Stereo誌 自作スピーカー
スキャンスピーク10cm
フルレンジ

3個のホーンを1列状に配置
題名:
1wayオールホーンピーカー
  • 1個のスピーカーでフロンホーンを構成し、更にミッドホーンとロングホーンをツイン・バックロードホーンで構成、広がり定数も其々異なる3個のホーンを1つの箱に組込みました。
  • ミッドホーンとロングホーンの長さの比を0.66:1と割切れない値に設定し、ピークとディップの位置を分散、周波数特性が大きく改善されホーン鳴き現象を下げる事ができました。
  • 各ホーンはフロント10cm広がり定数0.6、ミッド2.72m広がり定数0.8、ロング4.06m広がり定数1.0として重低音と能率アップを優先しました。
  • ホーン開口面積はスロートの38倍と大きく設定し更に広がり方も大きくして、開放的な音に成るようにしました。低域は大型ウーファーが入っている様に余裕で聴くことが出来ます。
  • コーンの振動が無駄なく音となって前面に放出される1列音源を構築。 中央側全体から音が放出される構造で、「点音源」とは違った「面音源」とも言える独特の再生音です。
  • 放出された音に影響を与えない様、前面のバッフル面を細くして角を丸めました。 前面のバッフルは60%がホーン開口部に成っています。
  • 木材の持つ固有共振周波数を分散させる為と軽量化を目指し使用した木材は全部で5種類。 集成材、シナ合板、ラワン合板、ヒノキ、MDFです。
  • 空気室には、径の違う円柱の棒を5種類ランダムに入れ、コーン後方の音が直接スロートに入らない様に工夫をし、更に反射音がコーンに戻らない対策をしました。
  • マグネットのフレーム強化後、後方に木製の球状のカバーを付け定在波を減らす工夫をしています。
  • 空気室の内壁面と円柱棒には、空気清浄効果のある墨汁を塗り静電気防止と除電対策を施しました。
  • 周波数特性は35hz〜20khz(±10db)、音圧レベルが6.5db上がりました。 つまり、アンプの出力が少なくて済みます。
  • 羽の無い扇風機のように、何も無い中央から神秘的な抜けるような音が正面から面で迫って来ます。
  • スピーカー底面に3点支持のインシュレーターを埋め込みました。 インシュレーター・スパイクを本体側の銅板で受ける構造です。 
  • ネットワークでの補正や吸音材は一切使用して有りません。 更にホーン内部は障害物が一切無い構造で製作しました。
 バックロード・ホーンのおさらい
そもそもバックロードホーンの特徴とはどの様なものだったでしょう!。
  • 再生能率が高く切れのよいスピード感ある生々しい再生音が得られる
  • 構造上背圧の影響が少ないので伸び伸びと鳴る
  • 共振とは違う方法で低域を出すので、その波形は原音に近い
等ですね、ではデメリットは。
  • 構造上ピークとディップが多く出てホーン鳴き現象がでる
  • ホーンが短いと低音が出ない
  • ホーンが長いと過度特性が悪くなる
等色々あります。 今回、この3個のデメリットを克服する為、色々考えてみる事にしました。 と言うか、製作途中で色々アイディアが浮かび、結構良い状態に成ったので紹介します。 
1列音源
  • 開口面積は可能な限り大きく取る。
  • 10cmフルレンジを純粋に1個だけ使用。
  • 忠実なエキスポネンシャル・ホーンを構築する。
  • 見た目の良いインテリア性を持たせた斬新なスタイル。
  • 広がり定数を極力小さくとり出来るだけ太いホーンにする。
  • 空気室の面積は大きくとって後から調整が出来るように考慮。
  • スロート面積は50cuとして8cm〜12cmSPにも対応出来る物。
  • ミューズの方舟で出会った白須さんから教わった除電対策を取入れる。

と、ある程度の目標をたて何かヒントを得ようと思いインターネットで「自作 バックロードホーン」で検索していると(故)長岡氏のスワンの製作記が多く出てきます。 皆さん満足している様子が伺えます。 更に見ていると、「点音源」と言う言葉が多く出てきました。 で、点音源って何?  開口部が離れた場所に有って其処で中低域の大きな音が出ています・・・。  此れって点音源じゃ無いよな〜、此処に大きなヒントを見つけました。 此れを参考にして発想を代えひらめいたのが今回紹介する1列音源であります。 何れは混ざり合う音、なるべく不要な音は外に出さない方が良いのでは? スピーカ本体の中央側1列の全てをホーン開口構造にした仕組みを考え、干渉等は箱から放出された時には終わっています。 

1個のユニットで3種類のホーンを駆動
中央に1列で音源をまとめる事に専念して考え出したのが今回のスピーカーシステムです。 左右対象に同じ物を作って中央側で開口部を中央に集めると言う発想です。 2年前のスピーカーの構造は途中から左右に分かれる構造で特許申請もしてあります。 今回は同じ構造を反対にして進展させました。 此処ですこし疑問が出てきました。 左右独立して作るので2個が同じにならず多少のズレが生じた場合、重なった音は大丈夫か? 位相干渉の問題です。 2年前に作ったFostex-P650のバックロードホーンが手元に2セット有って2.4mと3.4mとホーン長の違う物です。 この2台を並べて同時に鳴らした場合どんな結果になるのか実験してみました。 想像した低域の干渉は無く痩せることも無く普通に鳴る事を確認しました。 現状でのホーン長の比は7:10位でしょうか、この比率での結果は良好! そこで、今回製作するスピーカーは実験を元に長さを変えたホーンを2本構築します。 此れは、バックロードホーン特有のピークとディップの場所を分散させる事が目的なので実験の様に割切れない比が良さそうです。 それでは、って事で 、0.66:1に決め、音速340mの1/100の3.4m基準に、その0.8倍、1.2倍としてホーン長272cmと406cmの組合せです。 中央のホーン開口部は左右のホーンが同じ形に見えるように広がり方を合わせました。 広がり定数はミッドホーン側は0.8、ロングホーン側は1.0です。 ご存知の通り定数を下げるとホーンの中央部が太くなり、相対面積が増えるので、ホーンを構築する難易度が増して行きました。 正面のフロントホーンは100mmと短いですが広がり定数0.6として1個のスピーカーで合計3個のホーンを組み込む事ができました。 前面バッフル板の60%はホーンの開口面です。 形を見るとお分かりと思いますが、開口部から出た音はバッフル板の影響を減らす為に前面の板を細くする形を取り入れました。
ホーン構成図

実験をしました。前に製作したコンビネーション・スピーカー2セットと今回製作したホーンを比較したイメージ図です。 試作は空気室が個々に分かれていますが、此のたび制作した物はスピーカーは1個なので空気室も1個です。 イメージ図は同じ面積比率で描いてあります。 ホーンの広がり方、長さが可也違います。 今回製作したホーンは根元からどんどん広がって行く、長さの違うツインバックロードが特長です。

1列音源 1wayオールホーンスピーカー設計図

完成したスピーカの製作過程を紹介します

計算式はこれ! これを元に手を加え展開しました。
S = スロートからの距離がxの所のホーン断面積 (cm^2)
So = スロート断面積 (cm^2)
e = 2.718・・・ (自然対数の底)
m = 広がり定数
x = スロートからの距離(m)

材料のカットは近くのホームセンターで出来ますが、自由が利かないので簡易パネルソーを作りました。 1枚のサブロク板を最大110cm以内に自由にカットでき、厚みは18mm迄です。 誤差が±0に成るまで微調整が続きます。 位置が決まってからネジでしっかり固定して完成!。
固定金具も有るので写真のよう1人で板をカットできます。 丸ノコの刃は45〜90°当初は機械が45度まで行かず鉄ヤスリでストッパーを削り、正確な45度のカットが可能に成りました。板で見えませんが、下側には滑り止めにゴム・パッキンを貼ってあります。
掃除機が直ぐに一杯になります。 そこで自作サイクロン集塵機です。 99.9%のゴミを手前の自作サイクロン集塵機で取ってくれます。 掃除機にはパウダー状の細かな粉が少々。各27cmにカットした115Φのエンビパイプに38Φのパイプが入って固定されています。 仕組みは簡単で、太いパイプの上側に横から空気が回りながら流れる様に加工しただけの物です。
各27cmにカットした115Φのエンビパイプに38Φのパイプが入って固定されています。 仕組みは簡単で、太いパイプの上側に横から空気が回りながら流れる様に加工しただけの物です。 参考までに、オイル缶内部も竜巻が起きて軽いゴミは缶の上面で常にクルクル回っています。蓋の一部をアクリルで作ってゴミの量も解かるようにしました。
此処から新しいドラマ、新しい構想のスピーカーの製作が始まります。 12mmシナ合板の切断面が見えないように無垢の木材を取り付け固定します。 此処には18mm角のヒノキの棒を使いました。 多少、良い匂いが漂っています。 木工工作で一番気分の良いのは木材の香りです。
ミッドホーン、ロングホーンを型紙を頼りに罫書きします。 型紙はプリンターで印字して、セロテープで止めながら実寸大にした物です。 私の場合、この作り方は何時も一緒で一番簡単な方法です。 手前側がミッドホーン側、奥がロングホーンです。
型紙から罫書きされた板にホーンを作っていきます。 写真はロングホーンの製作中で、左右のスピーカーを対象に作るので、方向が違うのが分かると思います。 一応、2個並べた時に外側をロングホーンにしようと思っています。 
板を垂直に固定するのは面倒だったので、写真の様な部品をアクリルで作り、木工ボンドの硬化を待ちました。 今回は5.5mmのMDFと言う素材を始めて使ってみました。 一般の板に比べると少し比重が高いようで重たい感じです。
MDFは5.5mm、実に工作が簡単です。 カンナで削るのもサクサク。 角を丸めるのも ちょいちょい、 便利な材料が有るんです。 特にホーンの中の加工には向いています。 癖になります・・・。
写真はミッドホーンの一部で高さは75mm幅固定です。 後方面の木材は1枚構造をやめ、端材を使ったのでごらんの様に短い板を使っています。 直角に成るように上下に三角の部品で90度を確保して有ります。
此れはロングホーンの一部です。上のミッドホーンに比べ複雑なのが分かります。 この部分のホーンも高さを75mmで作って有ります。  MDFの材料は各面が密着するように角度を合わせてカットして有ります。 木工ボンドが乾いてから丸く削り、内側にはコーキングで更に丸くなる様な加工をしてあります。
こんなにも複雑な物をどの様に組み立てて行くか考えましたが、両サイドから形にしていく事に決めました。 此処で直角が出ていないと後が大変な事に成るので神経を使いながらの作業です。
上面の板は余った板を木ネジで仮固定し形が崩れないように上下から固定金具で圧を掛けます。 何か、前回作ったスピーカと同じサイズなのに・・・凄くでかい感じです。 
写真で分かるかな? 両サイドのホーン形状が違います。 左がロングホーン、右がミッドホーンでデッドスペースも多少あります。 板を無駄なく使う為に後方パネルを分割構造にしましたが、この隙間に入れる板を作るのが面倒です。 後の事を何も考えてない馬鹿な俺。 笑って下され!。 期待半分、不安半分の複雑な気持ちで作っています・・・ はい!
仕切り板を接着していきます。 ボンド付けすぎ? いやいや、ボンドが垂れたって良いんです。 接着不良や隙間が有った方が問題が多きいので!。 奥側はクランプが届かないので、工具等の重iい物を乗せました。 新品で購入した5.5Φの合板、最初から歪んでいます。 MDFは重たいので最小限の使用です。
写真で解るかな? 左右の中央寄りの仕切り板の厚みが違います。 ホーン長やひろがり定数が違うので見えない場所は板厚で調節して、見える部分のホーン形状を合わせて有ります。 芸が細かいでしょ・・・。 ホーンの構造を下書きした所です。 適当でスミマセン・・・。
前面は18mmの集成材を張っていきます。 この辺は全て角度が付いていますので、先に紹介した自作パネルソーが活躍します。 写真では前面に端材を挟んで側面パネルと密着させながら固定している所です。
其々が微妙な角度で付いていきます。 後方板の分割構造は正解でした。 固定がしやすかった。 全ての工程同じですが、固定用の金具が沢山無いのでこの作業をした場合は半日間は何も出来ません。
左右の寸法を確認して綺麗なホーンに仕上げます。 実際には既に誤差が3ミリ、 ホームセンターで切って来た底板が予定より3mmも小さかった。 今更気が付いても遅いじゃん! その数ミリの中でも平均化していく必要があり、定規も入らない場所では何時もの適当な感覚で進めます。 先端の若干折れ曲がった構造は補強の出来ないい板の強度を保つ為の工夫です。
今回のスピーカ製作で最大の難関、ホーンの折返しと幅変換(横から縦に)が此処で行われます。 7.5x36cmから3.6x75cmに変換されます。 設計も製作も一番気を使った場所です。 とにかく、此処を失敗すると全てが終わりなので隙間の無いように現物に合わせ作って行きます。  
シナ合板と集成材の合わせ目をゆるやかなカーブに整形していきます。 12mmと18mmの板厚の差6mmを削って丸めて行きます。 削り過ぎない様に指の感触で確認しながらカンナを使います。 更に緩やかなカーブに削って行きます。
この作業を行って1日待ち、製作には時間がかかります。 弧の様な手間のかかる工程は趣味だから出来る事ですよね・・・。 細かな作業は朝5時から2時間ほど、仕事が終ってから夜3時間程。 木工ボンドの硬化の時間が丁度合います。 今日は雨ですが、休みなのでテントの屋根を付けての工作です。
この部分の折返しは45度の木材で簡単に済ませました。 外から見える場所なので本当はジグソーで綺麗なカーブの部品を作ろうと思いましたが、75cm分4枚を積上げる数量が約170枚。 無理無理、頭が痛い!。 
ホーンのイメージが解りますか? 上下対象に見えますが、既に説明している様にホーンの幅や開き角度が全部違うんです。 更に言えば板厚も違いミッドホーン側は全部12mm、ロングホーンの一部は5.5mmとしてスピーカの幅500mm一杯まで計算して作り上げた物です。
本体中央に入るホーン壁です。 重量を軽くする為5.5mmの板を合わせ、先端は集成材で合板の断面が見えないようにします。 ここの空間には除電対策として炭の粉と砂をブレンドして入れます。 実は144Hzで砂が共振して中で飛び跳ね空気室底面に当たり、ホーン増幅された大きな音は楽器のマラカスの様です。 防振対策に砂が良いと聞きましたが、芝用の砂・・・軽過ぎて駄目でした。 大失敗なので方法を代えました。
中央の仕切り板が入り、ホーンの全景が見えて来た所です。 板厚5.5mmと薄いので振動しないように多めにボンドを付けて止め、圧着固定させます。
写真の18mm集成材のカット面は自作パネルソーでカットした断面です。 すばらしいと思いませんか? このような板の斜めカットが自分で簡単にできるように成りました。 丸ノコは既に数年使っています。 一部5.5mmの合板では良い結果は期待出来ませんが重量の関係が有るので仕方有りません。
前面の集成材を張れば下側のホーンが完成と成ります。 自作パネルソーのお陰で綺麗に収まっていきます。 多少の隙間は圧着して固定します。 ところで知っていますか? ホーンの一部に針の様な小さな穴の様な隙間でも周波数特性が変わってしまう事。 私は昨年経験しました。 特に瞬間接着剤は密着出来ないとトラブル起こします。
上のホーンと下のホーンを仕切る板を付けます。 なんと、見える場所だけ綺麗な18mmの集成材で仕上げ、後は12mmシナ合板を使ってあります。 重量制限が有るので面倒ですが仕方ない事です。
ロングホーン側の上面部です。 音波は写真で見えている孔の方向(下側)に行く構造です。 折返しは90度で各45の反射板を付け音の流れが良くなるようにします。 仕上げはコーキングを指で塗って極力抵抗が少なくなる様にしています。
ミッドホーン側です。 上記のロングホーンとは構造が違います。 右下側から来た音波を180度折り返して下側のホーンの入り口に向かって行きます。 写真では未だ45度の反射板は付いていません。 中央の板も角を丸める作業が残っています。
スピーカを取付ける場所ですが、この穴は少し大きめの12cmで開け、後2枚付けて強度を稼ぎます。 しかし、この道具は便利ですが肝心の穴が綺麗に開きません。 板の角がボロボロに成ってしまいます。 モット良い工具無いかな〜。
スピーカ取付板を更に重ねます。 強化の為12mm合板を全部で3枚。 そして空気室の製作です。 少し大きめの4リットルの容積を用意しました。クロスオーバー周波数が120hz位の範囲まで調整が出来る余裕が有ります。
ホーン上面の全景が見えてきました。あと1枚真ん中に仕切り板が入ります。 左右のバランスを変更して音の違いを調べてみようと思います。 そんな理由で此処では未だ固定しません。 調整可能な場所が有るのは保険みたいな物で心強いです。
後側も形に成ってきました。 規定の50cmを超えない様に此処はスピーカー端子の厚み分奥に板を取付けます。 話は違いますが今は真夏。 朝から何本のジュースを飲んだでしょう? 6本? 120円X6本。 30日かかったとして・・・約2万円。 お金を使っていないのに財布が軽いと思っていたら此れが原因だったのか!。 少ない小遣いが汗で流れて行きます。
途中で設計変更した為、フロントホーン長が100mmに成ってしまいました。 当初の予定は アルテックA7の様な大きなホーンを考えていましたが、重量の関係で断念、泣き泣きです。 しかし、私の経験では板1枚分でもホーン効果が有るのを知っていますので此れで十分です。
今回のスピーカー製作で魅せ場に成るフロントホーンを作ります。 半径175mmの円の一部をルーターで削り、写真のパーツを11個重ね、同じ物を4個作ってホーンの横側が完成です。 6Φの刃を使いましたが、切粉が凄く鼻の中まで粉だらけの状態で根性で44個同じものを製作しました。
上記の部品はルーターを使って綺麗にカーブを描く事ができましたが、上下側は天性の感を頼りに削る必要が有ります。 18mmの集成材を3枚重ね削っていきます。 此処は電動カンナの出番です。 余った板で冶具を作り、ネジで固定して4個作りました。
電動カンナで適当に削って、更にカンナで丸みを付けて仕上げ、100番の紙やすりで荒仕上げを行います。 この状態で同じものを4個作るのは一寸無理な事です。 何時ものように適当です。 とは言っても、結構それなりに見えるのがスバラシイ!。
各パーツのドッキング。 ごらん下さい苦労の結晶です。 殆ど形に成ってきました。 ホーンの4隅はやはり多少の隙間が有り、手作り感があります。  しかし、以前に比べて腕が上がったな〜と感じます。 やっぱ、やれば出来る俺だぜ! と感じます。
大きめに作った空気室を小さくする必要が有るので何処かで見た乱反射させる構造を思い出しました。 30Φ、20Φ、18Φ、12Φ、10Φの5種類の円柱棒を適当に入れてみました。 コーン後方の音がスロートに直接飛び込まない為と、空気室内での反射音がスピーカーに戻らない工夫、高域のカットが目的です。 勿論他の方式のスピーカーにも有効だと思います。
空気室の高さを少し下げて作りました。 天板に触れない様にしてあり空気室の振動が直接外に出ない2重構造にしました。 この空気室は除電対策で墨を塗るかな・・・。 と言うか、炭を入れるかな?。 と、此れを書きながら又ひとつ閃きました。 未だ間に合う・・・。 空位室には吸音材は入れません。
炭を買って来て壁面一面に貼ろうと思いましたが少しの振動で割れてしまい強度に難、没です。 結局、習字用の墨汁で静電気防止と除電対策です。 音質清浄効果に期待です。 容積は此れだけ有っても約1リットル分。 空気室は最終的に3リットルと少し多めでクロスオーバー165hzの計算です。 スロート付近は空間が必要なのでカットしてあります。 
5mmのアクリルを加工してフレームの補強をしました。 ついでにコーン紙とダンパー部分に墨汁を塗り静電気防止処理(除電)しました。 
スピーカー後方の定在波防止対策としてスピーカーマグネットに木製マグネットカバーを作りました。 2.5mm合板を片側17枚重ねて加工し、最後に墨汁を塗ってあります。 これで空気室内部は全て真っ黒の炭を塗った状態です。 バッフル板はテーパー加工して空気の流れを確保。 この後、カバーとバッフルの3箇所を別の木材で固定しシッカリと補強しました。
スピーカーの線材です。 真空管アンプ製作の余り物を利用しました。 太くはありませんが、細い線が30芯位あります。 銅線では無く純銀線で最短距離で配線。 一応、高音質を目指しています。
天板を張る前にデットスペースに吸音材を入れました。 本当は砂を入れたい心境なんですが、重量制限があるので、ホームセンターで売っている水槽用ファイルターを入れました。
空気室の調整が終わり、いよいよ天板を張って最終工程です。 実は若干の寸法の違いで隙間が有ります。 ボンドを多めに付け、強引にくっつけてしまいます。 手持ちの工具を全部使って約1日待ちます。 無残な姿・・・。
仕上げで気分よく電動カンナで削っていた所、合板の方迄削ってしまいました。 あ〜ア今迄の苦労が・・・。 一瞬の事。 酔いしれて調子に乗り過ぎた馬鹿な俺です。 半泣き状態でヤスリで更に削って慣らして行きます。 何時も仕上げが悪いのは最後に緊張感が無くなるからです・・・。 知っています? 塗装すると良く目立つんです。 失敗した所が・・・。
#400番のヤスリで全体を磨いた後は苦手な塗装です。 昨年は無かったですが最近は一液性のウレタンニスが有るんですね? 今回は此れを使います。 うすめて塗ってから#1000番のヤスリで磨きます。 此れを2回繰り返してピカピカな仕上がりに成りました。 手塗りですが、今までの中では上手く塗れました。 塗膜が厚いので直ぐに垂れて来ますが無色透明、あまり気になりません。 2回塗りで十分です。 此れで一応の完成です。
スピーカーの線材が振動しないように、ブチルテープを巻いてあります。 両面テープなので、空気室内部に触れた場合はくっついて、振動や共振を防ぐ事が出来ます。 スピーカーはコーキングでとめました。この板はブチルテープで止めます。 スピーカーを外す事が出来なくなり調整も出来ないので、此れで完成となります。
下側から覗いた写真です。18mm集成材は音質面では良くないですが、手前の見える部分は集成材で美しく仕上げ、できるだけ合板を使って重量を減らす努力をしました。 当初、中央の仕切り板の無い設計もしましたが最終的に仕切り板を入れ、完全独立のホーンに仕上げました。 軽量化の為、ホーン内部には補強の板や棒等の障害物は何も無い構造にしました。

フロントホーンを拡大してみました。スピーカーの上下位置は板の都合で若干上側にオフセットして有ります。 ウレタンニスがピカピカと光っています。 スピーカー取付けバッフルは12cm角の合板で、交換することが可能としました。 FostexのFE126EnやFE108E狽考慮したサイズでスピーカーの高能率が魅力です。

スピーカーの下側です。 中央の仕切り板は三角形で、其処を境に完全に独立した長さの違うホーンを左右に構築させてあります。 スピーカーボックスの中央部が背面パネルが見える異様な雰囲気は新感覚で、音質も新感覚です。
498mmを超えないようにスピーカー端子は約30mm奥に入っています。 金メッキの大きな端子はY字型プラグは勿論ですが、3.5Φのケーブルとバナナ端子にも対応しています。
簡易測定器を使って出力音圧レベルを計ってみました。 測定器で1W時に端子には約2.8V。 結果は90.5dbあります。 データーシートでは84db/2.83V/1mと条件は同じなのでホーン効果が大きく能率が6.5db上がった事が判ります。 此処に微小信号でも音に替わる事が証明できています。
マイクロホンはベリンガーのECM8000です。 測定用ウルトラリニア・コンデンサーマイクで15Hz〜20khzは問題く使えます。 ケーブルは3mのOFCバランス・ケーブルを用意して使います。 ソフトは「マイスピーカー」で昨年正規登録で購入しました。
MOTUの896MK3オーディオミキサーで、USBオーディオの音源として使っています。 私は楽器を演奏する事があるので、この様なものを使っています。 音響測定用コンデンサマイクの48V電源も付いているので便利です。 ソフトは御馴染みの「マイスピーカー」を使っています。
発信器は日本オーディオのUS−3Sです。 本来は真空管アンプ製作用に使っている物です。 アンプの歪やデシベルや電圧等の小信号レベルの測定もできるので便利です。 左下の小さな箱は8Ω50Wのダミー抵抗です。
市販で60万円を超える高級品モニターゴールドGS60との聞比べ。 なんと、このスピーカーと勝負? ところが、優れている所がちらりほらり・・・。 1番はフルレンジ1っ発の良さがありリアルな表現力。 低音の量感も音圧も同じ位なので驚きです。 フルレンジの良さが冴え際立っています。 円筒のダンボールを切った簡易インシュレーターは効果絶大で低域がスッキリ聞こえます。
上記モニターオーディオGS60と聞き比べをした時に床から10cm上げましたが、其の時凄く音がスッキリとして響きも良くなりました。 オヤイデ電気の20ΦのインシュレータースパイクNS−US(何かの頂き物)を組込みました。 実は、ダンボールの筒の方が効果が良い様で、重量が関係していると思われます。 早速、大理石の台の見積もりを御願いしました。
本体の底に3箇所1mmだけ突起します。 インシュレーターは其のままだとグラグラと動いてしまうのでブチルゴムで形を保ち2液性のシリコン樹脂を充填。 3点支持でスピーカーの振動を床面に点で逃がす効果があり、床からの振動はスピーカー側には伝わらない効果も有ると聞きました。 シリコンは硬化後は柔らかなゴム状に成る特殊なアイテムです。
最終的にFostex108E狽ノ交換しました。 10cmスピーカーとしてはトップクラスだと思います。 大きさが合わなかったのでサイズに合わせてフレームを切り下しました。 高能率で1W以下の真空管アンプでも十分に鳴らせます。
さて、最初に出てきた音は?
それでは、新作スピーカーの視聴一発目の正直な感想を・・・。 私がダブルバスレフを最初に聴いた時の感覚と似ていて小型スピーカーが大型スピーカーを越した低音を出した時の驚きと一緒で鳥肌が立ちました。 低域は心地良いし重低音がコレマタ凄い!。 ホーンなき現象も少ない・・・いや、無い!。 思わず組んでいた腕を下ろし、お腹で重低音を思いっきり味わった。 一寸低域が出過ぎる感じも受けるが逆に此れが本来の音か?。 フロントホーンの効果でボーカルが特に良い。 20枚位のCDを片っ端から聴いてみましたが、苦手なジャンルが見つからないし何かすべてのCDに新鮮さを感じる。 JAZZもオーケストラもイケル。 大編成のオーケストラが特に良い。 最近、羽の無い扇風機が有りますね? そのスピーカーバージョンの様です。 スピーカーの後方板が中央に大きく見えるのでスピーカーの中身が無い様に見えます。 そこから底知れぬ爽やかな音が出で来るのです。 そしてステレオ感? 上下左右前後の3D的立体感をも感じます。 此れがヨーロピアンサウンドなの? 中々表情豊かで綺麗な音です。
 一寸完璧過ぎないか?  それともプラシーボ? エージングも調整も何もしてないのに、最初から大きな問題が無いのが何か物足りなく感じます。 しかし、嬉しくて顔の緩みが治まりません。 欲を言うと 高域がもっと欲しいかな?。
 エージング
 スピーカー面を内側に向い合わせ、片側のスピーカーの極性を逆接続で1/5位の小さな音に成ります。 この状態で連続1週間。 強引に圧着して付けた板は馴染んで来ている筈。 音質は大きな変化は無いみたいですが、やはり良い感じです。 本体の上から下までの全てから音が出て大きな音場が出現します。 今までホーン臭い音と思って聴く事の無かったCDも久しぶりに聴いてみましたが、ん〜・・・問題ない。 さて、調整はするべきか、今のまま仕上げるか悩む所です。 問題を解決させ1歩進化させる工程が無いもの寂しい感じです。
 本格的な詰め
今回の構想は予想以上に成功です。 推測ではスピーカユニットと其々のホーンがバランスの良い状態で、長さの違う2本のホーンの片側一方だけに負荷が掛かかることは無く中和されています。 今回はスロート部の左右の比を変えられる構造で作ったので左右のバランスを替えて調整した所、色々な事が解ってきました。 音質と特性はミッドホーン側に極めて近く周波数特性をみて観察すると明解でした。 此れはミッドホーンの広がり方が大きく開く為、スロート面積が1:1と同等にしても、負荷抵抗の小さいミッドホーンが優先に成る為と思われます。 ところがロングホーンを並列使用する事でミッドホーンのピークとディップ部が可也平坦に成ります。 重低音域、高音域には大きな変化が見られませんでした。 やはり今回の構造は通常のバックロードホーンのピークとディップの幅を抑えられている事が判明しました。 また、今回のスピーカーは重低音が凄く出るのですが、ロングホーンの恩恵かと思いましたが、どうも違う様です。 ロングホーン側はピークとディップの分散に役立っていますが、重低音を出してはくれず、縁の下の力持ち状態です。 音の遅れは最大約12mSec違和感は有りません。 クロスオーバー周波数は計算値165hzですが、個々ホーンが自由に別な動きをしています。 測定の結果ミッドホーンは80hzからロングホーンは110hz位が頂点で、下は40hz、上は20khzに対し30db程下がっていき、今までの「かまぼこ型」カーブとは少々異なります。 やはり、ミッドホーンの方が低域寄りなのが判ります。
 1wayオールホーンスピーカー・調整時(軸上30cm)
ノーマル キャンセルマグネット装着時

前から気になっていた実験をしてみました。 左側の表がノーマル。右側が60Φのキャンセルマグネット装着時の特性です。 勿論同じ条件です。 周波数特性、インピーダンス特性、音質について全てに違いが出てきます。 特性で音質の判断はできませんが、一般的にはどちらが好まれるのでしょう?  いずれも全域に渡りピークディップがありますが、部屋の環境もプラスされているので参考程度にご覧下さい。 キャンセルマグネットとはスピーカーのマグネットと同等サイズの磁石を反発する方向に取付け、磁気の洩れを外に出さない目的と、音質改善の効果が期待できる物で、表を見ると判るように特性が大きく変化します。 表で此れだけ違いが有っても、変更して聞き比べると個性は変る物のどちらが良いのか判断に迷います。 じっくり聴かないと決められません。 マグネット装着すると若干音圧が下がり、波形では中域が暴れてますが、全体的なバランスは良いようです。

1wayオールホーンスピーカー・完成最終(軸上30cm)

最終の特性表をご覧下さい。 渾身の1枚では有りません。 何度測っても同じです。 バックロードホーンで此の波形は奇跡です。 エキスポネンシャルホーン特有のカーブで低域限界まで頑張って、ストンと落ちるカーブです。 300hz付近のピークとディップを±10dbの範囲に合わせ計測しました。 35hz〜20khz(±10db)迄良く伸びた広いレンジです。 発信機を使い確認した所33hzから十分な音圧で聞き取れます。 フロントホーンで低域の空振りを防ぐと同時に、少なかった中域も見事に上がりました。 多少の凸凹は部屋の環境も有るので無視して考えると良い線に収まっていると思います。 尚、スピーカーにはキャンセル・マグネットを装着しています。

スペック表
スピーカーユニット 10cmフルレンジ1個
周波数特性 35hz〜20khz(±10db)
音圧レベル 90.5db(1W)
インピーダンス 6.4Ω
スロート面積 スピーカー45.4cuに対して25cu x2個
開口面積 1900cu(スロートの38倍、BH部)
空気室容量 3000mlに調整
ホーンの長さ ショート 10cm、ミッド272cm、ロング406cm
広がり定数 ショート  0.6、ミッド  0.8、ロング1.0
カットオフ周波数 ミッド側22hz、ロング側27hz
クロスオーバー周波数 165Hz(計算値)、ミッド80Hz,ロング110Hz(ピーク値)
総重量 33kg
寸法 498mm(幅)、498mm(奥行き)、998mm(高さ)
製作費用
スピーカーユニット 雑誌の付録 1組 3000円
集成材 (1800X900X 18mm) 2枚 6000円
シナ合板 (1800X900X 12mm) 2枚 7000円
コンパネ (1800X900X 12mm) 0.5枚 500円
ラワン合板 ( 900X900X5.5mm) 1枚 500円
ラワン合板 (1800X900X2.5mm) 0.5枚
400円
MDF板 (1800X900X5.5mm) 0.5枚 2300円
ヒノキ棒 (1000X 20X 20mm) 4本 800円
木工用ボンド コニシ速乾タイプ(500g) 3本 1500円
10 油性クリアニス(ウレタン) 和信ペイント(0.7リットル) 1缶 3300円
11 ハケ 50mm幅お徳用 1本 100円
12 紙やすり 120,400,1000番 3枚 200円
13 スピーカーターミナル Yプラグ、バナナプラグ、5.5Φ線 4個 2400円
14 インシュレータースパイク オヤイデ電気 INS−US 何かの景品
15 丸棒 10Φ、12Φ、18Φ、20Φ、30Φ 手持ち品
16 線材 純銀線0.8mm 手持ち品
17 油性うすめ液 徳用400ml 手持ち品
18 2液性シリコン樹脂 信越シリコン 手持ち品
合計 28000円
気になる音質

2012年Stereo誌主催の自作スピーカーコンテストに参加しました。 一次審査通過で喜んでましたが沈没しました。 月刊誌なのですから何かアドバイスが頂きたいですね! 参加した方皆が思っている事でしょう。 製作の切っ掛けを作ってくれたので良いですが・・・。
 周波数特性を見ても癖は無さそうですが、バックロードホーン特有の癖が残っているのかも知れません。 Q0=0.58はさすがにキツイかも、やはり0.3位が良いです。 そしてバックロードホーン専用のスピーカー・フォステクスのFE108EΣに交換しました。 相手にとって不足なし、サイズが合わないのでアルミフレームを4角に削り落としました。 能率が90dbあり1W以下の真空管アンプで鳴らす為にはこの位のスピーカーが必要です。 
小さな口径のスピーカーですが、長〜いホーンを通って生まれる30hz代の重低音は凄く自然な音に感じます。 F特は再生音とは必ずしも一致しませんが、ある程度の目安には成ります。  ヒントは「点音源」。 此れを逆手に考え出した「1列音源」はスピーカー全体が鳴って聞こえ、”点”では無く”面”で音が迫ってきます。 「面音源」とでも言いましょうか、感覚として始めて体験する雰囲気が有ります。

魅力ある真空管とアンプ・ラジオの最新情報をチェック