◆ トンネルの 掘削方法 ◆

= Tunnel_FAQ =

 


掘削方法とひとことで言っても、いくつもの分類があります。

■ 施工方式による分類

1) 山岳工法
2) 開削工法
3) シールド工法
4) 沈埋工法
『トンネルの種類』のページを参照してください。


■ 掘削工法による分類
 

1) NATM(ナトム)工法
2) 矢板工法

現在、施工方式に「山岳工法」を用いて掘削されるトンネルは、
このどちらかの工法を採用しています。
ほとんどが「NATM工法」を採用している、と言っても過言ではないほどです。

それでは、 『NATM(ナトム)工法』とは何なのでしょうか。
ナトムって何? のページへジャンプ
      以降、施工方式が山岳工法、掘削工法がNATM工法という前提で、
       説明を続けさせていただきます。

山岳NATMトンネル工事は、
掘る作業と、掘っているとき/掘った後に崩れないように保護する作業とを、
順次繰り返しながら進めます。
掘る作業自体を「削岩」(単に掘削とも呼ぶ)と言い、
保護する作業を「支保(しほ)」と言います。
掘った土砂(⇒「ずり」と呼ぶ)を坑外へ運び出すことを、「ずり出し」(ずり処理とも呼ぶ)と言います。
この『掘削作業』,『支保作業』,『ずり出し作業』を合わせて、トンネル掘削と呼んでいます。



■ 掘削方式による分類

1) 発破掘削方式
      ダイナマイトなどにより、
      地山(じやま:天然の状態にある地盤のこと)を爆破して掘削する方式です。   
2) 機械掘削方式
      自由断面掘削機,トンネルボーリングマシンなどの、
      専用機械により掘削する方式です。
3) 人力掘削方式
      読んで字のごとく、人力による掘削方式です。

当然のことながら、現在では、人力掘削によりトンネルを掘ることは皆無です。
しかしながら、発破掘削・機械掘削の補助的な役割としての人力掘削はあります。
一概には言えませんが、通常は、 ひとつのトンネル工事で主体となる掘削方式には、
発破掘削と機械掘削とのどちらか一方を採用します。
     (注)これらは、山岳工法における主体となる掘削手段による分類です。
         開削・シールド・沈埋工法のトンネルでは該当しません。



■ 施工断面分割方式による分類

1) 全断面掘削工法
2) 部分断面掘削工法

山岳トンネル工法では、この二つの工法に大別されます。
部分断面掘削工法には様々な呼称があり、とてもひとことでは説明ができません。
代表的な工法としては、ベンチカット工法,導坑(どうこう)先進工法があります。
更に、ベンチカット工法の中には、
ロングベンチカット,ショートベンチカット,ミニ(マイクロ)ベンチカット,
多段ベンチカット, リングカットなどと分かれます。
中壁工法(中壁分割工法)という工法もあります。
導坑先進工法も、
頂設導坑,底設導坑,側壁導坑,中央導坑と、導坑の位置によって細分化されます。
別ページに図を用意してありますので、参考にしてください。
施工断面の分割 のページへジャンプ



 運搬方式による分類

1) レール式
    掘削中のトンネル内部に軌条(鉄道の線路をイメージしてください)を敷き、
    ずり運搬用のトロッコによって、ずりを外へ運ぶ方式。   
2) タイヤ式
    ダンプトラックなどによって、ずりを外へ運ぶ方式。
3) その他
    ベルトコンベア,ウィンチなどによって、ずりを外へ運ぶ方式。

このように、掘削した土砂(ずりと呼ぶ)を運搬する方法によって、運搬方式を分類します。

 

■ トンネルの掘削方法

いままで説明したように、様々な分類があります。
実際の工事では、これらを適宜組み合わせて施工します。
たとえば、NATM工法で工事するとして、
発破掘削による、ミニベンチカット工法で、ずり運搬はタイヤ方式、という具合です。

掘削方式,断面の分割方式,運搬方式と、どれもこれも一長一短があります。
トンネルは、ある程度長さのある線的な工事(構造物)です。
ですから、地質状態も掘り進むにしたがって変化します。
良好な地質が続くかと思うと、崩れやすい不良な地質や地下水が湧き出すことなど、
様々な事態が起きるのです。
トンネルを掘り始める前に、いろいろな事前調査を行い、ある程度地質状況を予測しておきます。
トンネルの規模(大きさ,長さ)や地質,周辺環境などから大局的に判断して、
最善の掘削方式、施工断面分割、運搬方式を選定することが重要なのです。

 

     

 

 

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