欧州管AT20・シングル真空管アンプ
CK1006,2K2M,AT20 Single Amplifie

初段には直熱5極管の2K2Mを使い出力管には直熱3極管コッサーのAT20を使った欧州管アンプ製作にも挑戦しました。2K2Mは小型電池管で金色にコーティングされています。何れも直熱管なので高音質が期待できます。トランス類はコストパフォーマンスに優れたノグチ製を使ってあります。そこから出て来た音は気品が高く艶のある澄んだ音でした。
性能表

最大出力   : 5W(片Ch)
歪率       : 0.1%(最小値)

入力感度    750mV時1W 
周波数特性 : 10Hz〜45KHz(−3db)
回路方式  : コンデンサー結合
総重量     : 約15.4kg
寸法       : 345(W)x265(D)x220(H)mm

前段には電池管の2K2Mを選びました。直熱タイプの5極管で金色コーティングされた綺麗な小型球です。頭の上の端子はプレートでは無くグリッドの構造です。キャップの根元まではシールド線を使います。後で気がつきましたが多少のマイクロフォニック・ノイズが有りました。

COSSOR製(コッサー)AT20で一般の球に比べて高さの割に細管の構造で欧州の直熱3極出力管です。バイアスが浅く高電圧少電流タイプで音色には艶があると有名で音の評判も良いです。 20WMAX、μ=11。OPTは7KΩ以上、Aはアーミ、TはトランスミーティングTUBEの略、標準管はマラードMZ05-20です。

冷陰極整流管で通電時は青白い光の演出が見られる綺麗な球です。放電して整流が出来る変わった球でヒーター電圧は1.75V2Aですが実際にはプリヒート無しで動作します。中央に小さなヒーター線があり、其処を中心に青白い光を放ちます。
内部配線です。 アースはシャーシー中央付近に一点アースしてあります。 この、一点アースの方法は失敗が少なく、最近ではハムの音に悩む事は無くなりました。 まだ、結束処理はして有りませんが、この後、電圧チェックと測定が残っています

完成です。 回路図には書いて有りませんが写真の様にインプット・トランスを付けました。 初段の球は入力がトップに出ているのでシールド線を使ってノイズ対策をしてあります。

設計と試作

おおむね構想が決まって、シャーシを作り、部品を取付け特性を調べました。 自己バイアス回路で普通のコンデンサ結合なので問題無いだろうと思い特に仮組みもしないで仕上げてしまいました。完成してみると歪率特性が一桁悪い事に気がつきました。 このコッサーAT20の詳細は分かっていませんが、ヒーター6V1A、600V30mA位で高電圧低電流での使用との事でした。 カソード抵抗を1KΩにして520V位の電圧を掛けると約32mAでしたので、丁度良いと思っていた訳です。音質と特性は別という事は分かっています。しかも1%は問題外で6%位でもOKと言う事も分かっています。ただし、最近製作した数台の物より悪いとなると仕上げる気にも成りません。インターネットの掲示板で仲間のアドバイスを受け送信管なのでグリッドにも電流が流れるらしいと聞き、固定バイアス回路に変更しました。私としてはプレート電流32mA迄と思っていましたが、電流52mAの時が最も低歪と判明しました。情報によるとコッサー製はプレート損失が25Wまでとの事でしたが今回の試作回路では最終結果が24Wに成りました。コッサー以外のAT20は最大20Wなので多少規格オーバーに成ります。

更に特性改善

「掲示板」での情報はヒーター4V品があると聞きそれも試して見ました。ところが4Vでは音が出ませんでした。メーカーによって電圧が異なる可能性もあると考え歪率計のメーターを見ながら何ボルトから動作するか調べました。まず5.8Vで試しところ音が出るものの歪が多く試しに電圧を少しずつ上げ歪の程度をまめにチェックし最終的には6.3Vで歪が改善されました。78Vまで上げる勇気が無くこの状態ならば許容範囲内と思いヒーター電圧を此の値6.3Vに決めました。普段からヒーター電圧は規定値になるべく近く合わせています。この電圧は少し低めで使うと寿命が長いと聞きますが、今回の様に、許容範囲内であっても低めの設定では特性が悪化する事があるので注意が必要です。実際には耳で聴いても判断出来るとは思わないので、そこまで神経質になる事も必要無いとも思います。私の経験ではハム・バランサーを動かしても歪率特性が変わります。実際には測定器を先に使ってしまうと特性中心になってしまうので、本来は完成した後で測定しなければ本当の音の良いアンプにはならないのかも知れません。

音質と評価

コッサーAT20の球の使い方は私が今まで経験した物とは少し違う球でした。 オーディオ用ではなく送信管と思われるので当然仕方が無いことです。 上記の様に様々な調査をすることである程度球の性能を理解できます。 そして性能の良いアンプに仕上げる事が出来ます。 初段の球にも欧州系の球を使ったので音質は2A3や300Bとも違い独特の音を聴かせてくれます。 透き通った艶の有る綺麗な音質は長時間聴いても疲れる事もなく、なによりも心を癒してくれます。 また、今回の固定バイアスアンプ・アンプの場合、出力管のカソード抵抗が無い為に発熱部品が少ないのが特徴で長時間連続使用しても安心です。

今回の失敗

CK1006はノイズが大きいと噂で聞いていましたが此のハムが予想以上に大きくB電源のコンデンサ容量を増やしても解決できません。実は今回一つ致命的な失敗が有りました。電源トランスと出力トランスの距離が近すぎた様で、真空管を抜いてもハム音が聞こえます。この音は電源オンと同時に鳴るので、電気のハム等では無くトランスの誘導がのっているのが分かります。つまり、CK1006の球は関係が無いように思われます。実際の音楽が鳴っていると実用には問題無く製作者本人以外には分からない範囲かも知れませんがリスニングポジションでも聞こえる位の音はやはり気になります。一寸気を抜いて作ってしまうと、この様な失敗をします。現在の状態ではPTとOPTの距離が10mm位なので、後少し離すことで解決可能だと想像します。OPTを斜めに配置して磁束の向きを変えるのも一つの方法ですが今のシャーシーではちいさ過ぎて物理的な面積がありません。試しに整流管をCK1006から5AR4に交換すると少しは改善されることを確認しましたが大きな原因はトランス間隔が狭い為なので機会をみてシャーシーの作り替えを行なはなければ完璧には直りません。

特性表
回路図
高圧危険
今回製作の真空管アンプは約450Vの高圧電源に成ります。
同じ様な物を製作される方は、特に感電には気を使って
安全に製作して下さい。 点検時は電気が残っていますので
特に注意が必要です
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