 VT23の資料は無いので、箱に書いてあった検査メモを頼りに作ることになります。 とりあえず「やる気スイッチ」はオンになりました。 はたして、どの様な音が出るのか楽しみです。
写真を見ると一見普通のアンプに見えますが、このナス管は随分小さいので、超小型アンプに成ると思います。 

今回製作したアンプの諸特性です
周波数特性 8hz〜34khz(−3db)
最大出力
0.8W+0.8W(5%歪)
ダンピングファクター
3.3
入力感度
1.0V入力で約1.0W(8%歪)
NFB
3.6db
回路構成
2段直結ロフチンホワイト
消費電力 24VACアダプター(1.2A)
寸法 186(横)x126(奥)x116mm(高)2kg

随分前から持っていましたが、存在を忘れていました。 12AX7同等と思っていましたが増幅率は70です。

英国COSSOR社230XP。 直熱3極管(電池管)、 2V0.3A,μ=4.5。 コイル型スプリングでM字に引っ張ったヒーター線はオレンジに光って灯ります。 ガラス表面に若干の凸凹を感じます。 いかにも手作り感が漂います。資料
150V22mA-(18V),Rp1.5K,RL3.5K,Gm3000μmho,μ4.5

トランスケースは各辺66mmなので小さなケースです。 中央の電解コンデンサーは端子部に丸型の部品を作りシャーシに接着剤で止め、絶縁を考慮してあります。 電源トランスは有りません。 なんと、ACアダプター式。 

真空管ソケットにアクリルの化粧板を作りました。 サムテック様にCADデーターをDXFファイルにして送ると作って頂けます。 写真は鏡状の物で綺麗です。
高電圧モジュールはおんにょ様のブログで知り購入しました。 ところが、新型タイプは大き過ぎて入りません。 今回、旧型タイプのモジュールで、FETリップルフィルターを別途追加しました。 尚、ヒートシンクは想像以上の温度に成ったので基板に付いていた大きな電解コンデンサーは外しました。 
大きさの比較です。 右側が先日紹介した71A/112Aコンパチ・アンプで、これも本来は小さなアンプですが、左が今回の作品。 手前に有るのがタバコで、4個並べた位の大きさです。 重量は約2kg、ACアダプターが300g位かな!
ACアダプター構想
前作71A/112Aアンプの回路は整流管やタイマーを使わない構造でロフチン・ホワイト式アンプが出来たSRPP式の画期的な回路でしたので今回も同じ構想です。 トランスケースに合わせる為に出力管を3cm下げてマウントさせてあります。 真空管のピンがあるので、5cmの深さの有るアルミケースですが、底にギリギリに成りました。 小型化実現の為、市販の高電圧モジュールでB電源を確保します。 なんと、ACアダプターを使う真空管アンプです。
回路の簡単な説明

前段SRPPの出力には120KΩでグランドに落としてあります。 少し低めの抵抗にしたのはヒーターカソード間の電圧が超えない対策と、電源投入時の出力管保護の為の抵抗です。 本来はモット大きな抵抗値でも良いのですが、実験中は最初CR接続で回路を作り、後にコンデンサーをクリップでショートさせて試作していったので120kΩを外すのを忘れていた後遺症みたいな物です。 前段の球に流れる電流より、この抵抗に流れる電流の方が多いのですが、何故か、現状が一番良い状態で、いつも詰めが甘いのが自慢です。 この信号取出し部を76VにしたのはDDコン昇圧器との兼ね合いも有り、低めの電圧設定です。 5751前段カソード電圧が0.9Vと低めになってますが、元々は12AT7で設計していた為で、真空管の入替えノミで歪を計測したので、チョット電流が少な目の設定に成ってしまいました。 何れにしても2段構成アンプなので、組合せの結果が良ければ「結果オーライ」とします。
 電源投入時の過電流を抑える為に真空管ヒーター回路には抵抗で電圧を下げてあります。前段は2本直列でACアダプターの24Vを直接接続します。 1本当たり11.8V前後で動作させていますが若干歪率に関係します。 例えば歪5%時に適正値12.6Vにすると4.8%に下がります。 出力管は24Vから5Vに絶縁降圧タイプのDCDCコンバーターで電圧を落とし、更に抵抗で2V迄下げて行きます。 この回路はL・Rch其々のVT23に回路を組む必要があります。 B電源高電圧モジュールは非絶縁タイプなので注意が必要です。 最近はステップアップ・スイッチングコントローラー専用ICが有るのでFETとコイルダイオード等少ない部品で任意の一定電圧を作る事が出来る様に成りました。

周波数特性表
周波数特性は出力トランスT1200の性能が出ています。 このトランスは高域の延びもう少し欲しいですが、まアこんな感じなので十分です。 特筆すべきは、この歪率です。 1khz帯は出来の良いプッシュプルアンプの様な低歪特性です。 これは、最初試作時に0.6Wだったのが、製作して調べたら、0.2Wしか出ないので、前段の球をアレコレ替えていて、一番特性の良かった球と組み合わせた為です。 結果的に出力段のカソードに繋がるコンデンサーを付け忘れていたので原因ですが、コンデンサーを取付けした所0.8W(5%)でした。 0.8Wから1Wに掛け、逆反りカーブになっていますが、真空管の粘り強さを感じます。
音質その他

完成後に真空管の詳細が少し判明しました。 最大電流は規定値内で良かったですが、最大電圧がオーバーしてました。 この規格に合わせる為にはB電源を249Vに下げる必要が有り、0.6W出力に下がります。 同時にプレート電流が22mAから18mAに下がるので、電流を上げて見ましたがパワーは上がりません。 中間の0.7W時266VのB電圧で、耐圧は少し規格をオーバーしますが、プレート損失は規格に入りました。 私は此の設定で行きます。 何れも歪率特性は0.35W位までは1%以下で大きく変わりません。
 今回使用したACアダプターはアコンの2
4V2.5Aを使いました。 詳細が全て紹介されているのが安心です。 安全規格は勿論ですが高効率で必要な保護回路は全て入っていて、待機電力が殆ど流れない事で選びました。 その為、コンセントからプラグを抜く必要もありません。 本来1.2Aで良いのですが、少し余裕を見てあります。 初段のヒーターは冷えた状態で電源をオンした場合0.85A必要で全体で2A位ないとACアダプターがカットしてしまいます。
 肝心な音質ですが、欧州管と言う事もありますが、期待通りの音がします。 繊細で透明感が有り、気持ちの良い音です。 空間の再現力があります。 以前3A5プッシュプルが良いと言ってましたが、何故か共通する部分が見え隠れします。 方式が全然違うのに、何故同じ様に感じるのか・・・・。 最初は気がつかなかったのですが、今回のこのアンプは少しマイクロフォニックノイズがあります。 共通する点がコレと、歪率特性が比較的良い事です。 つまり、出力管のフィラメントの揺れが感じる位にデリケートな球で、貧弱なヒーター線が音質に関係が有り、歪特性が良いからだと思います。 セッティングも気を遣わなくてはハウリングを起こします。 もしかしたら、私だけが好きな音なのかも知れませんが、とにかく、私は数あるアンプの中で此れは上位クラスだと思います。 この様な音のアンプが時々出来るので、辞められ無いんです、新しいアンプの製作が・・・。