◆ 小太郎伝説  = 2 = (2/5) ◆

= Geological_Topics =

 


■ 『小太郎伝説』は、単なる伝説なのか

『小太郎伝説』は、安曇野全域に伝わっているようですが、
代表格は、やはり生坂村でしょうか。
これは、岩山を突き破った地籍、ということで容易に理解できます。

高瀬川大町ダム(大町市)には、
ダム見学路にストーリーパネルが(前項にて引用)、ダムサイトの公園にモニュメントが、
それぞれあります。
 小太郎が、母・犀龍(さいりゅう)と会った「尾入沢(おいりざわ)」がある
 ダム付近地籍の大町市−常盤(ときわ)−泉(いずみ)の「泉」は、『泉小太郎』の「泉」
 晩年、同市−常盤−仏崎(ほとけざき)の観音堂の裏山に姿を消した、と伝えられる
などから理解できます。


[大町ダムサイトの公園にあるモニュメント]


穂高神社(穂高町)境内には、『泉小太郎像』があります。
小太郎の父・白龍王(はくりゅうおう)は、綿津見神(わたつみのかみ)の生まれ変わり、
小太郎は、穂高見神(ほたかみのかみ)の生まれ変わり、とされています。
神話、とりわけ天地創造(治山治水)の観点からも、
大岩を突き破り、湖の水をはらい、土地(耕地)を拓いた、
ということで妙に納得してしまいます。
ところで、もともと龍は空想上の生き物ですが、
穂高神社境内の像は実際の「サイ(犀)」に近く、個人的には好感を持っています。


[穂高神社境内の「泉小太郎像」]

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上記、大町ダムの管理事務所のホームページ内に、
「大町ダム湖『龍神湖』の名前の由来、民話『犀龍と泉小太郎』のあらすじ」が掲載されています。
その一部を引用します。
   昔、イザナミノミコトが国づくりをしようと五色の石を練った時、
   誤ってその一滴を信濃の国に落としてしまった。
   石によってできたくぼ地は、満々と水をたたえた大湖水となった。


イザナミノミコトは、伊邪那岐神(いざなぎのかみ)、
五色の石というのは、私のような素人が考えても、
伊邪那岐神の子どもたちではないかと容易に想像できます。
 一.天照大御神(あまてらすおおみかみ)
 ニ.月読命(つきよみのみこと)
 三.須佐男命(すさのおのみこと)
 四.綿津見神(わたつみのかみ)
 五.筒之男命(つつのおのみこと)
誤ってその一滴を信濃の国に落としてしまった、のその一滴というのが綿津見神。
そして、その子どもが穂高見神。
穂高神社は、穂高見神を御祭神に仰ぎ、本宮中殿に祀っています。
ちなみに、綿津見神は本宮左殿に祀られています。

したがいまして、白龍王が海津見神、小太郎が穂高見神の生まれ変わり、
といった穂高神社境内の「泉小太郎像」脇の説明碑にある文にも、一理あるのかもしれません。

史実を検証されている方々の中には、
小太郎は安曇族だったのではないか、という仮説もあるようです。
つまり、『小太郎伝説』は、
安曇族による安曇野地域の開拓に基づいて生まれたものではないだろうか、というものです。

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   つづく ( 小太郎伝説 = 3 = )
 

     
     

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