ウエスタン・エレクトリック
WE247A・WE252A シングルアンプ

WE247A,WE252A,WE422A Single Amplifie
WE247A電力増幅管、中の構造はメッシュ・プレートです。
2V1.6A,180V2W(10mA)

有名なWE59等に使われているWE252A出力管です。 1930年代初期のメッシュプレート、幻の名球です。
5V2A、450V60mA、μ=5.1

WE422A両波整流管です。
5V3A、1800V400mA

ウエスタン・エレクトリックの入力トランスWE285A、中間トランスWE178B、出力トランスWE174Eです。 OPTはLISTで巻直した物。

CHとPTは特注品、チョーク・トランスは15H150mAと少し大きめの設定です。 このランス類はタイムトラベルに特注依頼して作って頂きました。 同等品なら安いし、同価格なら1ランク上のオリエント・コアの物が購入できます。
ケース上に部品を配置してバランスを見ている所です・・・。 今回はフイルムコンデンサとOILコンデンサ、入力トランスとINT等の大きな部品が沢山あるのでシャーシの大きさを考え様子をみて使用部品を決めるので簡単な作業ではありません。
配置が決まってシャーシーの穴あけをする所です。 今回のケースは1枚板では無く市販の箱状のケースを使った為、サイズが大きくポール磐が使えないので電動ドリルで手開けする事にしました。
大きな穴はシャーシーパンチであけました。 この後にバリ取りをして1000番の紙やすりで磨き、好きな色に塗装します。 アルミの生地が好きな場合はクリアラッカーを塗ります。

私の好きな巻線抵抗です。 国産では20KΩ以上の物が無いのですが、外国では100KΩの巻線も有る。 右上は英国の巻線抵抗。 錆び対策と思われますが1個1個が丁寧にオイル紙に包まれていて荷札まで付いている。 

今回使用した真空管ソケットです。 これはシャーシに丸穴を開け、ベース板を使わずに、そのままリング状のバネで固定しました。 真空管の中にはベースとプレートの向きが違う物があるので今回はプレート面が全部揃うように調整が可能です。

ウエスタンエレクトリックのエナメル・シルク線AWG22です。 1950〜1960年代に製造された貴重な線で、芯線は銅の単線にエナメル処理され更にシルクで覆われた高級な線を使いました。 これはヤフー・オークションで購入しました。 

抵抗等の部品のリード線は表面が酸化している可能性が多いのでハンダ付けをする前に#600番位のサンドペーパで磨いて使用します。 

今回使用したWE247AとWE252Aはメッシュ・プレートなので薄暗い部屋で音楽を聞く場合には、見ているだけでも良い気分になります。 出力管252AのM字型のヒーターが写真の様にクッキリと浮かび上がってきます。
完成直後の表面から見た写真です。 このシャーシーの色は金色のメタリック仕上げです。 PTトランスは特注品でケースは使わなくなったWEのチュークトランスのケースを再利用しました。 チョークトランスは下面。
後方面から見た写真です。 出力トランスのケースは見栄えが悪かったので再塗装しました。 なんと、更に悪くなってしまい大失敗です。 後日、別の色で塗り直しをしなくてはなりません。

下面の配線の写真です。 配線材は上記説明のWE製の1950年代のエナメル・シルク線を使いました。アース線関係は1,6Фの銅線をメインに銅の単線を使ってあります。 ケースへのアースは中央部分に一点アースを心がけました。


設計思想
すっかり有名になった米国のウエスタン・エレクトリックですが、私も、沢山の種類のアンプを作ってきました。 やはりWEは音が良いと思っている一人です。 元々はWE300Aの音が聴きたいと思い、探していた時に偶然見つけた物です。 しかもメッシュプレートです。 この252Aは300Aの元に成った物なので電気的性能は300AやBに比べると劣ります。と・・・言っても音質面や気分は別です。回路の特徴としては、コンデンサ類は電解コンデンサをなる廃止してOILやフイルムのコンデンサを使って高級な物作りを考えました。 

部品を揃える
最初は205D用にWE製のトランス類を集めていましたが、なかなか揃わないのが現実で、「1個見つけると購入」を繰り返すので送料も含めると高い買い物になることが有ります。 部品代より送料の方が高い場合も有りますが、欲しい部品を集める為には仕方が有りません。 今回製作のアンプに使用したパーツを集めるのには時間と苦労がありました。 全部の部品総額を考えると凄い金額だな〜と思います。 とても一度に買える金額では有りません。 
他にもWE製の部品があり、コンデンサや配線材のエナメル・シルク線、板抵抗など使ってあります。 ハム・バランサもWE製を入手しましたが、信頼と長寿命を考え巻線式の可変VRを選びました。 他の抵抗類は全て巻線抵抗です。日本国内では20KΩどまりですが、海外製では100KΩも有ります。 今回はB電源関係を含めて全てに使用しました。 この巻線抵抗はコイル成分が有ると言って嫌う方も居るようですが、ノイズが無く良い音がすると言って好む方も多いのです。 私は一度使ってからは出来るだけ使うようにしています。 これは好みの問題です。

回路構成
回路構成はWEのアンプで良く見かける3段トランス結合のアンプです。 電解コンデンサは球のヒータのDC点火に使ったノミでB電源はOILとFILMコンデンサ、フイルムより更に高級なポロピロピレンのコンデンサを贅沢に使ってみました。 貴重なWEの球を守る為にヒータ回路にはタイマーを入れて電源投入時の電流制御抵抗をいれました。 このタイマは三秒間は規定の半分の電流が流れるようにしてあります。

設計
回路構成はトランス結合ですが、INTには電流を流す事が出来ませんのでコンデンサでDE成分を除きます。 したがって通常のコンデンサ結合の回路と設計段階では同じと考えます。 初段の電流を決めます。 ここでは3.5mAと決めて、カソード抵抗も1KΩ(1000Ω)、プレート抵抗を57、6KΩに決めました。3.5mA流れる為には、0.0035Vx1000Ω=3.5V。 つまり初段のカソード電圧が3.5vになれば良い事になります。 それに合うように(図面上の6.8k)を調整すれば良いのです。 実際には抵抗の種類の問題で一番近い値で決定する事になります。 もうひとつの出力管の設計のアドバイスですが、簡単に説明すると規格を調べてB電源の電圧を想定します。 これは電圧降下があるので、設計値より低くなる事が多いです。 私は当初420Vの予定でしたが、やはり、少し下がってしまいました。 先ほどと同じにカソード抵抗の電圧で電流が分かりるのは言うまでもありません。 問題は先ほどのようにB電源側には抵抗が無いので、今度は出力管のカソード抵抗を変えて電流を調整します。 今回は巻線タイプのホーロー抵抗でアジャスト付きの抵抗を使いました。 最初は電流計を使って(プレート側に直列に接続100mAレンジに合わせる)アジャストしました。 実際には最大値の1KΩの位置で丁度50mA流れたのでOKとしました。 簡単な設計方法ですが一般にオーディオ用の球と呼ばれている球はこの様な感じで出来てしまいます。

今回の失敗談
シャーシー加工が終わって組み上げていく段階で間違いを発見しました。 初段のB電源のコンデンサの耐圧が少し足りませんでした。 コンデンサの規格では320V、実際には330Vで10V足りません。 しかも電源投入後の247A動作以前は更に上がる可能性が有ります。 ブロック型のコンデンサなのでケースに穴が開いてしまいます。 そこでOILコンデンサを追加しました。 シャーシ中央部が若干不自然さがあるのは、この為です。

調整と検査
調整箇所はハムバランサのみです。 初期値として中央にセットして、後は通電後に少し回して調整します。 スピーカから聞こえるハム音を最小限小さい位置を探します。 この時、変化が無いようでしたら中央位置で固定します。 出力管252Aの電流を測ってみましょう。 今丁度48Vです。48V/1000Ω(1KΩ)=0.048Vで48mA流れている事が分かります。 次に初段の球のカソード抵抗の電圧を測ります。 この電圧が3.6Vの場合に計算してみましょう。 3.6V/1000Ω=0.0036Aです。 つまり、3.6mAの電流が流れている事が分かります。 この作業で電流が規定値内で有れば安心して使う事が可能になります。

気になる音質は?
過去製作中では一番の豪華(高価)なアンプになってしまい、経済的にも今後同じ様なアンプは作れないと思うような別世界に足を入れてしまいました・・・。 気になる音質は今まで経験した205Dや300B、VT52等とは違う良い音がします。 表現は難しいですが「かもぼこ」型の特性ですが音の抜けが良く低域の心地良さ声の良さは何とも言えません。 私としては、このアンプ、居間のメインアンプに成った事は言うまでもありません。 その為に私の留守中、家内は掃除しながらも贅沢にこのアンプ聴いている様です
 
特性表
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