2011年「ミューズの方舟」自作スピーカコンテスト
ALPAIN DLS-108X 総合得点で2位
FOSTEX FE103En 10cmスピーカー

複合型コンビネーション・ホーン・スピーカ
究極のバックロード・ホーン

仲間にも言われました。 「面白い形だね?」 確かに自分でも・・・そう思います。 ウエスタン・エレクトリックの昔の写真に巨大なホーン・スピーカが有ったように思いますが、バックロード・ホーン好きの私の部屋には既にローサーのバックロードホーンがあるので置き場が無いのですが、家族に相談したら「格好が良ければ居間に置いても良いよ」と言われました。 で、色々と考えていました。 自分で作れる物で部屋に置いて格好の良い物。 温泉に入っていて閃いたのがこの形に成ります。 平行な部分は一箇所も無い、すべて(縦も横も)の面がひろがっていくホーンです。 横から見ると「&」と言う文字に似ています。 重低域を出す為にはホーン長が足りませんが、箱の高さを1mに合わせて約2.7mの長さが確保できました。 普通の設計では広がり係数は0.8前後でしょが、私は開口面積をおおきくとってから逆算しています。 実際の計算では3.6mが理想ですがパソコンのEXECLで計算式を入れてプログラムを自作し、結果的に広がり係数は1.5と成ってます。 更にそれを2.7mに短縮しているのでホーンが開き過ぎの感じは有ります。 期待の音が出てくれるのかが楽しみです。 主な工具はジグソーとベルト式サンダー、カンナで作りました。 横側の板を外側から中央へ縛っていくと縦側の断面が歪んでいくので、全ての面を水平に削っていく作業の連続でした。  此処に紹介するスピーカも形で言うと究極のバックロードホーンだと思います。 

「ミューズの方舟」自作スピーカ・コンテストを目指して

今回初めての参加ですが、ミューズの方舟(2011年12月11日)にだしてみようと思い応募してみました。 テーマはALPINEのDLS-108Xと言う10cmコアキシャル2ウエイ・スピーカを使ったスピーカーシステムです。 本来、私の様な素人が参加して良いレベルのコンテストでは無く、専門家の集まりと聞きビビッていますが、市販品に無いマニアの音作りに興味もありました。  このボックスは既に紹介した「Streo誌のコンテスト」にも出した物を変更しました。 元々は8cmスピーカーを2個使う予定だったので、10cmスピーカの使用は当然考えていました。 そこで、ミューズの方舟にも参加希望を出しておいたものです。 参加OKの連絡が来ましたので新たな挑戦になります。 スピーカの改造もOKみたいです。 早速スピーカユニットを交換して音を聴いてみました。 カーステレオ用なので一般のオーディオ用とは趣が違い低域の感じが独特な感じで高域も出過ぎています。 ダンピングが効いて違和感も感じます。 更に、今回製作した箱がホーン臭〜い土管の中に居るような音が・・・。 初めて聴く疲れる音でプリアンプのバス、トレブルを最大にした様なドンシャリ、ダイナミックレンジは増えたものの通常とは違います。 使用目的が違うスピーカには大きな落とし穴がありました。 前途多難、今後が心配ですが抜け道を探さねば成りません。

第一印象

今回は製作に一寸苦労が有ったので作り直しは考えられません。 だた、実にホーン臭い音なので特性を計ってみると、あ〜、泣けてきました。 左側の表はノーマル状態での状態ですが、 カタログでは40〜70khz迄出る高級スピーカですが80〜15khzくらいで頭うち? 迫力は有るものの重低音が無く、高域が強い割りに超高域が出ないので音に鮮度がありません。 マイクも自作なので信用できませんが・・・。 耳につく高域が出過ぎなのでガムテープで塞いだ状態でも計ってみました。(右側) ツイータが無いほうが聴きやすい印象です。 全体的に凸凹が幾つも有って参りました。 フォステクスP800と特性が全然変わっています。 ディップがこれだけ有ると、聞こえない音が沢山在るって事なので問題が大きいです。逆にピークは160hz当りの持ち上がりが耳ざわりで、箱とスピーカの相性は最悪みたいです。 また、ホーンから出てくる中域の音がスピーカの直接音と干渉しているのか中域にまで大きな山があります。 このピークとディップの差が20db以上も有るのが確認できます。 いずれにしてもツイータにはアッテネータが必要で、吸音材での調整も必要と思われるので、付属のコンデンサを外して線を箱の外に出しました。 音を聴きながら色々な調整をしようと思います。 

その後の経過

2ヶ月間ほどエージングしましたがホーン臭さが抜けません。 ギター等の弦楽器が特に苦手で、ボーン・ボーンと響きます。 ギターの箱の中に居るイメージです。 そこで、思い切って一部の板厚が薄い場所を張り替える事にしました。 すると驚き、更に悪くなってしまいました。 「後悔、先にたたず」です。 板厚の選択の難しさを痛感します。 空気室を始め、全て平行面を無くし、定在波が出ない様にしたはずなのに・・・。 板が薄くて共振していた場所を補強して、次は箱全体が共振してしまいます。
気になる場所の外側に両面テープで発砲スチロールを張って共振を抑えてみても大きな効果が有りません。

空気室の容量を変えてみました。3リットル、2リットルと比べた所、2リットルの方が良いよ言うより、癖が少なかったので2リットルにしました。 吸音材での調整には限界を感じましたが、最良点を探しました。

とは言っても、発参加の今回のコンテスト・・・本当に、やばいです。

なんとなんと、長期の海外出張が入ってしまいました。・・・もうだめです。

仕方なく、小さな音で連続エージング状態で出張に出かけました。

で、 戻ってきました。 随分とよくなってましたが・・・。(汗)


そこで 勝手に自分を正当化してみました。 

「ホーン臭い」、あたりまえです。 だって、ホーン・スピーカを作ったんですから・・・。


 
簡単な特長

1、開口面積を大きくしました。
  (通常スロート面積の10倍前後だと思いますが今回は64倍と大きくとってみました)

2、ホーン広がり係数1.5、ホーン長2.72mの設計です。
  (係数を通常の約2倍にして極端に広がっていくホーンを構築しました)

3、定在波を減らすためにホーンには1箇所も平行な面はありません。
  (空気室も平行な面を無くす為に、前から見ると台形、横から見ると三角のです)

4、ホーン折返し部をずべて大きな円を描くような曲線にしみました。
  (空気抵抗を減らせましたが、通りが良すぎてホーンに不要な中高域が出てきてしまいます)

5、大きさの割りに軽量で約16kgで仕上がりました。
  (欠点は箱全体が振動してしまう事で、メリットは壁の近くに置くと重低音まで再生できる事)

6、このカー用2ウエイ・スピーカは癖が有ったのでネットワークで調整しました。
  (ツイータはアッテネータで約4db落とし、フルレンジ側はフィルタで160hzのピークを下げました)

7、製作が複雑に見えますが、そんなことは有りません
  (ジグソー、ベルト式サンダー、カンナ、根気が有れば製作できます。 是非追試してみて下さい)

スロート面積
開口面積
ホーン広がり係数
ホーン長
空気室容量
カットオフ周波数
クロスオーバー周波数
   49,3 cu
 3180 cu(スロートの64倍)
  1,5
 2,72 m
 2000 ml
   41 hz
  250 hz
最初に横の板を電動ジグソーで切って1枚の板に繋げます。 板の断面だけで強度が必要なので3日程硬化するのを待ちます。 ここで慌てると直ぐに外れて曲がってしまいます。 又、板を外側から中側に搾っていきますが、割れてしまいます。 時間をかけユックリ曲げていくのが、結果的に早いです。
2mm厚の航空ベニアは簡単に曲がります。ボンドをタップリ塗って後で角にはコーキングで空気の漏れ防止を行います。
板の表面はツルツルで音の通りが良さそうです。 手の届く範囲で見えない部分には全てコーキングをして有ります。
板を曲げていった為、側板も大きく曲がってしまいました。 前側に四角い板を仮に入れ、反った板を整形しながら一度カンナで水平にした後、集成材の棒を前面に取り付け、補強しました。
待てずに、一気に塗装まで行いました。 大失敗です。 後で修正や再補強が面倒に成ってしまいました。
ホーンから高域が漏れて中域に干渉して影響しています。 吸音材のフエルトを入れてみました。
線材がスピーカに当って振動しないようにブチルテープ(両面テープ)を張ってあります。
ホーンの首元には後ろ面にスポンジを入れ、麻のロープを巻いて振動対策を行ないました。 家には猫が3匹いるので一寸心配です。 爪磨きと間違える可能性があります。
ネットワークです。クロスオーバーは40khzで6db/octです。 4Ωに対応しています。 シーメンスのオイル・コンデンサ1μ、コイルは自作で手元に有ったコアに銀線を20回ほど巻いて0.02mHを作りました。

最初、不快な音を聴き過ぎて自分の耳もおかしくなって来ました。 長期海外出張が入ってしまいコンテスト2週間前に帰国して、1週間前には風邪でダウン。 そんな時に音楽を聴いていると更に頭が痛くなります。 神経質に成りすぎているのかも知れませんが! スカッとした爽やかな音が出てくれたら良いんですが・・・。 で、時間が無くなって最終手段、禁断の超ごまかしです。 ネットワークを駆使して周波数特性を改善しました。 詳しい知識が無いので適当ですがクロスオーバー40khzと超高域よりの設定です。 150hz付近はディップフィルターを作り強制的に下げて有ります。 上記表を見ると低域は45hz位から出てますが、後ろに壁が無い場合は80hzから下がり始めます。 高域はアッテネータを調整しても6khz〜12khz位が変化しますが、16khz〜20khz当りを上げる事は出来ません。 このスピーカのカタログ値の70khz迄は絶対に出てないと思います。

Slow Lifeを楽しむ 漏斗を利用した小型バスレフ式スピーカ
カノン5Dさんの趣味の小部屋 計算され尽した共鳴管スピーカ
白須のブログ 徹底的に除電に拘ったバックロード・エイリアン
わんわんらっぱー 自作スピーカ革命「チューバ・ベーシック」
課題曲
1、カルメン組曲_闘牛士
2、三日月 〜Crescent Moon〜、誰もいない海、I Can't Hide  3曲の中の1曲

持込みの自由曲は各45秒を編集して1曲のCDに準備しました。 
1、Love You Madly(Naoki Makohzato  Two & three)
2、Banjo The Soul Of Violin
3、魔鬼之子
4、My Love Is(Diana Krall LOVE SCENES)
5、The Hunter(jennifer warnes)

1分間でセットと片付けが行なわれ、9分間が各自の持ち時間で競技が行なわれました。
「ミューズの方舟」採点結果
  出品者 作品名
音質
アイディア
ルックス
(合計)
総合得点の順位
1 天野 様 SUT−100X(バックロード)
4
1
5
-
2 前田 様 クリスタル・ムービー(ドロンコーン)
6
25
27
58
1
3 鈴木 様 W−tone(共鳴管)
8
5
1
14
-
4 太田 様 オールオーディナリーズ(共鳴管)
8
1
2
11
-
5 田中 様 PAIR SLOPE(共鳴管)
14
1
10
25
-
6 白須 様 BHエイリアン(除電対策)
16
20
8
44
-
7 鈴木  複合型コンビネーション・ホーン
12
12
25
49
2
8 河辺 様 FDBR1043(漏斗を使用)
15
23
7
45
3
9 内野 様 五稜郭(5角柱)
14
5
15
34
-

音質、アイディア、ルックスの3項目で得点の多い方の優勝者3名が選ばれました。 今はコンテストが終わってホッとしています。 ルックス賞が取れそうでしたが、2表差で2位でした。 私たち2名で此処長野の安曇野市から行って、2人共前田会長のルックスに投票したので本当に悔しいです。  でも、前田会長が総合得点で2番と知って気を使っていただきルックス賞を辞退され、ルックス賞を私が頂く事になりました。 上記の内容の事もあったので遠慮無しに頂きました。 景品は豪華で、ジャズの25枚組みCD、スピーカ関連のパーツでした。 初参加でしたが総合得点数では2番目だった事もあって自分では満足です。 セッティングや片付け等、ミューズの会員の方々には大変お世話になりました。 そして、最後の親睦会にも参加させて頂きました。 同じ趣味を持つ仲間なので話が弾むのは当然ですが親切で、色々勉強にもなりました。 今回1番の収穫は白須さんの除電。 色々と教わってきましたので自分でも試してみようと思います。 2番目は漏斗を使ったスピーカ。 小音量時は抜群だったので話を聞きたかったのですが既に帰られたようで居ませんでした。3番目は前田会長のドロン・コーン(スピーカ・ユニット)のコイルをコンデンサで制御した構造。 此れは抵抗で調整したら、最良点が見つかり、今後の発展が楽しみです。 で、・・・一杯飲みながらですが、投票者のコメントも全部読ませて頂きました。 良かった、自分も作ってみたい、自分では作れないけど欲しい等と書かれて居るのを見ると本当に嬉しくなります。 また、投票されて無くてもコメント欄には良い事が書いてある事も多かったのが印象的です。 勿論辛口評価も有りますが、好みや要望等も見えて来て次回製作の参考に成ります。 超小型の物から大きなスピーカと色々ありましたが、其々の特徴が有るので、何が一番良い・・と決めると言う世界ではありませんでした。 やはり自分のが良く聴こえてしまいます。 あたりまえです、自分の好みにあわせて製作調整しているのですから・・・。 やはり、自分の好きな音作りをしていて良いんだ。 とも思いました。 だた、コンテスト開場では高域が数db程下がって聞こえたので自分の部屋とは環境が違うな〜と思いました。 私は、又何か良い物ができた時は是非「ミューズの方舟」参加したいと思います。 お越し下さった方々、有難うございました。 本当に充実した良いコンテストでした。

コンテストに向け半年以上情熱を燃やして来ましたが、4Ωのスピーカーでは過去に作った真空管アンプを活かせないので8Ωのスピーカに交換しました。 2ウェイと違いネットワーク回路の無いフルレンジ1発は立体感や定位が全然違いますからね・・・。 FOSTEXのFE103Enは3000円一寸の高価な物では無いですが、サイズが似ているので其のまま交換が出来ました。 コンデンサやコイルも全て撤去しました。 低域が出すぎたのでスロート部に10cm程の吸音材を少しだけ入れました。 不快だったボン付きや不帯音も大分気にならなく成りました。 まだエージングは少ないですが音質が生き返りました。 そして調子に乗って良いと取り、除電。 コーン紙に墨汁を塗りました。 此のスッキリした音は今までの苦労は何だったんだ、と、無駄な時間を過ごしてきた感じがしてなりません。 ようやく完成の域に達し今回のスピーカ作りを終わる事が出来ました。 コンテストで使ったアルパインのユニットは優秀な物だと思いますが、やはりクルマに取付けるのが前提で設計された物なので個性が異なります。 それにしても此のフォステクスの10cmスピーカー結構いけます。 相性が抜群で何の不満も無い最高の音に仕上がり大満足です。

大勢の方に聴いて頂けた事が満足です。 100名以上の方が居ました。 人前で話すのは苦手ですが、今回は全然緊張しませんでした。 本番前に既に出品作品9台の音を全部聴いていたのと、進行が早く持ち時間の10分がアットいうまに過ぎてしまいました。
2011年「ミューズの方舟」ルックス賞が接戦の結果優勝を逃しました。 でも、表彰式で前田会長のご好意で辞退され、繰上げ優勝って事に成ったようで私もビックリ。そして、頂いた景品がJAZZの25枚組みCD。 凄いな太っ腹、会長。 もしも次に出る機会があったら「絶対に自力で勝ち取るぞ」と内心燃えてました。 こんな気使い等があって会が盛り上がっているんですね!
コンテスト当日は近くのホテルで1泊して翌日秋葉原のコイズミ無線に寄ってフォステクスのFE103Enを買って帰りました。 高域が22khz迄延びていたフォステクスを選びましたが一個3580円と高価な物では無いですが、この10cmスピーカが40hzの重低音を楽々再生するのには正直言って「驚き桃の木・・・」です。

そして、”除電”。 コーン紙を墨汁で黒く2回塗りました。 見た感じは安っぽく成りましたが音質改善効果は大きく、その効果は直ぐに判りました。 低域の抜けが良く成って、重低音が体を通り抜けていく気がします。 今回のコンテストに同じく参加された白須さんのアイデアを真似てみたもので、良いと思ったら直ぐに実行です。

4khz付近のディップを改善する為にスピーカ固定の4隅のビスを利用して、加工したアクリルをホーン状に4枚重ねてみました。 測定結果で、見事なまでにディップが消えました。 自分で言うのも何ですが、すばらしい。