2010年 音楽之友社 STEREO誌

自作スピーカーコンテスト
付録FOSTEX P650組立キット
  受賞しました。 グッドサウンド賞

フルレンジ・スピーカー
コンビネーションホーンスピーカ
究極のバックロードホーン

普段使う時は上部にスーパー・ツイータを置く事にしました。音の出口には保護ネット代わりに音響イコライザーも兼ねた8φの丸棒で格子状に入れてみました。 完成してみると和風のイメージがありますネ。 ホーン長3.4mです。此の3.4mは計算上1/100秒の音の遅れが有るハズですが違和感は無く、其れよりもスピード感と音圧レベルが上がるのに驚きました。 低域は両サイドの大きな隙間から前に向かって放射されますので、数m離れたリスニング・ポジションでも軽い振動を感じる事が出来ます。 ホーンはエキスポネンシャル・カーブを意識し、成るべく忠実に製作しました。当初は広がり係数1.4で計算しホーン長をボックスに合わせる為に変更しているので、実際の計算は少し変わってしまいました。 空気室1.4リットル、スロート部21.2cu、ホーン開口部は26.5倍の562.9cuとして、可能な限り低域が出るように大きく開いた構造と見えない部分の折返し部等も綺麗なカーブを意識して製作しました。

スピーカの設計図 : 図面1図面2図面3図面4図面5図面6
1、材料の調達
ホームセンターにある18mm厚の集成材をつかいました。350mm幅の物を購入しましたが厚みにバラつきが有ります。2〜3mm位は誤差が有ります。 此の誤差には困った物です。
12mmのコンパネ@1000円程度の物です。中央部分の見えない部分は安い合板で十分と思い、使って有ります。 この板は片側が黄色い塗装がしてあり、ツルツルになっています。 今回は音の通りを良くする為と音の減衰を無くす為、音道部も全部塗装を行いました。
奥の棒は8φの丸棒です。コンパネ2枚、丸棒4本、集成材8枚共に180cmと木工ボンド、瞬間接着剤、塗料が必要です。 今の時期はちょうど真夏なので製作は大変です。

2、中央部の板の切り出し
板にイメージ図を書き込みます。 プリンターを使い台紙を作り、ハサミで切りながらマジックで書いていきます。 ホーンの細い部分は50cmで1から2mm程度にゆっくりホーンが開いていくので平行に成ったり逆に成らない様に注意して正確なホーンを作りました。。
書き終わった部分は台紙の紙も切り落としていきます。地味で根気が必要ですが綺麗なホーンを形成する為なので頑張り所です。 下向きで作業しているので汗が垂れるのが解ります。今年の夏は暑い・・・。
書き終わりました。 今回はホーン長を2.4m、3.4mの2種類を作って音の聴き比べを行いました。実はスピーカも3種類の違うメーカーの物もよういしました。 当然、全部聞き比べました。

3、中央部の組み立て
ステレオなので当然2個必要です。 同時に2個同じ物を作って行きます。 直角や水平を出すのが難しく此の部分が基礎になっているので、此処でのズレは後の誤差に響いてきます。、
見えない部分ですが手を抜かずにR部分は丁寧に仕上げました。更に音が箱に吸収されないように内面を塗装してツルツルの状態にしました。
接着は空気が漏れないようにボンドをタップリ塗って硬化後更に手の届く範囲でシリコン・コーキングしました。 板を固定する金具が足りなくなり8個購入しました。スピーカの単価に比べて別の出費が・・・・。

4、中間層の切り出し
中間層の部分は集成材を使いました。180度の折返し部分は板圧18mmですが、角ばっていると音の流れが悪いので以前購入したベルト・サンダーを使って角を落として丸くしました。
緩やかなRが有りますので現物代で印字してラインを書き写します。 この写真の左に有るスライド・ノコ。工作には便利ですが、後に大怪我しました。別に機械が悪い訳では無いのですが・・・異常気象で暑くてボーッとしてました。
寸法を間違えてカットしたかな?  寸法が合わずに余った材料を足します。 得意の現物合わせです。 可能な限り瞬間接着材は使いたく無いのですが仕方なく使う場合が多いのはポカミスが多い?

5、中間層の組み立て
段々に形に成って行きます。 締め付け用の工具が活躍します。 多少の板の曲がりや反りは此の工具が有れば修正が可能で便利な物が簡単に安く買える様に成ったと関心します。
ホーンのカーブに合わせ板を曲げて行く必要があります。材料の1mm程板が残るようにして細かく切っていきます。機械では此の調整が簡単で、緩やかなR部分が簡単に出来上がります。 でも、この機械で指を・・・大怪我しました。
空気室は1.5リットルの容積がありますが、スピーカーの背面には吸音材を張りました。スピーカの線材は此処で処理しておきます。 OFC4本線を使いました。

6、外側部分の組み立て
板のカット時に寸法を間違え、複雑に足してあります。 外からみて分からないように角を落としました。 今回の設計では上から見て4隅全部が半径50mmのRが付いています。 見えない裏部部にも手を抜きません。
微妙な弧を描いているのが分かります。 良い音が出るようにと願って、地味で細かな作業に手を抜かず、何とか仕上げました。釘やネジ、瞬間接着剤を使ってないので時間が必要です。 例えば固定用の角材を先にボンドを付け、硬化後R部分の材料を付け、又、硬化を待つ。半日硬化の木工ボンドを使う為に待ち時間が多いのが難点です。
拡大するとわかりますが、細かく切った部分の隙間が気になります。 この部分は後から発砲ウレタンを充填させます。内側にはクリアー塗装をして接合部はシリコン・コーキングをして仕上げていきます。

7、前面処理
スピーカの取り付け部分はフロント・ロードホーンにする為に板を何枚か重ねて、最後に削り落としました。材料を固定して電気カンナを使いました。 ずいぶん昔に買った電機カンナですが機械は重宝します。 最後は、ひたすら紙やすりで綺麗に仕上げます。

外側の板を固定する前に8φの丸棒が入る様に穴あけ加工します。 此処で水平が狂っているとシャレになりません。余った木材で基礎となる部品を作り同じ作業を左右2箇所で計4箇所

随分イメージが分かるようになりました。 「カッコ〜いいなあ」 自己満足です。音を聴くのが楽しみなので次の工程へ移ります。

8、側板の処理
後方も前面と同じに角を落としてカーブを付けました。電気カンナを使ったので加工は簡単ですが削り過ぎないようにします。 写真では少し角ばっていますがサンダーで一気に丸くして行き、最後は手で感触を確かめながら仕上げて行きます。
自分で言うのも何ですが・・・結構凝っています。 気合が入って張り切っています。 ホーンの折返し部分を処理すれば底板が張れる状態に成ってきました。 

上下の板を張る前に無意味の空間が有るので定在波が起きない様に発砲ウレタンを充填する事にしました。塗装用のマスキング・シートを使い前処理をしておきます。


9、発泡ウレタンの充填
さて、隙間には発砲ウレタンを充填します。 勢いが強いので奥迄届いていると思います。 上下が有るので片側に2本使い1日硬化を待ちます。
翌朝の状態です。十分に発砲して空間がふさがっているのが解ります。 2〜3時間で此の状態に成りますが、中側が乾いてない場合があるので一晩以上の時間を待つのが良いです。
板を貼る前に平らに切り落とします。スプレー式発砲ウレタンは十分に乾燥した後ですとカッター等で簡単に切る事が出来るので便利な物です。

10、天板の切り出しと組み立て
底と天板は現物合わせです。本体を置き、マジックで形を取って切り落とします。 4隅のR部分はスライド・ノコで多角形に切り落として最後にサンダーで仕上げました。
音響棒(8φの丸棒)が入る部分の処理は先に済ませます。同じ物を12個作るので基礎となる1個を作り、其れを元に現物合わせで作っていきました。
ボンドをタップリ塗って、板を固定して本体を逆さにして、垂れたボンドが木に万遍なく行き渡るようにし、はみ出したボンドは濡れたタオルで拭き取って行きます。

11、土台の切り出しと組み立て
台座の製作です。4隅の穴部にはキャスターを付ける予定です。此のキャスタは移動は勿論ですが振動が床全体に伝わらない様に別の目的も有ります。 普通に置いた状態では解り難いですが2mmの隙間が有ります。
角はスライド・・ノコを使い可能な限り切り落として後はヤスリがけをします。此のRの部分にカンナを使うと材料に刃が食い込んでしまいます。その為にサンダーが活躍します。最初は#80、#240、#400の順番に3回磨きます。
作業効率を上げる為に底板と台座は先に固定して一緒に付けました。長い製作工程でしたが底板を張れば作業は完成です。実際の製作時間は少ないですが、ボンドの硬化を待つ時間が長かった感じです。

12、ユニット固定とイコライザー(化粧枠)取り付け
スピーカーの取り付け孔を確認しました。板厚が多くユニットが埋もれてしまい、コーン後方の音が十分に出てきません。 そこで、ベルト・サンダーを使い空気が流れやすくする加工を行ないました。
スピーカの端子が少し出ているので多少の加工をして上手くスピーカー・ユニットが取り付けできました。 よく見ると〜少し傾いているのが解ります。 既に遅し・・・です。 一度開けてしまった穴なので微妙な角度修正は不可能です。
スピーカーの保護とイコライザーを兼ねて8φの丸棒を入れます。8.5φの孔に塗装した8φの丸棒は打ち込まないと入りませんが、此のくらいが丁度いいです。 もちろん外れます。

13、「Stereo」2010年自作スピーカーコンテスト
自作スピーカ・コンテストに参加してみました。応募件数150件位の内の書類審査を獲て一般の部門31名が実際の音を聴いて審査されました。 結果発表は音楽之友社のホールで行われ当日は家族で出かけましたが、久しぶりに緊張しました。 
発表当日は皆さんの作品を見て驚きが隠せません。 色々なアイデアが有り斬新なデザイン。 色々な作品を目のあたりにして自分が入賞するとは思えませんでした。 が、なんと・・「グッド・サウンド賞」の発表時に自分の名前を呼ばれました。
実は機械で指を怪我して一週間入院して左手が自由に使えず、締切にはギリギリ間に合った状態でした。 中指の上側を斜めに関節の半分迄削ってしまいました。 指を落とす寸前、上側の肉が無くなってしまったので血管と肉の移植が必要で別の部分から移動をした。 6時間の大手術! 参りました。 指はもう曲がりません。 なので、章を頂き結果を残せたのは良かったです。
14、その後の展開
最終的に8cmスピーカSOUND ATICSのSA/F80AMGに交換しました。 振動板はマグネシウム合金で「ズシッとした低域は十分です。 能率が低い欠点も有りますがダイナミックレンジが45hz〜20Khz迄あり今まで聞こえなかった低域も感じます。 但し5.8khzのディップは残念です。  でもフルレンジ1発の自然な音色は魅力があります。(上記表軸上50cm)
此れと同じ構造のスピーカーがイギリスのローサー製スピーカを使ってサムテックから商品になり発売されました。 専門の職人が心を込めて製作いたします。
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