ウエスタンエレクトリックのランドセル
壁掛けスピーカー KS12046

フィールドスピーカー仕様 2018' 1


日本のマニアは通称ランドセルと呼ぶらしいですが、その壁掛けスピーカーを模して製作しました。 あの有名なウエスタンエレクトリックが創った物で映画館の大型ホーンや此のランドセルの写真は何処かで一度位は見掛けているのではないでしょうか? 1940年代後半、駅など公共施設で使用されたようですが、埋込み式と言う発想が無かったのか丁寧に箱式で作られました。 カーブの美しさは古き良き時代を感じますね。 私の子供の頃は学校の教室にも似たような台形のスピーカーが付いてました。 今はどうなのかな? 以前1個入手しましたが壁の上側に吊るす事が前提なので軽量に作られています。 参考にしようと思い探しましたが、何処に片付たのか出てきません。 いずれにしてもランドセルも同じ様に軽さも考慮されていると思います。 本家ランドセルの型番はKS-12046。 このKSはアルテック社で作られたOEMという事でしょうか。 ネットで調べてみると近年ランドセルのコピー版がザ・キット屋(デラ工房)で製作され市場に出回っているようです。 スピーカーユニットは中国のLineMusic製ですが、かなり内容は濃くて本物にかなり忠実なのだとか! このメーカーはWE555ドライバーも復刻させて堂々と販売しているので、中国のお金持ちが権利を買い取ったのかな? 全然安くないですが意外に売れてる様なので人気は高いですね。 贋作はいけませんが、ここで製作する箱は個人使用の為の「目コピ」。 ネットで探した写真を参考に此の形を目で見てコピッてみようという発想です。 忠実にコピーできていないのでランドセル(風)と言っておきます。 スピーカー755Aは8インチ20cmで、ウエスタンの他にアルテックが有り、マニア泣かせな音がするそうです。 入手は絶望的で、その様なスピーカーが欲しいのは山々ですが欲しい物にキリが無く変な病気に成る前に別のスピーカーを使用する事にします。 幸い20cmスピーカーは豊富に出回っています。 ここでは手持ちの物を利用。 1950年よりモット前の時代ドイツ製8インチ・スピーカーです。 意外性のある物を引っ張り出してきました。 有名所ではシーメンスやJENSENですが此れはRFT製です。 フィールドスピーカーとも呼ばれ、コイルに電流を流し磁束を発生させる励磁タイプ。 ビンテージスピーカーと言って間違えありません。 専用に電源を準備する必要がありますが永久磁石を使わない独特な音質を持ちます。 周波数レンジは狭いですがユニット単品で鳴らしても音声帯域は超リアルな音がします。ただ、適当な箱に入れても良い音がしないもの事実です。 別途電源が必要な励磁スピーカーは距離を延ばすような放送設備には向かないですが、ラジオ等に組込むとチョークコイル代わりに使えて不便な事はなかったと思われます。 ちなみにJBLの傑作LE8Tはこの時代に未だ生まれていません。
一番の難所がこれ。 此れが出来ないと失敗なので最初に作りましす。 結構失敗したので詳細は秘密。 完成後、ルーターで抜くなんて技は素人には怖くてできません。 MDFの材料はどの方向でも削る事が出来るので何とか成ります。
薄いシナベニアを曲げて行く方が綺麗な仕上がりを期待できますが、板厚を確保するには根気がいります。 手っとり早く身近にある材料で製作しました。 18mmのMDを角材にして数本入れカーブを作り・・・色々考えているより作った方が早いです。。
カンナは手動で手で触りながら感覚を探り、削り過ぎない様に・・・。 結局、削り過ぎて重ねて貼って・・・何とか形にします。 大きいカーブの方が面倒です。
紙やすりをベルト状に長くして、角だけを削るように60番で荒削り、120番で下地を仕上げてます。
このスピーカーはサランネット付きバッフル板がスピーカー内部にある為、リアパネルの取り外しが必要になります。 4mmの爪付きナットを埋め込んでいきます。(写真は加工前)
注文してあったツキ板シートが到着しました。 「カリン柾目」400x180mm2枚とツキ板専用ボンドです。 1枚のシートで1個作れるサイズです。 ツキ板は種類が豊富ですが、家の子犬ペットの名がカリン。 てな訳で、カリンのツキ板にしました。 
ツキ板専用ボンドは加熱すると直ぐに接着が出来ます。 粘着が濃いので水で薄めハケで塗っています。 接着剤は木材とツキ板シートの両方に塗るのがコツです。 アイロン中温で加熱して接着していきます。 余った「突板はカッターで削り落として仕上げていきます。
ヤスリで角を丸めるとMDF断面が白く目立ちます。 黒色マジックでボロ隠し。 ツキ板の縦側に少しインクが滲みます。 茶色のマジック有るのかな? この作業は塗装の後の方が良かったかも・・・。 そもそもマジックインキが失敗か!
側面の板を貼って外装が完成しました。 0.3mm程度の薄いツキ突板シートですが、やっぱり天然木は良いですね。 木の匂いが良いので塗装してしまうのが勿体ない。
サランネットは気に入った色、模様の物が無くてホームセンターへ行きカーテン生地を探しました。 空気抜けの良さそうな細い糸はポリエステルなので中々色が染まりませんが塩を入れたり熱湯を入れたりしているうちに出来ました。 コーヒーやたばこ、紅茶等が有りますね! 色ムラが多いですが、それが又良い雰囲気を出すと言うことで・・・。
サランネットは箱の中側に収める為、突起が少ない様にブチルの両面テープで固定してあります。 爪付きナットは埋め込み式で金属が見えない様に2mmの薄板を入れ墨で黒く色付け。 バスレフ方式は空気漏れが命取りなのでシリコン・コーキングも少し併用しています。
強力な永久磁石が無い時代の8インチ・スピーカーです。 フィールドスピーカー、励磁(れいじ)スピーカーとも呼ばれます。 手元に有るのは1930年代旧東ドイツR・T・F社製で型番はPr263。
ボビンの内側にボイスコイルが巻かれていますね! DCRが3.88Ω。 4Ωのスピーカーでしょうかね。 軽いコーンで指で軽く弾いても音が良い様な気がします。
ボイスコイルはよく見えませんがボビンの外側と内側に巻かれたW巻かも知れません。 一般的に8インチの励磁電力容量は6W位が良いと言う定説があるみたいですが、チャンとしたデーターが判りません。
この隙間はチョット気に成ります。 パッキンの段差より、隙間! どうみても空気漏れますね! ネジ締めて後コーキングで塞ぐ事にします。

DCRは13kΩ位。 簡単な計算をしてみるとDC280V電流は20mA位でしょうか? 更にコイルが2種類巻かれてますね! VCと合わせて使うらしいですが10〜20回位の巻数? しかも材質がアルミ? 用途不明なのでパス。 

ネジ止め前の写真です。 裏板も黒に塗ろうか、習字で使う墨汁を塗ります。 静電気防止効果で除電と言います。

壁掛けでの設置を考えています。 天井に近い上側に設置予定なので傾斜角を78度。 又、突き板の板取りを考え高さを440mmにしました。 6寸90cmの基準を考えると半分の45cm位が都合が良いです。 本当は折角製作するので米松合板なども使いオリジナルに似た物を再現したほうが良いかな? と考えましたが、仮に図面があっても素人がストラディバリウスのバイオリン作れないですよね。 と言う事で多少自己流を取り入れました。 色々調べて原寸が略判明したのですが幅を30cmに決め、奥行と高さの見直しを行いました。 オリジナル派の方には「おいおい」と言われそうですがスピーカーボックスは過去の自作経験で比率が重要な事が判ってきました。 高さを白銀日1:√2として44cmにしました。 奥行と高さの比が白金比1:1.7に成ります。 ミリ単位まで追い込んでませんが、この比率が定在波を減らし更に見栄えが良いと感じられるサイズではないかなと思って全体の寸法を決めました。 元々のKS12046キャビネットは密閉方式の為、箱の中にもう1個の箱が有る様な構造でしょうか? コーナー部分の板厚が薄い為に空気室として使えなかったのか? 響きを求めた物なのか判りませんが音声帯域を大切に設計された様です。 独特の美しいカーブは魅力を感じます。 ただ、いくら20cmスピーカーでも空気室が狭い密閉箱で豊かな低音は望めません。 今回、コーナー部分は18mm厚の板を沢山重ね形を作った後にカンナで削って成形した物で板の厚みは大丈夫です。 箱全体を空気室として内容積は約15リットル。 この際なので思い切ってバスレフ方式に替えました。 この形状から考えると定在波対策の良い形状です。 スピーカー内部に平行面が殆ど無い所が特に良いです。 ウエスタンの本物は後方面に昔のトイレットペーパーの様な紙が吸音材として付いてる様です。 チョット真似してみようか・・・。 でも吸音材は要らないかも。 音楽再生を考えると低音域は60hz位までは延したいところです! ポート位置は中心軸に合せ径は58φ104mmで共振周波数60hzを基準にポートとマグネットの間隔を確認しながら周波数を下げる方向に調整します。 壁に掛けて使う場合はバスレフポートが上側に向きますが、重低音域だけが天井で反射する事を考えるとポートから抜けてくるボックス内の高域成分の直接音が消されて都合が良いです。

永久磁石を使わないフィールドスピーカーは鉄成分の違いによって透磁率が良いとの事です。 詳しく知りませんが磁力が強ければ良いと言うものでも無く、磁気飽和してしまうと此れまた駄目なんですね! と言う事は一歩手前で抑えなくてはいけません。 一般的な8インチスピーカーは6W程度の消費電力推奨の様ですが、実際に聴いて自分で良いと思う最良点を探すことになりますが、今のところ3.4W位の低目の方がいい感じです。
 ちなみに此のスピーカーは内部バッフル板が交換可能です。 つまり、内心はWEかALTEC、このさい復刻品も含めて755Aスピーカーユニットで聴いてみたいと夢が有ります。
 調整はまだまだ続きます。

つづく
魅力ある真空管とアンプ・ラジオ最新の確認